海王みちるさんはわたしの誇りなので

海王みちるさんとは、美少女戦士セーラームーンに登場する、地球、太陽系、最終的には銀河系を守るべくたたかう戦士である。クロスのパンプスとチョーカーがかわいい優雅なお姉様、セーラーネプチューンだ。

芸術を愛する筋金入りのお嬢様だけれども、セーラー戦士の中では特にシビアな態度を堅持する人である。
そして、わたしの敬愛してやまない人である。

彼女には、大事なパートナーがいる。天王はるか、セーラーウラヌスだ。タキシードさんよりもイケメンとの説もある金髪ショートの美人さんである。

ウラヌスのセクシュアリティは、アニメで見ている限りでは、よくわからない。女性を恋愛対象とするのは確かだろうけど、性自認はどうもわからない。
ただ一つはっきりしているのは、徹頭徹尾、海王みちるさんが天王はるかちゃんを愛していることだ。

みちるちゃんはセーラースターズという、90年代放映されたなかでは最後のシリーズで、特にはっきりはるかちゃんとイチャイチャしだす。
そんな中の一話が、ずっと心に残っている。

バイオリンに堪能であらせられるみちるさんは、宇宙人(ガチ)のイケメンアイドルグループとジョイントコンサートをする。
演奏中、イケメンたちとみちるちゃんはお互い「こいつ普通の人間じゃない!」と気付き、探りを入れにかかった。

そこで双方選んだ手段が色仕掛け、早速楽屋で攻防が始まったところにはるかちゃんとセーラームーンうさぎちゃんが現れた。無論修羅場である。

宇宙のイケメンは「いい男連れてんじゃん」と、うさぎちゃんに絡んでいく。
うさぎちゃんはすぐさま
「失礼ね!はるかさんは……」
と言い返すのだが、そこでみちるさんが口を挟む。
「わたしの大切な人よ」。

たぶんうさぎちゃんは、「はるかさんは女の人よ」だとか、あるいはそれに近い言葉で言い返そうとしたのだろう。
しかしみちるさんは、それを言わせなかった。はるかが男でも、女でも、どちらでもなくてもなんでもよくって、他人からそのいずれかに当てはめられるいわれはどこにもなくって、とにかくはるかははるかであると肯定した。
そうやってカテゴライズを拒み、みちるさんの大切な人であると規定することで、最大限はるかという個人を肯定したのだと思う。カテゴリーと個人の混同を認めず、特定の個人と個人との関係性に基づいて、はるかをはるかであるとしたのだ。

わたしはこんな風に、人を尊重できる人間になりたいと、ずっと、みちるさんを知ったあのときからずっと思っている。ずっとみちるさんを尊敬している。

わたしは今誰とも恋愛関係にない。けど、もし誰か相手ができて、その人を名前以外で規定せねばならない局面がきたら、わたしも「大切な人」と呼ぶようにしよう。「彼氏が」なんてけして言わない人間になろう。
みちるさんははるかを「はるか」(あるいはウラヌス)以外の名で呼ばなかったし、呼ばせなかった。

最近のおしゃれでクレバーな人ほどもう「彼氏」「彼女」とかいう言葉は使わなくなっていて、「恋人」「パートナー」のような言い方をよく見る気がするのだけれども(あとお店のBGMに邦楽を使うし雑居ビルを好むと思うのだけれど)、
それはそれで何かちょっと、わたしのなかでは根を下ろしてない言葉だなぁという感じがあった(それ自体が日本語の未熟さのあらわれで、最初はぎこちなくたって進まないといけないわけだから、そういう言葉を使っている人たちには心から敬意と感謝を表したいけども)。

「大切な人」は、パートナー以上に字数も張るし、こなれた言い方ではないけれど、
なんといったって海王みちるさんのお言葉なのだ。それで人を呼ぶだなんて、相手への祝福でなくて何だろう。

ちょっと長いから略すだろうけど、略したってエッセンスはけして変わらない。
みちるちゃんにもらった最高の言葉「大切な人」から、最強にキュートでやさしいあだ名をうんでみせるよ。

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