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39歳父の竹修行奮闘記 第十八回「青竹で扇風機をリメイク!」

【前回までのあらすじ 】
39歳でひょんなことから別府で竹細工を学ぶことになった私。竹細工をする上で、とにかく大事な材料作りであるひご取り。竹を割って、剥いで、幅を揃えて、面を取って、うらすきで厚みをそろえて、とうとうひごが出来上がる。まず風車と四海波かごを作って、第一課題「六つ目編み盛りかご」、第二課題「鉄鉢盛りかご」が完成し、夏休みを経て、いよいよ二学期が始まった!

今までは訓練校での訓練の様子を紹介してきたが、そろそろ勝手なことをやり始めようと思う。

前にも説明したが、訓練で使う道具に関しては、基本すべて無償貸与だ。一部砥石などの消耗品は実費で購入するが、そのほかは全て訓練校の道具が使える。これも訓練校で学ぶ大きなメリットだ。通常は学校で学ぶのに、道具を一式揃えるだけで何万(場合によっては何十万)もかかって、大きな負担となるし、一定の技術を習得してから自前の道具を揃えたほうが自分に合った道具を選ぶことができる。

とはいえいつまでも訓練校の道具のみでは、家で竹仕事ができない。

というわけで、少しずつ道具を揃え始めているが、まず購入したのが竹割り包丁

大分県国東市にある吉竹刃物で購入。お値段8500円也。

今回はこの竹割り包丁を駆使し、この5ヶ月ほどで習った技術を総動員して、扇風機のリメイクに挑戦する

材料調達

訓練校では油抜きをした晒し竹(象牙色の竹)を購入しているが、いかんせんお金がないので、古民家に住むクラスメートに青竹を切らせてもらった。

金だわしで水洗いすれば表面の汚れはたいてい落ちる。

それを半分に割った状態(半割り)で持ち帰って、アパートのベランダに保管。直射日光が当たらないように、ブルシートをかけている。

今回使用する竹は以下の通り。長めの竹と短めの竹をそれぞれこのくらい。

網代作り

まずは扇風機の中心部分に来る網代(あじろ)を作って行く。

まずけがきコンパスで6mmの部分にしるしを付ける(スミ付け)。

そして今回は竹が短いので、そのまま割っていく。(割りについては、第五回を参照のこと)

真ん中に刃を入れて、少しずつ細くしていく。

さあ網代用の竹が割れた!

つづいて剥ぎ。まずは突き剥ぎという包丁の胴金(どうがね)という部分を使った方法で一回目(荒剥ぎ)を剥ぐ。(剥ぎについては第六回を参照のこと)まず刃の部分で包丁を入れて、

胴金部分を入れて、剥いでいく。

そして更に薄く剥ぐ(うす剥ぎ)ために、口剥ぎという口を使った方法で剥ぐ。

網代用のひごが剥げた!

通常はここから幅取りで幅を揃えて、うらすきで厚さを揃えて、面取りで角を取るが、まだ道具が揃ってないこともあり、今回は割愛。

早速網代を編んでいく!(網代については第十七回を参照のこと)

今回はすべて3飛ばしで編んでいく3本網代。薄く剥いだ竹がどんどん平面に織られていく。

編みあがったら、丸くしるしを付けて、フチの部分をボンドで接着して取れてこないようにする。

ボンドが乾いたら、ハサミでじょきじょき丸くカットすれば、網代は完成!

輪弧作り

続いて扇風機の格子の部分となる輪弧作りに入る。網代と同じく6mmでスミ付けをしたら、割っていく。

輪弧用のひごが割れた!

そして剥ぐ。荒剥ぎは通常の突き剥ぎを使ったが、うす剥ぎは足剥ぎという足を使った方法で剥ぐ。(本当は足の指の間にひごを挟むが、うまくいかないのでカカトで押さえている)

輪弧用のひごが剥ぎあがった。

薄く剥いだ竹を、更に半分に割る(小割り)。

仕上がったひごで、輪弧を組んでいく。(輪弧の作り方に関しては、第十五回を参照のこと)

輪弧が一枚完成した。これを二枚用意する。

仕上げ

丸く切った網代を二枚の輪弧の間に挟んで、ドッキングしていく。(輪弧のドッキングの仕方については、第十六回を参照のこと)

今度は、うちの扇風機のカバーをはずし、鉄製の格子部分をニッパーで全て切る。

この外枠を使って仕上がった輪弧を固定する。

プラスチックの枠に合わせてひごをカットし、まず枠内に輪弧をセットする。

マイナスドライバーを使って、枠をはめ込んで輪弧を固定する。

できあがり

動いている様子はこちら!

まとめ

収穫

・とりあえず既存の外枠を使った固定方法は上手くいった
・涼しげなビジュアルは想像以上によい
・Facebookでのリアクションもよかった

反省点

・網代の径と輪弧の径に差がありすぎた
・輪弧のひごが48本では隙間ができ、子供の指が入ってしまう
・幅と厚みを揃えてないので、輪弧の目がバラバラ
・輪弧の余分なひごを適当に切ったので、一部枠に届かないひごがあった

次回試作に向けて

・網代の径を改善し、更にひと工夫加える
・輪弧の本数を増やし、幅と厚みを揃え、目揃えをかっちりやる
・ある程度の仕様(ひごの長さ、幅、厚み、本数、仕上がり寸法など)を確定する

包丁一本でも、荒削りな技術でも、扇風機が涼しげに生まれ変わった!この事実は大きい。

竹でイチからモノを作ることも確かに素晴らしいが、すでに家にあるものを竹でリメイクしたりデコったり、というアプローチで、訓練で習った技術の復習をしながら、新たな価値提案ができたら、と考えている。

まだまだ竹が入り込んでいない未開の地が広がっているに違いない!楽しくなってきた!

そんなわけで次回もお楽しみに。

いつもご覧いただきありがとうございます。私の好きなバスキング(路上演奏)のように、投げ銭感覚でサポートしていただけたらとても励みになります。