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【消しゴムは光を与える道具】カロリーメイト受験生応援CM「光も影も」篇を考察する【後編】 #美大受験 #美術予備校 #デッサン


シリーズでカロリーメイト受験生応援CMについて分析しています。
前篇はこちら↓

カロリーメイト受験生応援CM「光も影も」篇を考察する【前編】

前編で「予備校シーンはKILALA美術学院さんだと特定」と書いたところ、KILALA美術学院さんも発表されましたね。

撮影は10月中旬だったそうです。

また、11月27日から1週間、東急渋谷駅構内、阪急梅田駅の駅構内に広告が掲出されるとプレスリリースに書いてあって「ちょっと見に行く時間ないなあ・・」と思ってたけど、昨日新宿駅前を通ったら、

巨大なのがドーンと出てた。

このCMのテーマは「受験の多様性」

見るたびに新しい発見があるもんで、プレスリリースを読んで、

引用元:カロリーメイト CM|「光も影も」篇 120秒

「あ。このシーンって推薦入試で早く進路が決まってる子たちがキャッキャしてるシーンなのか」と気が付きました。
このCMでは「選ぶ大学や受験方法の多様性」がひとつのテーマにあるんですって。

問題を解く受験勉強以外に、美大や音大など芸術系の勉強をしてる人もいる。
また、私たちの世代は「AOや推薦入試、指定校(年内入試)」というと、頭がすんげーいい人か、評点がめっちゃめちゃ高い人しか受けられない、かなり特殊な入試だったけど、今や一般の私立大学だと入学定員の結構な割合を推薦入試・総合型選抜が占めるようになりました。関西だともう7,8割が推薦で決める時代になってます。
うちらの頃と違って、12月ぐらいまでに大学が決まっている子がかなりいるってことなんですね。

もう一つ余計なことを書くならば、更に状況は変化していて、これだけ大学が指定校枠をホイホイ出すようになると(大学側の立場が弱くなると)、以前は「高校の代表として恥じない人を送る」のが指定校推薦だったけど、「頑張れる子は一般選抜で。厳しそうな子は指定校で(それでも大学は来年も指定校枠を出してくれる)」としてる高校指導部があるという噂も・・。

話を戻して。
というわけで、今回は手羽がこのCMを見て「わかってる人が作ってるなあ」「美大受験のアドバイスに使えるなあ」と思ったことを2つ書きます。

数学って何が面白いの?

「数学ってさぁ、何が面白いの?」
「んー、美しいとこ?」
「じゃあ一緒か」

引用元:カロリーメイト CM|「光も影も」篇 120秒

CMでは黄金比が例に出てきます。
またこの記事の動画を見ると、

数学者の「遊びが本気に」 何個つなげても無限に回せる図形 特許も:朝日新聞デジタル

「つきつめると数学って美しいなあ」と感じます。

手羽はこのフレーズを聞いて思い出したことがありまして。
20代の頃、大学独自の入試ではマークシートではなく記述式の試験をやってたんで、数学の採点者に「数学は答えが1つなんだから、採点は英語や国語と違ってパパーと終わっちゃうでしょ?」と聞いたことがあるんです。今思うとかなり失礼な質問(笑)
すると先生からこう返ってきました。

「自分の論理展開をちゃんと整理して書いてるぞ。きれい」
「これは私たちも思いつかなかった面白いアプローチだな」
と感じながら、記述式では採点してる。
数学は答えは一つだけど、アプローチは複数あり、そこには「美しさ」がある。

手羽は数学が嫌いだから美大に進学したようなもんなんで、「数学に美がある」なんて発想がなく、目から鱗でしたね。

また、美大で学科試験で受験できる方式もあるから、最近は受験生(の親御さん)から「学科試験だけで入学して、美大でついていけるんでしょうか?」と聞かれることが増えてまして、私はこう答えてます。
「もちろん本人の頑張り次第ですが、基礎デザイン学科は創立時の1967年から国語、英語、数学だけで入学できる方式をやってます。ついていけない人が多かったらとっくにやめてます」と。
美術は感性的なものだけ求められるように思われてますが、論理的な思考も重要で、その能力を見るために数学のみ入試もやってるんですね。
「美をどのアプローチで求めるか」の違いだけで、そこは数学も美術も一緒。美大なので実技力が必要なシーンもありますが、自分の得意技がなんなのかわかってれば、それほど心配することはありません。
「数学と美術は共通項がある」ことに触れたCMであり、それを知ってる方が企画されたんだろうなあ、と。

消しゴムは間違いを消すものじゃなくて光を与える道具

「消しゴムってさ、間違いを消すものじゃなくて、光を与える道具なんだって」
「光?」
「デッサンの話だけどね」
「あー、なんかいいね、それ」

引用元:カロリーメイト CM|「光も影も」篇 120秒

CMの中で一番印象的に使われてるフレーズで、今回のタイトルにもなってます。

デッサンでは木炭や鉛筆で「描く(付け加える)」以外に、消しゴムやガーゼで「消す(削る)」ことで濃淡や光を表現します。
デッサンにおいて消しゴムは「間違ったところを消す」ネガティブな道具でなく、「光を生む」ポジティブな道具なんです。
あ、デッサン道具については、このサイトに詳細が描かれてるので一度ご覧ください↓。造形ファイルはとっても便利。

美術予備校や画塾に通いだして、多分誰もが最初に学ぶのは「アウトラインは存在しないこと」だと思いますが、その次は「光や影の明るさは一種類じゃない」ことじゃないでしょうか。

よーーくモチーフを観察すると、光や影も場所によって明るさ・暗さが全然違うし、影の中にも反射光で明るくなってる部分がある。
その濃淡や明暗、階調をデッサン用語で「調子」と言いまして、「調子がきれい」「調子が整ってる」と使います。デッサンは構図や形が取れてることも大事だけど、多少形が悪くても調子が整っていたら、かなりいいデッサンに見えちゃうもんで。
しかし、消しゴムで消すところは光が当たってる部分であり、光が当たってる(明るい)ってことは光源に対して出っ張ってる部分。「消すことで出てる部分を表現する」ってなんか面白くありません?

もう少しこのCMを深読みすると。
一度鉛筆をのせた場所は、消しても完全には消えないから明度100%に戻りません。ここがデジタルと違うところで。
画面の中で一番白い部分(ハイライト)は「何も描いてないところ」だから、画塾で「一番明るいところは何も描くな。それを計算して描け」と教わりました。
「消すことで光を生むことができる。でも本当に一番明るいのは何も手をいれてない部分」
であり、「一番光ってるのは素の自分だよ」ということもメッセージに隠れてるんじゃないかしら。深読みしすぎ?

ちなみに木炭デッサンは信じられないかもしれませんが、いまだに食パンの白い部分を練って消しゴムとして使ってます。ファインアート系の美大受験を経験した人なら「使わない耳や硬くなったパンをかじりながらデッサンした」想い出を持ってる人も多いはず。手羽がそうで、いまだにトーストの匂いをかぐと受験時代のアトリエ風景を思い出すんですよね。(それ用のトースターがあった)


以上、CMで使われてる曲は、

今の受験生が幼い頃に見ていた可能性が高い「スマイルプリキュア!」のオープニング曲が使われてるそうだけど、実はリアルタイムで見てました、の手羽がお送りいたしました。
うちのあかりちゃんが高2だから、まさにドンピシャに一緒に見てただけで、一人で見てたわけじゃないからそこんところよろしくお願いいたします。
ま、翌年の「ドキドキ!プリキュア」からいつのまにかあかりちゃんが見なくなり、しばらく1人で見てたけども。


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