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【入稿デザインデータ】どんなチェックをしてるの?(Photoshop編)💻🙄❓

先日はIllustrator編を書きましたが、今回は「Photoshop」のデザインデータチェックの事をnoteに書こうと思います。

Illustratorも同様ですが、Photoshopデータもお客様から御入稿頂いたデザインデータは、何も確認せずにすぐに製作作業に移るわけではなく、一度「デザインデータチェック」を行い、不備が無いと確認できてから製作作業に移ります。


Illustrator編でも書きましたが、テックトランスではIllustrator(Ai)形式かPhotoshop(PSD)形式のデザインデータ形式でのご入稿をお願いしておりますが、今回は「Photoshop形式」のデザインデータチェックになります。
Illustrator形式のデザインチェックは、前回の↓の投稿を御参照下さい。


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【デザインデータチェックとは?】

上記/Illustrator編でも書きましたが、テックトランスに御入稿頂いたデザインデータは、「印刷作業が行なえるかどうか」のチェックを行ってから製作作業を行います。
不備が見つかった場合は印刷作業が行えないので、お客様(デザイナー様)にデータの修正の連絡し、修正後のデータの再入稿をお願いする事となります。

またチェック時には「誤字/脱字」や「着色」、配置項目やページ順(曲順)など、お客様やデザイナー様側でないと正しいか分からない様な項目の確認は行っていませんので、あくまで「印刷作業が行なえるかどうか」のチ、デザインデータ御入稿前にはお客様側で配置されている情報が正しいかよくご確認されてから、テックトランスに御入稿下さいね。

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【Photoshopデザインデータチェック項目】

基本的なチェック項目はいくつかありますので、ここで紹介していきます。

チェック項目以外でも、「印刷はできるけど、たまたま見つけたこの点は、このままで良いのかな・・・?」と気づく事のできた箇所は、お客様に確認の連絡します。

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手順.1 テンプレートが使用されている/手を加えられていないか

テックトランスのWebサイトから、サイト内の製品の各種テンプレートをダウンロードする事ができます。
https://www.tech-t.co.jp/help/template.html

各テンプレートには、実際の仕上がりサイズに合わせたサイズ/解像度が設定して作成されているため、テンプレートの使用をお願いしております。
※テックトランスのテンプレートは、印刷現場の担当者とケースの形状/サイズを確認をし、ケースに印刷物をセットした際に綺麗な仕上がりとなる様なサイズ/加工位置などでテンプレートを作成しています。
また「ご発注内容通りのテンプレートを使用されているか」の確認もしています。

これらの事から、テックトランスのテンプレートが使用されているかの確認をします。
またテンプレート内や圧縮ファイル内に同梱されているPDFにも、入稿デザインデータの作成方法や注意点が記載されていますので、作成時/入稿時に御確認下さい。

<注意点1>
他社のテンプレートや、ご自分でPSDデータを新規作成されたデータで御入稿される方がいらっしゃいますが、弊社のテンプレートとサイズが異なっていたり、弊社テンプレート内には製作作業が行いやすいサイズなどで作成されております。
そのため、弊社テンプレートを使用されていない、手を加えられてしまっている場合は、修正後の再入稿をお願いしています。

<注意点2>
一般的に印刷物のデザインデータの解像度は「350dpi」が適切な数値となりますので、テンプレートもこの数値で設定されています。
解像度を「350dpi」より下げるとデータ容量は軽くなりますが、画質が粗くなってしまいます。
また解像度の数値を「350dpi」から上げても、画質が良くなるわけではありません。(元々が350dpiなので)
んじゃ数値を上げた状態からデザインを作れば良いというわけでもなく、実際の印刷時には「350dpi」で印刷をしますし、解像度の数値が高い状態から「350dpi」に下げる段階で高い数値の網点(ドット)が表現できないので、細かい箇所が潰れてしまう場合があります。

ウインドウ左下をクリックして表示される項目から解像度やカラーモードなどが確認できます。

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手順2 カラーモードが「CMYKモード」になっているか

先日noteに書いた↓の投稿でも書きましたが、デザインデータのカラーモードは「CMYKモード」でのご入稿をお願いしております。
https://note.com/tech_trans/n/nc2880f890d05

Webサイトにアップロードされているテンプレートは、CMYKモードに設定されておりますので、Photoshop上で設定を意図して変更されなければ、CMYKモードからカラーモードが変更されません。
※「Adobe Photoshop」以外のアプリケーションの内、CMYKモードでデータを作成できないアプリケーションを使用し弊社Photoshop用テンプレート(PSD)を開くと、自動的にRGBモードとなってしまいます。
(例:Photoshop ElementsやCLIP STUDIO等)
そのため「Adobe Photoshop」で作成/保存されたデータにて御入稿をお願い致します。

タブにもカラーモードが表示されています。

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手順3 レイヤーが全統合されているか

Illustratorと異なり、テキストオブジェクトをアウトライン化やリンク画像の埋め込みなどはPhotoshopにはありませんが、
テキストや効果など編集可能な情報が残ってしまっていると、お客様(デザイナー様)側では正しく表示されていても、入稿後の実際の印刷作業時にデータを開いた際にこれらが変更されてデータが開かれる場合があり、お客様が意図された状態で印刷が行なえない場合がございます。

こういった事象を防ぐために、Photoshopデータの御入稿時には「レイヤーを全統合」された状態での御入稿をお願い致します。
※レイヤーを全統合すると、テキストや効果など情報は削除された1枚のレイヤー(レイヤー名:背景)になるので、編集不可の状態となります。

レイヤーが全統合された状態。右上のパネルメニューの「画像を統合」から全統合できます。

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手順4 塗り足し位置まで着色されているか

これもIllustratorと同様ですが、「塗り足しが適切に作成されているか」の確認を行います。


裁断加工時には裁断位置に合わせて裁断を行いますが、外側もしくは内側に1mm程度ズレが生じる”場合”があります。

これはテックトランスに限らず、どんな印刷物/印刷業者に共通する事なのですが、印刷物は製造時に実際の仕上がりサイズより大きな紙に印刷され、製品サイズに合わせて四方を断裁を行い製品のサイズにします。その際に用紙を何十~何百枚も重ねて裁断をするため、多少の断裁ズレが生じることがあります。
塗り足しが無い状態で、裁断時に少しでもズレが生じると、紙の端に白色(印刷されていない紙の白地)が出てしまうため、これを防ぐために背景色や裁断位置付近のオブジェクトを実際の製品サイズよりも余分に大きく作成して頂く事が必要で、この余分に作って頂く箇所を「塗り足し」と呼ばれます。

テックトランスのPhotoshopテンプレートには全て「塗り足し位置」と「製品サイズ」が分かる様なガイドレイヤーが配置されております。

DL時のテンプレートには印刷/塗り足し位置を示すレイヤーが含めてます。
(入稿時は削除して下さい。)

※塗り足しが無くても進行は可能ですが、上記の通り「紙の端に白色(印刷されていないかみの白地)が出てしまう」ため、その点をお客様からご了承頂いた上での進行となります。

またテンプレート内のガイド(盤面テンプレートはパス)は削除しないで下さい。(チェック時に使用します。)

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手順5 文字/オブジェクトが切れる位置に配置されていないか

裁断/折り加工位置にかかっている、または加工位置を越えた位置に文字やオブジェクトが配置されていると、それらは仕上がりには一部が切れた状態となります。
テックトランスのPhotoshopテンプレート内には、ガイドまたはパスで加工位置が分かる状態になっていますので、それらを表示して御確認下さい。


また手順5の塗り足しとも重なる点ですが、裁断/折り加工位置に近くに配置されていると、裁断ズレが生じると裁断/折り加工位置ギリギリ(0mm~1.5mm程度)に配置されているオブジェクトは切れてしまう可能性があります。

こういった状態となっている場合は、お客様に修正データを再入稿頂くか、お客様からのご了承頂いた上での進行となります。

一般的に印刷物データを作成する際には、切れる事を意図していない文字やオブジェクトは、(デザイン上あえて見切れている様な意図したデザインの場合を除き)仕上がり位置より2~3mm程度余裕を持った内側に配置が推奨されています。
またこの3mmより内側という位置は、若干のズレが生じた場合でも上下左右で互いのズレが目立ちづらいという仕上がりにもなります。
(仕上がりの端だと、どの方向一方に寄って見えやすくなるため)


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手順9 サンプルデータとの比較

手順6のオーバープリントプレビューの状態で、PSDデータと共にご入稿頂いていた、入稿時のPSDデータから書き出されたサンプルデータ(お客様が印刷されたい状態となっているJPGまたはPDFデータ)と比較を行います。

このサンプルデータとの比較はいくつか理由がありますが、
「お客様が印刷されたい状態に、入稿時のPSDデータがなっているか」が大きい理由です。
例えば手順2/3/4などは、ここで比較をするとPSDデータとサンプルデータとで違いが見つかる事があります。

デザインチェック時は、
<サンプルデータ=お客様が印刷されたい状態>
この認識で確認を行っていますので、違いが見つかった場合には修正されたPSDデータの再入稿をお願いします。

意外かもしれないのですが、このタイミングでPSDデータとサンプルデータとで差異が見つかり、実は「サンプルデータの状態が正しかった」っていうお客様もチラホラいらっしゃいます。


<注意>
サンプルデータは実際の印刷時のデータとして使用しません。

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【実はPhotoshopは入稿データ作成には不向き】

・・・と、ここまでPhotoshopデータチェックの事を色々と書いてきましたが、実はPhotoshopってあまり入稿デザインデータ作成には向いていないアプリケーションというのが個人的な感想です・・・

Photoshopは「画像編集」に特化したアプリケーションのため、IllustratorやInDesignと比べて、各オブジェクトを配置して印刷物などのデザインをレイアウトする事が得意なアプリケーションではありません。

現実にはあり得ない合成写真を作ったり、色を調整したり、モノクロ写真に色をつけることだってできます。写ってしまったいらないものをパッと消して、いつもの背景をちょっと変化させたり。Photoshopを使えば、あなたもできます。

【公式】Adobe Photoshop 画像・写真編集ソフトより

主に写真編集(フォトレタッチ)としての役割を担うソフトウェアとして、画像加工、イラストレーション、印刷業界などあらゆる画像分野で使用されており、この分野では代表的な存在である。主に写真などの加工に適しており、さまざまなフィルタプラグインを追加することによって、機能を拡張することができる。

Adobe Photoshop - Wikipediaより


最終的な入稿デザインデータ作成には向かない
理由は色々とありますが、Photoshop上のデータはビットマップで表現されるので、単純な斜線や曲線であっても、設定を変えられたり過度に拡大するとフチがギザギザになってしまいます。

またIllustratorと比べて文字組みの微調整や、オブジェクト同士の整列がやりづらかったり等、Illustratorで直感的に行える作業が、Photoshopでは一手間がかかったりする等する事ができません。
(ガイドをパパっと作成できなかったり、オブジェクトを任意の位置ピッタリに配置できずにヤキモキします・・・)
こういった事から、印刷物などのデザインデータ制作アプリケーションとして、Illustratorが事実上標準化したアプリケーションとなっている理由です。
(一昔前は、Photoshopデータの入稿を受けていない業者もありました。)


だからといって書いてる私もPhotoshopは全く使わないわけではなく、
「最終的なデザインのレイアウトや文字調整はIllustratorで行い」「デザインデータ(Illustrator)内に配置する画像データの調整や作成はPhotoshopで」と、それぞれのアプリケーションで役割分担をしています。

そしてPhotoshopで入稿デザインデータを作るのが、決してダメというわけではなく機能として向き/不向きがありますが、印刷が行えるデザインデータが作成できれば、作りやすいアプリケーションで作成頂ければ問題ありません。

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【まとめ】

矢継ぎ早に書いてみましたが、基本的なPhotoshopデータのデザインデータチェックはこの様な項目になります。
(色んな確認点があるので、いつもご入稿頂いてからお時間を頂いてすみません・・・)
この様に基本としては「印刷作業が行えるかのチェック」になります。

その他にもデータの状況によっては確認する点があったり、ご発注頂く製品によってはその他のチェック項目があります。
(盤面印刷データやグッズなど)

データ作成時やご入稿時にはテンプレートや注意点が記載されたPDFを一度御確認下さいね。