見出し画像

noteから踏み込んだ奥深いインド料理の世界

結論: 貿易によって、さらにスパイス豊かになり、南北、海陸で違う気候、土地を活かし、インド各地で独自の料理が誕生した。


2023年noteフェスでの出会い

きっかけは、noteフェスでエリックサウス創業者の稲田俊輔さんの講演を視聴したこと。講演では、レシピ本、新商品の開発で意識することを学びました。特に根本的な考え方について、日常生活や記事にも取り入れたくなりました。

エリックサウス

エリックサウスは、東京駅八重洲地下街に本店があり、東京に5店舗、名古屋に4店舗、岐阜市に1店舗、大阪に2店舗あります。本格的な南インド地方の料理が味わえます。エリックサウスはクアラルンプールから帰国後、行ったことがあります。

日本では、なかなか出会えなかったスパイスの豊かな香りのするさらさらなカレー。ミールスというインドの定食スタイル。現地で食べた味をそのまま持ち込んだような刺激を受けました。

クアラルンプールで通っていたインド料理屋さんを思い出しました。

エリックサウスで食べた選べる3種のカレープレート

セブンイレブン「ビリヤニ」

2023年年末、セブンイレブンで販売されていたエリックサウス監修のビリヤニ。2023年夏に販売されたときから、SNSなどで話題になったと聞きました。しかし、当時は、エリックサウス監修のビリヤニがセブンイレブンで販売されていることを一切知りませんでした。同時期に再販売された「みそきん(人気YouTuberヒカキンさん監修のカップ味噌ラーメン)」を探す旅に出ていました。(最後に、みそきん探しの旅について書いた記事を掲載します。)講演では、開発の裏話も聴くことができました。どのターゲットを狙っていくか、セブンイレブンのマーケティングのうまさを感じました。

ビリヤニとは、中東、インドで食べられているカレー風味の炊き込みご飯のことです。インディカ米で炊いてパラパラなビリヤニにも、カレーの風味がします。黒いチキンカレー、赤いバターチキンカレーもついています。カレーに浸して食べることにより、さらにスパイスを感じられます。パラパラなビリヤニと豊かなスパイスの香り広がるカレーとの組み合わせは、コンビニのご飯とは思えないほど、クオリティの高さに衝撃を受けました。

エリックサウス監修 ビリヤニ

今回は、エリックサウスのルーツになったインドのカレーについて話します。

今回の参考文献

地球の歩き方は、地球を網羅するようなガイドブックです。地球の歩き方しかないような地域も掲載されています。海外に滞在していた頃、重宝していました。

地球の歩き方は、2020年、新型コロナウイルスによって、売上が9割ほど減りました。打開策として、国内編に力を入れたり、旅行にこだわらず、趣味を楽しんだり、教養が身につく、世界の文化などを紹介するシリーズ、ジョジョの奇妙な冒険など、アニメとのコラボも行い、海外旅行向けから他のジャンルへ活路を広げました。

今回、紹介する世界のカレー図鑑も、コロナ禍の影響を受けて登場しました。カレー、スパイス料理について、歴史から世界各国の料理について、網羅しています。特に、日本、インドのカレー料理、歴史について詳しく書かれていました。

また、この本を読んで、特定の国の料理が食べたくなった場合、東京都内がほとんどですが、味わうことのできるお店も紹介されていますので、ぜひ、行ってみてください。

カレーとは?

カレーは、定義がありません。この記事では、以下のように定義します。

  • ターメリック、クミン、コリアンダーなど、インド特有のスパイスを効かせた煮込み料理。

  • ご飯、パンなど主食とともに食べる料理。

「カレー(curry)の語源」

タミル語で「スパイスで味付した野菜や肉の炒めもの」を指すkariが由来とされています。現在のタミル語では、kariはグレービーソースを意味する言葉として使われています。

17世紀初頭、インドにやってきたポルトガル人がインドのさまざまな香辛料を使ったある特定の料理をカリル、カリーと呼びました。イギリスが力を持ち、インドを植民地にすると、インドの香辛料をたくさん使った料理すべてをcurryと呼ぶようになりました。

しかし、インドでは、さまざまな民族が独自の料理を持ち、それぞれ固有の名前があります。インドにカレーという料理はありません。すべてをくくってカレーと言うのは乱暴です。

インド料理の歴史

インドは、ターメリック、ショウガ、コショウ、カルダモンなどのスパイスの原産地です。4000年前からスパイスを使った料理が作られていました。

紀元前5世紀〜3世紀、殺生をタブーとしていた仏教、ジャイナ教の誕生により、菜食主義が広まりました。しかし、スパイスに価値があると目をつけたイスラム商人は、物足りなさを感じ、インドに肉が持ち込みました。同時に、ビリヤニ、ケバブなど肉料理も伝えられました。

地中海沿岸からコリアンダー、クミン、サフランが、中南米から唐辛子がそれぞれインドに伝わり、コショウから唐辛子による辛さに変化し、より香り豊かに仕上がっていきました。 

インドの食の考え方

インドにも中国と同じく医食同源の考えがあり、治療より予防重視しています。さらに、身体を温める、冷やすなど、すべての食材に固有の性質があり、バランスの悪い食事を避けるべきと考えられています。

地域による主食の違い

インドは日本の8.7倍という広大な国土を誇り、気候も北と南、海岸沿いと内陸部で異なります。インド北部は涼しく乾燥しており、小麦が主食。南部は年中暑く、雨の降る時期と降らない時期がはっきり分かれた気候で米が主食になります。

食中毒を恐れていたためか、肉、魚介の生食文化がなく、内陸部は、魚をあまり食べません。ベジタリアンの肉類、ヒンドゥーの牛肉、イスラームの豚肉、アルコール類など、宗教によりタブーなものが多いです。ベジタリアン、ノンベジタリアン向けのマークすることが義務付けられたり、ムスリムの方に向けて、識別が難しい食品に、ハラルマークをつけて知らせるなど、配慮も見られます。

宗教などでタブーにしている食べ物があるのは、生活の知恵が多いと思います。しかし、共通しているのは乳製品、香辛料、油を多用していることです。

特に油は浄化作用が高いとされており、たっぷりの油を使った揚げ物は、お供え料理、おもてなしに利用されます。

インド料理の定食

インドにも定食があります。北インドでは、「ターリー」、南インドでは「ミールス」と呼ばれています。

インドの定食は、ワンプレートで盛り付けされており、主食(北インドはチャパティ、南インドでは米)+1,2種類のカレー、炒め物、漬物がついてきます。仕切りのある大皿に全て盛られたり、ターリーという、おぼんのような皿の上に、カトリという小さな器にカレーが盛られることがあります。

クアラルンプール郊外のインド料理屋さんで食べたミールス

インド各地の料理の特徴

インド国内でも、東西南北の主に4種類に分けられます。日本のインド料理店でよく食べられているのは、北インド料理、南インド料理です。

無印良品で売られているレトルト食品やインド料理店で見たメニューが、どのインド料理に当てはまるかという視点で分けました。無印良品のレトルトカレーは、現地に何度も足を運んでレシピを作り上げており、家庭でも現地の味が再現できます。インドだけではなく、タイ、日本の味も楽しめます。

北インド料理→リッチで濃厚なカレーが中心

北インドは、中東に近く、イスラム系の王朝が繁栄していました。16〜19世紀、中央アジア、ペルシャ料理の影響を受けたムガル帝国の料理が由来のムグライ料理、発酵バター(マッカン)など乳製品をふんだんに使ったパンジャーブ料理、寒冷な気候のため、肉とスパイスをふんだんに使い、辛さだけではなく、深い味わいも感じられるカシミール料理などが代表です。

北インド地方の主食は、小麦が中心。ローティーというパン、フスマ(ブラン、小麦のヌカ)の入った小麦粉を水で練って薄く焼き上げたチャパティ、精製した小麦粉を発酵させてタンドゥール窯に入れて焼いたナンが主食とされています。ソースはトロトロと濃度があります。日本で一般的に食べられているカレーライスのカレーソースは、北インド地方の料理に近いです。

北インド料理で有名な料理

  • バターチキンカレー

鶏肉はヨーグルト、スパイスなどに漬けこんでから、グリル、フライパン、窯などで焼きます。焼いた鶏肉にトマトピューレ、バター、生クリーム、スパイスを加えて煮て作ります。トマトの酸味は乳製品に包まれ、まろやかで濃厚な味わいです。

無印良品のレトルトカレーでバターチキンカレーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?2013年から販売されており、インドに足を運ばなくても、家庭で手軽に本場の味を楽しめることに衝撃を受けて、発売当初から人気でした。2013年だけで250万食を売り上げました。11年経って、改良を加えつつ、販売されています。

  • ザクチキン

サグとは、青菜。北インドでは、カラシ菜、日本では、ホウレン草が主に使われます。スパイス、ニンニクと一緒に青菜を煮込むことにより、鮮やかな緑色のカレーができます。

  • キーマ

キーマはひき肉、細切り肉のことを指します。汁気がなく、そぼろのようにも見えます。カシューナッツでコクを出すのが、現地の特徴です。日本発祥のドライカレーに似ています。

インドの焼鳥のちがい

タンドリーチキン、チキンティカの違いをご存じでしょうか?作りかたは変わりません。しかし、鶏肉が違います。

タンドリーチキンは、骨付き鶏肉、チキンティッカは骨を外し、食べやすい大きさに切り分けられた鶏肉が使用されます。

どちらも、鶏肉に串を刺して固定し、タンドゥール釜(土製の焼き窯)で焼いて作ります。

南インド料理→インディカ米に合わせてサラサラ

エリックサウスの元は、南インド料理。南インド地方の主食は米が中心で、ごはんにかけて食べるスタイルが中心です。カレーソースも北部よりサラサラしている特徴があります。

乳製品の代わりに手軽に入るココナッツミルクを多用します。スパイスはタマリンド、カレーリーフをよく使います。西部のゴアでは、貿易拠点にされたため、ポルトガルの影響もあります。

南インド地方の有名な料理

  • ビリヤニ

中東から伝わった炊き込みご飯。中央にゆで卵がのせられ、中に、肉が埋められています。クアラルンプールのビリヤニの名店、クレイポットで注文したときは、豆で作ったせんべいのパパトもついてきました。食べ、パリパリで、塩味もほどよく効いていました。山形県酒田市の有名なお土産に、オランダせんべいがあります。オランダせんべいは、サラダ味の薄い煎餅で、パパトに雰囲気は似ています。

クアラルンプールの名店、クレイポットで食べたビリヤニ
  • ラッサム

ミールスで提供されたスープ。タマリンドという木の実の酸味、黒コショウ、唐辛子の辛味が効いています。サラサラしていて、ご飯にかけても合います。

  • ケララチキン

カレーリーフ、コリアンダー、ターメリックなどのスパイスを配合しています。ココナッツミルクをベースにしており、濃厚な味わいです。ちなみに、ケララチキンの発祥となったケララ州は、インド国内で牛肉の消費量が特に多い地域です。

西インド料理→乾燥した気候により、豆、ドライフルーツも利用。

ローティー、米の両方が主食。西インド地方はアラビア海に面した地域のため、魚介類がよく食べられます。ベジタリアンも多く、やや甘口。内陸部は乾燥しており、豆、ドライフルーツがよく使われます。都市部では洗練されています。

東インド料理→水辺では、魚介類がふんだんに取り入れられる

バングラデシュを挟んだインド東部。バングラデシュの西隣にある西ベンガル州はバングラデシュと同じくベンガル料理が食べられます。大きな河川、ベンガル湾に面しており、魚介類、ジャガイモをよく使い、マスタードオイルを多用します。

今回は、note主催の講演がきっかけとなり、セブンイレブンでビリヤニを食べた話をしました。セブンイレブンのビリヤニのクオリティの高さから、本場のインド料理が食べたくなり、インド料理について深堀しました。地球の歩き方に掲載されているお店に行きたくなりました。

  • 「インド料理店でインド料理を味覚で学び、インドに行って各地のインド料理を味わう。」

  • 「インドで、インド映画、クリケットを鑑賞する。」

そんな夢も誕生しました。

裏話「みそきん探しの旅」

カレーの日に関する記事はこちら

この記事が参加している募集

おいしいお店

一度は行きたいあの場所

よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートは、よりよい記事の作成、クリエイター支援などnoteのクリエイター活動に利用させていただきます!