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時代を席巻する「IPビジネス」

column vol.393

甲子園での熱戦が繰り広げられていますが、一般の学生さんは夏休み

今年の夏は、BTSメンバーの故郷ドラマロケ地めぐる「オンライン修学旅行」日本の中高生に好評のようです。

〈東京新聞 / 2021年8月18日〉

韓流好きにとって思い入れのある地を無料で疑似訪問できるとあって、想定の1.5倍1,500人が参加。こういったツアーの成功には、韓国エンターテイメントの積極的なIPビジネスの展開が見られます。

アーティストの世界観が大きなビジネスの広がりに

IPとは「知的財産」のこと。発明デザイン著作物など、人間が創造的活動により生み出したものを指し、楽曲デザインといった芸術分野の作品の他、顧客リスト社内のノウハウといった営業秘密も対象となります。

K-POPは世界戦略を睨んで特にIPビジネスに力を注いでいます。

〈HUFFPOST / 2021年8月6日〉

その代表格が「BT21」でしょう。

BTSLINE FRIENDSと誕生させたキャラクターIPです。

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〈LINE FRIENDS 公式オンラインストア〉

2017年、メンバーが初期スケッチデザインと各キャラクターの性格世界観を設定する作業に参加して生まれたもので、LINEを通して230ヵ国に公開

現在のTwitter公式アカウントのフォロワー数が約1,013万人YouTubeチャンネルの登録者数が約453万人と、キャラクター自体が大きな人気を保持しています。

つまり、BTSメンバーが寝ている時でも、BT21が代わりに働いてくれるというわけです。もちろん同時にも。

IP展開するだけで、収益は掛け算になるのです。

IPビジネスを加速させる「メタバース」と「世界観」

IPビジネスはもちろん昔からありますが、活況に導いている大きな要因の1つが「メタバース」です。

超越仮想を意味する「メタ(Meta)」現実の世界を意味する「ユニバース(Universe)」の合成語で、現実を超越した仮想の世界を指します。

メタバースを象徴するのがゲームの「フォートナイト」でしょう。現実世界の人気ラッパーがゲーム空間でライブをしたことが昨年話題になりました。

このメタバースにより、例えばアイドルグループのアバターを誕生させ、仮想世界で活躍させれば、生身のアイドルとは別に自立して活躍してくれるのです。

韓国の大手芸能プロダクション「YGエンターテインメント」の場合は昨年6月に「NAVER Z」が運営するグローバルARアバターサービス「ZEPETO」とのコラボレーションで、人気ガールズグループ「BLACKPINK」ARアバターサービスを披露しています。

BLACKPINKとアメリカの女優セレーナ・ゴメスの3Dアバターによる「ICE CREAM」ダンスパフォーマンスMVもYouTubeで公開されており、この映像は公開から1年近く経過した現時点で1億ビューを突破。アバターが旋風を巻き起こしています。

〈BLACKPINK X Selena Gomez - 'Ice Cream' DANCE PERFORMANCE VIDEO (in ZEPETO)〉

K-POPがメタバースを使ってIP展開をここまでできるのは、各アーティストがそれぞれ世界観をしっかりと築き上げているからです。

キャラクターの背景を創り上げていくこともIPビジネスの肝となります。

Netflixが目指すのはディズニー?

K-POPとともに注目しているのが「Netflix」です。自社運営のECサイト「Netflix.shop」を6月にオープンしたことに注目が集まりました。

〈Real Sound / 2021年6月23日〉

当サイトでは、アパレルブランドNetflixオリジナル作品がコラボし、グッズを販売。実はこのECサイトで収益化を図っているわけではないと言われています。

グッズ販売はコンテンツマーケティング要素を含んでおり、コンテンツ制作に加えて『NetflixはIPビジネスの会社』というブランディングを強めるためではないかと言われています。

今年5月に、映画スタジオのMGMを買収するなど、コンテンツもさらに増えていくことが予想されるため、自社IPを上手く広げていくための試金石にしているというわけです。

デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミさんは、目指すのは「ディズニー」なのではないだろうかと予想しています。

例えばテレビや映画のキャラクターグッズは、放送や上映期間が終われば販売やプロモーションも終わりますが、ディズニーの場合、ファンが継続的に参加できるよう360度のキャラクタービジネス戦略を続けています。

つまり、Netflixは『長年ファンから愛され、グッズやIP展開も継続的に愛されるコンテンツ・ブランド』のファンダム(熱心なファンによる世界)を作ろうとしているのではないだろうかということです。

いずれ、ディズニーランドならぬ「Netflixランド」が誕生するかもしれませんね。

今後の展開に注目したいと思います。

noterも他人事ではないIPビジネス

メタバースではないですが、テクノロジーの進化は日進月歩で私たちに想像できなかったような世界を見せてくれます。

SNSもそうですね。

10年前の私は、まさかnoteでこれほど多くの方々と繋がるなんて想像もできなかったでしょう。

私たちはかつての世界に対して、有名無名がシームレスになった未来を生きています。

当然、私と繋がっているnoterさんの中からも大スターが生まれてもおかしくはない世の中です。

でも、私たちは果たして、自分のゲームやマンガ、小説や音楽が生まれることを想像できているでしょうか?

自分のアバターが自分から分離して仮想空間を伸びやかに活躍する姿を思い描いているでしょうか?

noteを投稿しているあなたはスターになるかもしれません

今のうちにIPビジネスに精通していても無駄ではないと思いませんか?

信じるか信じないかはあなた次第です(笑)

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