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14 コラム: 身体は水の入った皮袋?

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「水の入った皮袋」とは

 管楽器の演奏の上で、とても大切なのは唇と舌先の感覚です。特に意識を集中しなければならない場所です。加えて、演奏という行為の中での「呼吸法」のテクニックでは、全身の感覚を敏感にする必要もあります。全ての感覚を一つにまとめてコントロールするのにとても有効な方法があります。

 体を「水の入った皮袋」として意識する。

 このイメージの仕方を、私は東京藝大の体育の教官だった野口三千三先生に教わりました。野口先生は「野口体操」の創始者として知られている方です。

 私たちの身体は「骨があって」「筋肉が付いていて」「体液があって」それらを「皮が覆っている」のではなく、皮膚という大きな「皮袋」の中に水(体液)が満たされていて、そこに骨や筋肉や内臓が「ぷかぷか浮かんでいる」というのが野口先生の身体観です。
 なんだかリラックスしてきませんか。

身体の各部が連携して仕事をする感覚

 身体の複数の部分が必要に応じて連携して仕事をする、という感覚があります。演奏時にはこの感覚が大事になってきます。手指と舌と唇を同時に動かすことの重要性は、皆さんもよくご存知でしょう。さらに、息(呼吸)を連携させることも必要なわけですが、これがなかなかむずかしい。

 あたかも空気が意志を持つかのように、息はそれ自体がいろいろな表現を行います。実際に動くのは筋肉ですが、筋肉を意識して動かそうとすると、とてもぎこちなくなってしまいます。

 「息を呑む」とか「腹が据わる」とか、体で感じるあの感覚。それに続けて体を「すっ」と楽にすると、息は仕事をし始めます。このとき特に、「皮袋」がリラックスした感覚が大切です。

 演奏という行為に伴って、身体の各部が一体となって動く瞬間が連続します。その感覚をうまく表現する言葉が見つからないのですが、たとえば、数学の難問に取り組んでいて、突然、解き方がひらめいた時に全身を貫く「Aha!」という感じ。

 野口先生は、「ああ!」 だとアタマだけで身体は反応しない、だが、「Aha!」と“h”が入った瞬間、初めて身体に落ちる、とおっしゃっていました。

 演奏中にはまた、楽器と直接触れ合っている皮膚(唇や手指)の感覚も大切にしてください。アンブシュア(口のカタチ)を工夫する際にも、この発想が役に立ちます。

 日々変化していく身体の中で、最も寿命の短い「皮膚」。その感覚はとても繊細で、ダイナミックで奥深いものがあります。あなたが毎日格闘している身体は、「水の入った皮袋」だったのです。


→ 次回へ続く


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