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薬局経営にMBAの知恵を注入

薬剤師兼起業家の海老沼です。
薬局の事業承継から1年6か月が経ち
2店舗目の立ち上げも順調に進んでおります。

Xで薬局経営に関する発信をしていると
独立を検討している薬剤師の方から
ご相談を受ける機会が増えてきました。

まだまだ私は大それたことは言えませんが
MBAでインプットをしてきたことを
アウトプットしてきた経験がある
ので
少しまとめていきます。

かなり抽象度の高い内容ですが
これから薬局経営を目指される方の思考の整理に
少しでもお役立て頂ければと思います。


1.経営の全体像

私が考える経営の全体像は
この1枚のスライドだけです。

資料一部引用・改変

自社の置かれている環境を
外と内に分けて考える必要があります。

こちらの考え方は
グロービス経営大学院の先生に教わりました。

2.外部環境分析

まずは自社が置かれている
外部環境を分析します。


2-1.業界特性

そもそも薬局業界とは
どのような業界なのか?
を理解する必要があります。

国民皆保険制度の中の調剤報酬
というものに規制されている産業です。

日本のマーケットだけで考えると
高齢化が進んでおり
年齢と共に医療需要が増大
成長市場であると考えられます。

自社の業界を俯瞰して見て
政策にどのような動きがあるのか
ステークホルダーは誰がいるのか
産業構造を理解することが重要になります。


2-2.商品特性

どのような商品があるのか?
取り扱う商材によっても
自社のアプローチが異なります。

保険の枠内である処方せん医薬品もあれば
保険外の市販薬もあります。

サービスという観点では
在宅対応も一つの商品特性になります。

薬は高額で期限があるという観点からも
在庫の管理は重要です。


2-3.競合分析

競合はどのような動きをしているのか?
を確認する必要があります。

中小企業の立場から見れば
大手の薬局はどんな戦略を取っているのか?
上場企業であれば
会社のホームページのIR情報
今後の戦略について記載があります。

もっと細かい粒度で見ると
自社の商圏内の薬局が
どのようなことをしているのか?
どこに課題があるのか?
調べる必要があります。


2-4.顧客分析

顧客が何を求めているのか?
を分析します。

地方なのか?都市部なのか?
年齢層が高いか?低いか?
C向けなのか?B向けなのか?
顧客のセグメントによって
ニーズが全く異なります。

大事なことは
顧客の購買決定要因は何か?
を理解することです。


上記4点を抑えた上で
どの業界で、どの商材を扱い、どこの顧客を狙うか?
そして、競合が何をしているのか?を分析し
業界での勝ち筋を見出します。

3.内部環境分析

次は自社内の分析をします。


3-1.志

MVVという言葉もよく使いますね。
(※Mission/Vision/Value)

社長、経営陣がどのような方向性に
会社を導いていきたいのか?
会社の取るべき戦略が異なります。

地元に貢献したい
在宅医療に取り組みたいなど
トップの価値観の問題なので
正解はないかと思います。


3-2.経営戦略

業界の勝ち筋を見極めながら
志をどう実現していくのか
独自の経営戦略を考えます。

Xを見ていると
在宅や零売に特化した薬局もあれば
薬局だけにとどまらず
飲食との掛け合わせの戦略をとる経営者もいます。

自社の使えるリソースが少ない場合は
やるべきことと、やらないことを決める
ことが大事ですね。


3-3.マーケティング

外部環境の顧客・競合分析をした上で
一般的には【4P】で考えます。

Product:何の商品を売るのか?
Price:いくらで売るのか?
Place:どこで売るのか?
Promotion:どうPRするのか?

薬局業界の特殊なところは
近隣の医療機関に依存する傾向があるため
ここは薬局独自の創意工夫が大事ですね。


3-4.財務

経営戦略を実行していく上で
いくらお金が必要なのか?
毎月どのくらいの売上が立ち
どのくらいコストがかかるのか?
を把握する必要があります。

基礎の基礎ですが
PL/BS/キャッシュフローを
理解する必要があります。

(デッドファイナンスは
 私の得意な領域なので
 M&Aの話も含めて別途Blogで
 まとめていこうと思います。)


3-5.オペレーション

上記戦略を実行していく上で
社内のオペレーションをどう構築していくのか?
一般的には『QCDF』で考えます。

具体的には
Quality:薬剤師の知識の担保・服薬フォローアップ
Cost:薬の調達を如何に安くするか
Delivery:如何に患者さんに早く薬を提供するか
Flexibility:オーダーに対して柔軟な対応できるか
などが考えられます。

薬局の現場で働いていると
オペレーションの観点が
一番イメージしやすいですね。


3-6.人・組織

上記オペレーションを確立していく上で
どんな人を採用し、どんな組織体制にするのか?
を考えます。

私個人の意見として
誰をバスに乗せるのか?
採用が最も大事だと思います。

採用に失敗すると
金銭的コスト教育時間的コストもかかるため
思い描いた経営戦略を
実行できなくなる可能性があります。

一方で、組織が小さい時は
優秀な人が1人入るだけでも
経営戦略の実行力が格段に上がります。

人って大事ですね!


3-7.IT

上記施策の効果最大化のために
ITツールを導入します。

例えば
マーケティングのためのGoogle広告
人・組織活性化のためのSlack
オペレーション効率化のためのGoogle スプレッドシート
などがあります。

何のためにITツールを導入するのか?
そして
ITツールを導入後の組織マネジメント
が大事だと思います。


上記の7点を抑えることで
経営の全体像が埋まります。

大事なことは
上下のピラミッドの整合性が合うこと
だと思います。

外部環境は時間が経てば変わります。
それに合わせて
社内(内部環境)も変化させる必要があります。


外部環境に追い付けない会社の例

大きい会社ですと
ここの変革部分が大変そうですね。


4.まとめ

MBAで学んだ論点で
薬局業界や自社を整理することで
今どこに課題を抱えているのか?が
クリアになります。

これだけ考えなければいけないことが多く
何年も会社経営をしている人は
本当にすごいと思います。

私は地元足立区に貢献したい
という想いもありますので
そんなチャレンジができているだけで幸せです。

少しでも足立いつき薬局
興味がある方はXでも、instagramでも
良いので、お気軽にお声掛けください😊