ポイントカード

シマ:6月17日


ポイントカード。持つ派と持たない派がいる。
持たない派の意見としては、財布にカード類を増やしたくない、
作成時の登録の手続きが面倒、持ち運ぶ手間に対してポイントの還元率や特典が魅力的でない、
そのようなものが多いだろう。
最近では、カードでは持たない派だったけどアプリに移行してからは貯めるようになった。という人もいるだろうか。

私も基本的には持たない派だ。
財布がかさばるのがとにかくイヤで、少しでも膨らんでくると不要な領収書を取り除いたり、一時的に財布に入れておいた二軍カードなどを整理する。
私の場合、運転免許証、クレジットカード、保険証、ETCカードが一軍で、通院中の病院の診察券ですら二軍にしてしまう。
自分でも不思議なくらい財布のスタメン選考に関してはとてもシビアだ。

そんな私が唯一、一軍として保持しているポイントカードがある。
駅前の本屋のポイントカードだ。この街に引っ越したばかりで“新しい街“というのに浮かれていた頃に「きっとこの本屋に通うことになるだろうな。漫画を全巻衝動買いする時などもきっとこの本屋を利用するだろう。」という軽い気持ちで作成し、今でも一軍に紛れて財布に入っている。もう10年以上前だ。

それから10年のあいだに、街の本屋はどんどん閉店した。二番目によく利用していた逆の方角にある本屋も、駅中の本屋も。生き残った本屋はポイントカードの本屋だけとなった。財布になんとなく入れていたポイントカードがいつしかお守りのような存在のようにも思えてきて、財布から抜いてしまったらその本屋が潰れてしまうんじゃないか。などとよくない想像などしてしまい一軍に定着してしまったのだ。財布を替えるタイミングでもそのポイントカードは移し替えた。免許証やクレジットカード等と違い更新のタイミングがないので、黒色のプリント面は一部擦れ、下地の色が浮き出ていてボロボロだ。

紙媒体で欲しい本は意識的にその本屋で買うようにもなった。出先の本屋で見かけた本も極力ホームタウンに戻ってきてから買うし、コンビニで買えるコナンの新刊でさえもわざわざその本屋へ足を向ける。この私の健気な活動が、その本屋の存続に少しでも繋がれば良いな。という超ピュア且つおこがましい気持ちで通い続け、その度にポイントカードを提示している。もはやポイントカードは「還元」を貯める物質というよりも、その本屋に対する「忠誠心」を刻み込むような認識でいるかもしれない。

それがゆえに、ポイントがいくら分貯まっているかにあまり興味がなく、一度も確認したことがなかった。もしもこの本屋が潰れてしまうことがあれば、自分がこの街を離れることがあれば、一括でいくのに勇気が必要な全集があれば、その時こそに「そうだ!ポイントカードの出番だ!」といった感じで使用できればと思っていた。

先日、その本屋で本を買った。会計のタイミングで掛かってきた電話に気をとられてレジにポイントカードを出す事を忘れてしまった。
会計後だったので少し躊躇したが「今からでもポイント間に合いますか?」とカードを差し出すと店員さんは「大丈夫ですよ、一度レシートだけ預かります」と快く受け入れてくれた。買い物番号のようなものをレジスターに手打ちし、無事カードにポイントが付与された。
その店員さんはもう一枚レシートのようなものを差し出してくれた。
それはポイントの累計を記したレシートであり、そこには「7pt」と印字されていた。

ポイント累計:7pt!?

目を疑い、レシートをよく見たが100円に付き1円として還元されるポイントが7ptしか貯まっていない。今買った本が715円なので本日のお買い物分のポイントだ。そして7ptの下部に「ポイントの有効期限は1年です」と記されていた。

私はこの10年間余り、ポイントを貯めては失効し貯めては失効しを繰り返し生きていたのだ。

帰り道、使ったことのない喫煙所でタバコを一本吸って帰宅した。

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