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なにが見える?

 大きなショッピングセンターの中から出てきた保育園児の集団に遭遇しました。見学でしょうか?
 とってもきれいに一糸乱れず並んで歩いているので、不思議に思ってすれ違いざま、挨拶を交わしながら、よくよく見ていると。綱で結ばれたリングをこどもたちが両側から握っているのでした。リングはいくつもあるので、それをふたりずつで握っているのですね。カラフルで可愛らしいリングです。先生は前と後ろで同じリングを握っています。
なるほど…きっと保育園児の安全を考えた工夫なのだと思います。
 

でも、直観的に思ってしまいました。
こうやって「注意力散漫」が育てられるのかと

 
だって、想像してみて?

リングを握ってさえいれば
遅れずに 列を離れずに
ついていけるのです。

管理のしやすさは間違いありません。
安全の確保も達成率が高いものでしょう。
大切なお子さんを預かっているのですから、こどもたちの安全は何より優先されるものだと思います。
だから、小さな子を「預かる」施設の対応・対策、そして方針としては、ひとつの正解だと思います。

 ただ、【こどもが育つ環境】として見た時、やはり考えてしまうのです。



リングを握っているから
誰についていくのかを注意してなくていいし
どこに向かって歩いているのかも気にしなくていいし
真横を眺めていても
後ろに視線がいっていても
「まっすぐ正しい方向に」歩けてしまうのですね。
注意力なんかひとつも無くても
できているように【見えて】しまうのですね。
 
 
気になったものがあっても
自分の意思で「立ち止まる」選択肢は、よほどの強い意志がなければ、あるいは優先するものが「みんな」であれば、その選択は実行されないことでしょう。
「リングを握って、離さないで」
それさえ従うことができてさえいれば
「良い子」でいられることを、幼い子でも感じとることでしょう。
 

 
《こどもの気持ち》
ひとりひとりのこどもの心の動きに
寄り添う時間はあるのでしょうか

これはなにも「保育園の方針」に物申す話ではありません。
「こどもが学び、育つ環境を考える」ヒントに、参考に「考える」きっかけになるものです。
私はこう思います。
 
 
手をつないで歩いている時
もし、子が どこかに視線をとばしているなら
ちょっと立ち止まって
一緒に、視線のその先を眺めてほしい

空かもしれない
雲かもしれない
鳥かもしれない
虫かもしれない
木になった実かもしれない
すてきな色した洗濯物かもしれない
 
一緒に、その時間を共有していたい
こどもの世界、こどもの時間はとても素敵だから
とてもすばらしいから
とても美しいものだから
とても愛しいものだから
 
風かもしれない
音かもしれない
響きかもしれない
 
なにを感じている?
なにを見ようとしている?
なにを知りたいと思っている?

そんな「集中力」を
逸らさずに
見逃さずに
注意を向ける手伝いは
おとなができることだと
そう思うのです

研ぎ澄まされた感性が
閉ざされないように、邪魔されないように
思う存分、発揮できるように
息をしているその世界を味わう時間と感性を
守ることができるのは、こどものそばにいる大人たちです

どうか【時間】を
おとなたちは自分に贈ってほしい
こどもたちの世界に入り込む時間を
こどもたちは きっと、いつでも招待していると
思いますよ

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