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90年代個人的洋楽10選Ⅱ

前回の「90年代洋楽個人的10選」はポップス寄りの選曲だったので今回はロック寄りの選曲で行きたいと思います。90年代は本当に百花繚乱とも言うべきキラボシのごとくいろいろな才能を持ったロックバンドが次々にデビューして、ロック黄金期の60年代、70年代にも匹敵する量と質を兼ね備えた音楽が目白押しだったんじゃないかな、と個人的には思っています。その理由として挙げられるのはやっぱり「時代の混迷」、その一言に尽きるのではないでしょうか。ポップスでも言いましたが、時代が変革していって人々の不安とかストレスが増していき、その分優れた才能が鋭い感受性で、内面に沈溺していった「時代の精神」を音楽で表現する、それはロックにおいて最大限発揮されたのではないか、と思ったりします。代表的な存在としてニルヴァーナ、オアシス、レディオヘッド、とかですかね。本当にロックが素晴らしく花開いた奇跡の10年でもあったと思いますが、今回は個人的な選曲なので偏りもあるかと思いますが、そこは大目にに見ていただければ、と思います。ではどうぞ。

There She Goes / The La's (1990年)
1990年に発表された、それまでの80年代サウンドとは違うある種の品というか、深みを持った、それでもどこまでもポップス、という奇跡的な曲から今回はいきます。本当に90年代の特徴でもあるのですが、現実と想像の世界の境界線上を絶妙な角度で切り取って、オーディエンスの前に披露する、時代の空気感というか、しんどいからこそ、見えて来る「メルヘン」みたいな世界観がそれまでにありそうでなかったのかな、と思ったりします。この曲からは特にそれを感じますね。


Smells Like Teen Spirit / Nirvana (1991年)
時代を変えた一曲ですね。80年代までのいわゆる「産業ロック」的なサウンドのすべてをこの曲、そして歴史的名盤「ネヴァーマインド」でことごとく破壊していきましたね。多くのオーディエンスの求めているサウンドをここまで多くに届くようにマニアックになり過ぎず、でも飽きられない、舐められないポップスにもならず、これこそボーダーライン上を生き抜いてきたカートコバーンの精神が生みだした時代の必然でしょう。そして3年後、彼は自らの頭部を銃で撃ち抜いて自殺します。こんなことはあまり言いたくないのですが、ロックのカリスマは死ぬことで神格化されますが、カートコバーンの残した音楽が本当にヒリヒリする音を1993年「イン・ユーテロ」で鳴らしていたから、死ぬことも織り込み済みですべて産み落とされてしまったのではないか、と。そしてそこに後追い世代はロックの神の痕跡を見てしまうのでしょうね。悲劇でしかないですが、ニルヴァーナやカートコバーンを思うときにどうしてもそう辿ってしまいます。


Creep / Radiohead (1993年)
アメリカのニルヴァーナを端に発するグランジ旋風のイギリスからの応答などと呼ばれる世界最高のロックバンドレディオヘッドの「いわくつき」のデビュー曲です。彼らは決して売れ線のバンドでもなくアルバムによってはほとんど難解で万人受けしないレベルの音楽をやったりしますが、この曲だけは例外的に大ヒットして、彼らの思いと別に独り歩きしていきました。繊細過ぎるフロントマントムヨークは「クソみたいな曲」とのちに吐き捨てる程にこのクリープを毛嫌いしましたが、大きなお金の流れに巻き込まれていく繊細な感性を守るためにそう言わざるを得なかったのかな、と思ったりします。それくらいこの曲も時代の精神をとらえた歴史的な名曲だと思います。


Live Forever / Oasis (1994年)
イギリスの90年代もう一つの奇跡とも言えるバンド、それがオアシスです。レディオヘッドがどこまでも世界の闇を探求していく音楽を作っていったのに対して、オアシスは本当に分かりやすいロックをこの時代に鳴り響かせていきましたね。90年代にここまで分かりやすくて聞き減りしない、どこにも似ていない王道ロックサウンドを響かせたこと自体、本当に奇跡的なことだと思います。だから全世界から熱狂的に支持されたんでしょうね。この曲はファンの中でも特に人気の高い一曲で僕も大好きですね。


Basket Case / Green Day (1994年)
ニルヴァーナで幕を開けた90年代のアメリカロックでしたが、本来のアメリカの陽の部分を引き受けたのがこのグリーンデイだと思います。70年代イギリスで生まれたパンクを90年代アメリカ仕様に生まれ変わらせて、さらに聴きやすく調理した絶品のパンクロックですね。90年代ロックと言えばこれ、みたいな位置づけかもしれないです。世代的に本当に懐かしいですね。普段洋楽聴かない友人もみんなグリーンデイの「ドゥーキー」は持ってましたから。そこからのシングルカットされた彼らの代表曲です。


Trash / Suede (1995年)
このバンドもこの曲もあるコンピレーションアルバムを買うまで知らなかったのですが、90年代サウンドの良いとこどりみたいな名曲ですね。この曲やこのバンドを知らなかったら少し損をしていた、そんな気持ちにさせる本当に出会えてよかった90年代の曲の一つです。


Don't Look Back In Anger / Oasis (1995年)
いまやイギリスの第二の国家とも言われるくらいにイギリス国民に愛されるオアシスの歴史的な名曲です。洋楽を知らない人でも一度は耳にしたことがあるんじゃないかってくらい、90年代にしてスタンダードナンバーになった感もありますね。オアシスの名コンポーザーのノエルギャラガーが「これは本当にいい曲だから俺に歌わせろ」とボーカルの弟リアムギャラガーに迫って強引にこの曲のボーカルを務めたのは有名な話ですね。


Champagne Supernova / Oasis (1995年)
個人的に90年代で一番好きな曲です。この曲の入った「モーニンググローリー」は本当に歴史的な名盤で、そのアルバムを通して最後にこれを聞くともう死んでもいいってくらいに、あっちの世界に行ってしまいますね、幸せ過ぎて。それくらいこのアルバムの世界観、そして最後にこの曲を聴くと異次元の体験が出来ると思います。


Pretty Fly (For A White Guy) / The Offspring (1998年)
めっちゃラジオから流れまくっていたことを昨日のように覚えています。関西にずっと住んでいるのですが、FM802というラジオ局からほとんど毎日何回もヘビーローテーションでかかりまくっていて、本当にラジオとの親和性のめちゃくちゃ高い曲でしたね。普段洋楽聴かない層にもアピールして大ヒットを記録しました。どこまでも陽に突き抜ける明るさ、何も考えないでロックを楽しむそんな原点を思い出させてくれた曲とも言えるかもしれないです。


Scar Tissue / Red Hot Chili Peppers (1999年)
やっと出てきました。90年代と言えばこれなバンド、レッチリ。1991年の「ブラッド~」も嫌いではないのですが、より洗練された「カリフォルニケーション」の方が個人的には好きなので、90年代レッチリはここからチョイスしました。こんなこと書いてますが、当時はそこまでレッチリの良さが分かっていなくて、まあ悩んでばかりいたのでレディオヘッドばかり聴いていましたね。でも元気になってきた最近になってようやくレッチリの良さが普通にわかってきて、こんな知った風な口がきけているってのもあります。長年のファンからしたら、いろいろと言われそうですが。この記事の最後にふさわしい落ち着いた大人の(?)ロックをどうぞ。


いやあ、90年代のロックは史上最高ですね、こうやって見ると。これ以上いうことないです、下手には。時代が生んだ空気を最高のロックバンドたちが創造性豊かに、この世に産み落としていくロックの魂。そのサウンド。それは今を生きる僕らに、そしてこれからの世代にも永遠に受け継がれていくと思います。ロック最後のそして最大の黄金期「90年代」。そう言っても過言じゃないかも。まあ僕自身本当の黄金期と言われる60年代、70年代の洋楽ロックをあまり知らないので、現時点の知識でしか語ってないので申し訳ないのですが、まあいいか。「個人的」なので。でも最近ローリングストーンズや、ドアーズ、ディープパープルとかのベスト盤借りて聞いたのですが、やっぱりいいですね。これからこのクラシックロックにも手を出していきたいと思います。ではまた何かの10選で。

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