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【舞台】天號星 感想

2023年10月11日 12:00
ライブビューイングにて観劇

宵闇銀次:早乙女太一さん
藤壺屋半兵衛:古田新太さん
人斬り朝吉:早乙女友貴さん

脚本:中島かずきさん
演出:いのうえひでのりさん

下記公式サイトよりあらすじ引用

口入れ屋の藤壺屋主人・半兵衛(古田新太)は、裏で世のため人のため、悪党を始末する〝引導屋〟の元締めとして知られている。だが、実のところは顔の怖さを買われただけの、気弱で温厚、虫も殺せぬ置きもの。表も裏も、真の元締めは女房のお伊勢なのだった。

あるとき、金さえ積めば誰彼かまわず斬り殺す〝狂犬〟こと、はぐれ殺し屋の宵闇銀次(早乙女太一)が現れる。引導屋を潰し、裏稼業の独占を目論む黒刃組に依頼され、半兵衛を待ち伏せして斬ろうとする銀次。だがその瞬間、天號星の災いか、二人を雷が直撃! 半兵衛と銀次の身体が入れ替わってしまう。

そこへ銀次を追って上州から人斬り朝吉(早乙女友貴)がやってくる。朝吉は「銀次の首は自分がもらう」と言い始め、銀次の身体に入った半兵衛は、命からがら逃げ出すはめに。

一方、半兵衛の身体に入ったものの、引導屋の主人とは名ばかりと知って失望する銀次。だが自らの野望を叶えるため、この身体を利用することを思いつく……。

天號星に翻弄されながら、己を生きようとする二人。その運命が交差する先にあるのは果たして――!

http://www.vi-shinkansen.co.jp/tengohsei/

良すぎて余韻が全然抜けないよ…

個人的に見どころは早乙女太一のアクションでした。いや、いつもすごいんだけど、今回は役柄もあいまって目が離せなかった。
銀次の時、半兵衛と入れ替わった直後、朝吉に稽古をつけてもらった後、のそれぞれの殺陣の変化がすごい。
殺し屋の剣のスピードは鬼のように速く、中身が別人の時の剣はそれはそれはへっぴりで。こんな腰引けたへっぴりの早乙女太一は見ていいものなのだろうか?と、あまりに貴重絵面過ぎて変な疑問もわいてきた。
殺陣以外にも中の人の芝居が良くてねえ。入れ替わっているとはいえ、こんな人情味溢れるキャラを早乙女さんが演じてくれるなんて思ってもみなかったし、嬉しい驚きでもありました。

最後。強大な敵である古田新太(in銀次)と娘を守るために必死で戦う早乙女太一(in半兵衛)の最後の斬り合いは観ていて血が沸くわ、あれあれと混乱するわで大変でした。
何に混乱していたかというと、あの早乙女太一が新感線の王道主人公を演じている!!!という興奮がまあほぼ全てといってもいいです。
(いやあのちゃんと気づいている人はもっと早くに気が付いていたんでしょうけども)
半兵衛と銀次の中身が入れ替わるということは、つまり早乙女太一がこの作品の主役を演じるという意図もあったのです。

こんな贅沢があっていいの?

半兵衛は自分の身体ごと銀次を切り伏せ、勝利します。娘の命は守られたが、もう二度と彼は昔の自分には戻れない。
かといって人斬りの身体では娘とともに暮らすことも叶わず、彼は明日をも知れぬ逃亡の旅へ向かわされます。

幕引き直前の、早乙女太一の外連味たっぷりの口上と見栄を切る様には痺れました。
ストーリーの結末も見事なら、半兵衛という役を役者を違えて終幕まで運んできたこの物語。
いわば新感線の花形役者である古田新太から早乙女太一への継承にさえも思えて、錯覚かもしれないけど、勝手に感激して震えていました。

劇団を追って舞台を観てきて、こんな瞬間に立ち会えたことただただ感謝しかありません。ほんと観れて良かった!


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