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黒後家蜘蛛の会


古典ミステリーの名作

古典ミステリーが結構好きで、一昔前ひたすら古典を読み耽っていた。
単純に、意外と(と言っては失礼だが)面白かったというのもある。

また、現代ミステリーを読んでいると、ネタバレのように書かれることもある。
それも含めて、知っておいた方が楽しめるという側面もある。

等という言い訳はあるが、それ以外にも私は利点があると思っている。

現在の作品は、当然現代に合わせて条件を整えている。
そのため、古典ではあり得なかった道具が出てくる。
その結果、新しい展開が期待は出来る。

但し、一方でそれには無理があるのではないか、と感じるものもある。

古典の作品は、条件が制約される。
そのため、作品の内容そのものを楽しめる傾向が強いという、自分勝手な感想。

古典でも、もちろん無理はある。それぞれをどう楽しめるかだと思う。
でも、結局楽しい話が新しいふるいに関係なく好きなのだ。

SFの巨匠 アシモフ

その中でも、好きな作品を紹介していきたいと思う。
アイザックアシモフの黒後家蜘蛛の会。ドラマにもなった、”謎解きはディナーの後で”とほぼ同様の形態で話が進む。

主要登場人物が、ああでもないこうでもないと議論をしている。
そして、最後まで話を聞いていた給仕が全部持っていく、オムニバス形式。

一つ一つはさほど長くなく、非常に読みやすい。

しかし、アイザックアシモフと言えば、有名なのはSFの方だと思う。
ロボット三原則を提唱したのも、アシモフだ。
i, Robotという、映画になった作品もアシモフ。

その中で提唱されたロボット三原則は非常に有名。
それ以外にも、生涯500冊以上の本を出版している、知識人。

色々あるが、私はミステリー小説の方が好きだ。
なので、こちらを手に取った。
残念ながらSFはまだ読んでいない。

この本は、一般的には有名な小説ではないかもしれない。
一方で、こういう面白い小説に出会ったときに、運が良かったと思う。

日本語では5冊出版されているのだが、どれも短編集。
一つ一つが読みやすく、一気に読み切った記憶がある。

もう少し、物語の概要

ニューヨークのレストランの個室に、月に1度集まる集団。
化学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号の専門家、合計6人。
その集まりを、黒後家蜘蛛の会として開催している。

その中で、毎回ちょっとした謎に関する話題が上がる。
メンバー全員がああでもない、こうでもないと議論する。
そして最後に、給仕が出てくる。
そして控えめに意見、というか正解を言って締める、という展開。

よくあるパターンではあろうが、話としてはとても面白い。
著者の博識ぶりを痛感出来る話だ。

純粋に謎解きを楽しみたいなら、是非お勧めだ。
重すぎもせず、気楽に楽しめる。
本当に、一気に読み切った記憶しかない。

翻訳がうまいのももちろんあると思う。
古い話は、翻訳があまり上手でないと読みづらいものもある。
ただし、こちらに関してはなんの問題もなし。

あえて課題を挙げるとすれば、入手性かも。
やはり古くて、さほど有名でもない本だ。

見つけづらいかもしれないが、是非一読をお勧めする。

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