見出し画像

怪談小説という名の小説怪談(ネタバレ有り)

高速怪談

なんと言っても『堀さんの話』から、物語のスピード感が全然違うものになるのが凄かった。5人の職業、人間関係、怪談が苦手な人が助手席、〈車両の揺れが大きくなっています〉の連続で、読みながら頭の中では景色がどんどん速度を上げて後ろへ流れていくような感覚。
石黒さんが閃いて描いていた女性は後々効いてくるとは思っていたけど、足元に置いた堀さんのリュックに😱で澤口さんと共にこっちもビビり、最後の最後で驚き😱

それにしても初対面で、逃げ場のない密室で、あれはやりすぎです、怖すぎ🥶

笛を吹く家

普段から小説を読む時は自然と風景や人物が頭の中に浮かんでくるので、今回も若い親子が頭に浮かんだまま読み進めていて、そしたら息子さんまさかの37歳で「はあ⁉️」ってなって最初から読み直してしまいました😳なんて最高な…

意志のある不気味な幽霊屋敷と若い夫婦の苦悩の印象から、高齢夫婦の悲しい望み…

苦々陀の仮面

学生時代にいじめられていたり、内向的だったという共通点のある仲間と作り上げた映画。監督の話は嘘で塗り固め自分に酔っており、母親の手記の内容が真実といったところでしょうね。関係者を殺害しているのは、映画の撮影にも参加していて本当は吉住さんを助けてあげたかったけど出来なかった関係者かな。尾島監督の部屋まで入れてるから。途中までは母親だと思ってたんですけどねー。
本文の一番最後の投稿者が怪しいと思ったけど“『苦々陀の仮面』の素晴らしさを熱く語ろう“とは思わないだろうから違いそう。
監督が見ていた幻覚「吊り上がった赤い四つの目が追いかけてくる」と、その前の投稿者が言っている「日本神話の木の神ククノチ」はその通りなんだろうな。

映画に関わった関係者は全部で10人。亡くなった人は母親を除くと10人。あれ…

あ、これ犯人は最後の投稿者だな👍

こうとげい

以前は幽霊などは実在しないと言っていた編集長が、妙な体験をしてからは(新婚旅行中に!)実在を信じるようになったそうで、その体験談を同期だったホラー作家が聞くという話。

出会ってしまったのがイザナギとイザナミだし、だけど目に映ったものは人の形でない、距離感も掴めないもの。人類の生みの親である神様とか、虹とか、縁起の良い神様に幸運にも出会えたなら喜ばしい気がするのに生け贄にされかけるって…昔からあるそんな風習を止めるって、そりゃやめ方もわからないしやらなかったら生きていけないだろうし、外部の人に知られたくないだろうし、命が懸かってるんだから続けるしかないかな。
あ、自分達が生け贄にされない為に新しくできた高級リゾート地を利用してるのか😨

この物語に限らず、ホラー小説でその地方にしかない風習とか不思議な話を読んだ後にTVで山奥の集落とか山深い景色とかを見ると、想像力を掻き立てられてしまう。

そしてなんとか助かった編集長夫妻が男女の双子を授かったのも、どういう事なのかさまざまな事を考えずにはいられない😱

うらみせんせい

学園ホラー。放課後、学校から出られなくなってしまった生徒達がどうなるかをドキドキしながら読み進めたら!猪木ちゃん!マジ!?
何が起きているのか、これからどんな恐怖がやってくるのか、この小説ならではの急展開がほんとたまらなく面白い!!

最後に猪木ちゃんに逃げてって言い、助けたいと思ってくれていた西沢さんまで…というより、そんな西沢さんを唯一自分で殺してしまうなんて。
まあ、今までされてきた事を思えば手遅れなんだろうけど。怖すぎる。

一週間も同時に行方不明。しかも学校で。不可解。不可解ついでに思った事だけど、猪木ちゃんは西沢さん達のグループを殺したいほど憎んでいて、この学校の怪談の『うらみせんせい』にすがり、うらみせんせいに殺してもらった訳だけれど、それはそういう出来事を幻覚のように見せていただけで、実際手にかけていたのは猪木ちゃんだったりして。最後に「ニタリ」と笑ったのには「記憶が無い」と嘘をつく以外にもそういう意味もあるような気がしてしまった。

涸れ井戸の声

「小説家は辞めた」という先輩から「香川くんには読んでほしい、ネタが切れたら使ってもいい」と受け取ったUSBメモリ(この香川くんは『こうとげい』に登場していたホラー作家の香川くんでしょう)。

1998年には存在していたホラー小説『涸れ井戸の声』。読んだことのある人は、今まで読んだどの小説よりも怖かったと言うが、記載されていた本を探しても全く見つからないし、著者名がみんな異なっている。

どんな内容だったか聞いても、誰もが思い出すだけで怖いと震えるし、恐ろしすぎてとても口にする事ができないらしい。
読んだ事のある人の記憶にしか存在しなくなる物語ってなんだかロマン溢れる…

この物語は、読んだ人をひとしきり怖がらせ慄かせると別の本へ移動し、この世の本の中を彷徨い続ける…そしてまさに今、動画配信サイトで朗読されている!この場面はほんとドキドキワクワクしながら読み進めました!
そしてその後の展開!からのラスト!も「こんな面白く読ませる小説ある⁉️」っていうくらい素晴らしかったです🥶

怪談怪談

最高に面白かった。「ええ⁉️…ええ⁉️どういうこと⁉️はあ…‼️」ページを遡りまくり。そして再読。

『疑問に思ったことはありませんか。
死者の魂がこの世に留まるとして、それが生前の記憶や、死んだことへの恨み辛みや無念だけで出来てるなんて、誰が決めたんでしょうね?
かつて人間だったのなら、夢くらい見たっておかしくないでしょうよ。』

最初読んだ時「音声記録5」の短い語りの何に注目すればいいんだろうって思ったんだけど、すごいわ…

『嵐に見舞われなかった、自分たちが死ななかった人生を語っているし、亡くなっているから書けるはずのない作文を書き、絵を描き、就職面接の練習をしている』

どんな想いで先生の付き人をしているのかとか、いろいろ考えてしまいたくなる、こんなに入り込める怪談なんて他にないんじゃないかな。
恐怖を与えるだけじゃない怪談。亡くなってしまった76人の想いを1人で受け止めている先生。

どの物語もそれぞれの面白さや恐怖があり、読後に思案に耽る楽しみがあり、いい本に出会えたなぁ📓✨



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?