ショートショート「布団に地球外生命体」#シロクマ文芸部
フトンの中から我が星に発信します。
私は地球外生命体。
「二ホン」という国では、地球の自転公転によって「キセツ」という時間によって異なる温度の変化があるそうで。
今は「フユ」というキセツだそうで。
とても寒い温度の中、私は急遽、とある人間の家に侵入。
侵入した日の日没頃に家主の男が帰宅。
この男は大変危機管理能力が低いようで、言語がお互いに通じないのにも関わらず、私の侵入に「何だコイツ」と言うばかりで、難なく受け入れました。
家の中を探索していると「フトン」という布で作られた製品を発見。
奇妙に思って周囲を探索していると、男が私を抱えて「フトン」の中に入りました。
毒ガス、催眠ガス等の危険物はないと判断。
しばらくすると、男は眠りにつきました。
ここで温度の変化を察知。
あれほど低かった体温が上昇の傾向。
人間は私たちが思っているよりも高度な文明を手にしていたようです。
「フトン」は寒いフユをいとも簡単に乗り越えることができる危険な兵器です。
今はしばらく様子を見た方が良いと判断します。
「フトン」の他にも、「ユカダン」や「テブクロ」などの兵器が存在することも男の発言から伺えます。
男は献身的であるため、十分な食料を得れますのでご心配なく。
フトンの中から我が星に発信は以上です。
「タマー?お前また布団の中にいたのかぁ?猫はコタツで丸くなるとか言うけどよ、いくらなんでも気に入りすぎだろお前」
「ぅべぐぁ」
「ほーら、よーしよし。そろそろ布団も干さねえとなあ。俺の彼女が俺の家に来たいって言っててよー。掃除もしねえと…。あー、めんどくせぇ」
「ぉじぇづ」
「冬ももうすぐ終わるからなー。布団も片付けねえと」
「ぃ¿」
「…タマ?どうした?おい、タマ?」
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