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漱石に罪はない

生まれて初めて、お金を捨てた。

比喩的なことじゃなくて、文字通り、お札を燃えるゴミに出した。

なぜそんなことをしたのかと言うと、目の前から一刻も早くなくしたかったから。存在そのものをなくすことで、嫌な気分も一緒に消えてくれるから。おかげで今は軽やかな心持ち。

そういう理由で、私は捨てることがけっこう好き。もったいないとか言いながらとっておいた不要な物には不要な感情もくっついていて、いつまでも気持ちの整理がつかないのはそこに原因があったりすると思ってる。

病気したあとに身についた考え方だから、まだまだ物が溢れてる。早く捨て切りたいな。

今回捨てたお札、金額はわからない。開けることすらしなかったから。出処は夫の親族。うん、お年玉ですね。私の夫への恨みは、自分で思ってる以上にこじれてるのかもしれない。もはや私にとってそれはお金じゃなかったし、捨てる以外の選択肢はなかった。

子供には、ごめん。今回捨てた漱石は私が稼いで、君の口座に入れておくことを約束する。

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