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激変する「生活者ニーズ」

column vol.299

私は日本テレビ『アナザースカイ』を毎週観ているのですが、先週、尾野真千子さんが釣りをしている姿が印象的でした。

「釣り女」という言葉が一時期マーケットに流通しましたが、コロナ禍においてアメリカではその熱が加熱しているそうです。

釣りを楽しむ46%が女性

安全かつ手軽に自然と触れ合う手段として釣りがアメリカの女性にウケています。

〈WWD JAPAN / 2021年5月14日〉

レクリエーショナル ボート アンド フィッシング ファンデーションによる最近の調査では、女性の釣りプレーヤーが過去最高の1800万人に達したと報告。

釣り用のアパレルウエアを展開するグルンデンのマーケティング・バイスプレジデントであるアッシュ・ウィリアムスさんも釣りプレイヤーのジェンダーギャップは年々縮まっていると分析。

21年現在、プレイヤーの46%は女性で、女性の中でも13〜17歳の層が6%で最も増加しているそうです。

アパレルブランドもこの機運を捉え、「釣りファッション」に力を注ぎます。

アウトドアブランド「L.L.BEAN」は、2019年に比べて釣りアイテムの売り上げが4%増加し、中でもルアー釣り用のウエアは120%増加したと報告。

他にも穴釣りが20%増で、2020年5〜9月のフライフィッシングシーズンには同カテゴリーは60%増加したとのこと。

社会全体を見渡すとその経済効果は莫大年間売上高は500億ドル(約5兆4000億円)を超えています。

アウトドアニーズへの高まりと、各分野のジェンダーギャップ解消というのは日本にも通じる大きな潮流として見てとれることができますね。

富裕層のお金の使い方が変わる

アウトドアということで言うと、住まいへのニーズも変わってきています。

投資家で東京理科大学上席特任教授でもある藤野英人さんは、富裕層の住まいが都心のタワマンから「地方の一軒家」に移り変わっていると指摘します。

〈PRESIDENT Online / 2021年5月14日〉

例えば、ヤフー社長兼Zホールディングス社長の川邊健太郎さんは、房総半島の海辺にカントリー調の家を建てて、動物たちと戯れながら暮らす生活を始めました。

ここでキーワードとなるのが「ハイブリッドライフ」です。

合理性(利便性)非合理性を併せ持った新しいライフスタイル。川邊社長は都心よりもインフラが整っていない地方での暮らしを楽しみながら、緊急会議にはヘリコプターを飛ばして参加しているそうです…(驚)。

私たち庶民の間でも、自然共生や、DIY家庭菜園などといった自助力を高める趣味の広がりは見られ、ハイブリッドライフの形は顕在化しています。

さらに今後は、より街(町)の特色を際立たせることが重要になると感じます。

今までは会社との距離で住まいが選ばれていたので、当然、近隣の住民は合理性の中での繋がりでした。

しかし、リモートワークの一般化により、より自在に居住地を選べるようになってきている今、サーフィンが好きな人は海辺に住み、ガーデニングが好きな人は庭付きの家に住む。

私の知り合いに、Jリーグチームのベルマーレ湘南が好きで東京から家族で平塚に移住した人を知っています。

そうやって、土地土地で特性が生まれ、嗜好が合う人たちがそこに集まれば、よりコミュニティが形成されやすくなります。

プレジデントオンラインの記事でもありましたが、今後は繋がり(共助)をデザインすることが大切で、同じ嗜好ならそのことを果たしやすいかと思います。

今後はクラブ活動のような街づくりがキーポイントになりそうですね。

空前のブームになっているペットとは?

住まいが決まれば、次はペットです。

ワンちゃんに、ネコちゃん。新しい家族を考える上で、最近注目されているのが「メダカ」です。

自宅内のわずかなスペースで手軽に飼育できることから、コロナ禍で需要が増えているそうです。

〈Yahoo!ニュース / 2021年5月9日〉

水槽や温度管理などお金も手間もかかる熱帯魚に比べてハードルが低いため、誰でも参加できる気軽さがあり、熱帯魚未経験者の心を掴んでいるとのこと。

さらには、野生のメダカが絶滅危惧II類に指定されていることも注目を集めた一つの要因だと言われています。

ここでもサステナブル意識の高さがブームの一因となっているのですね。

2年前に動物愛護管理法が改正され、保護ネコなどを積極的に引き取る人が増えていますが、ペットという側面から見ても倫理社会の一端が垣間見えます。

明日は、「消費者の消滅」というテーマでさらに生活者の心理的変化について掘り下げたいと思います。こちらもぜひご覧くださいませ。

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