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スタンフォード大学の美術館に行ってきた

私がいるシリコンバレーにはスタンフォード大学があります。言わずとしれた一流大学です。大学には美術館を併設していることがあります。さすがスタンフォード、もちろんありました。(妻の)親戚に連れて行っていただきました。ていちょうです。

スタンフォード大学とは

言わずとしれた、とか言いましたが実は私はスタンフォード大学がどんだけすごいか知らずにシリコンバレーに来ました。

「あー、なんか聞いたことあるー。適当に生きてる自分が聞いたことあるってことはすごいんだろうなー。」くらいしか知りませんでした。

来てみたら仕事上の共同研究先でしたし、上司やチームメンバーにもスタンフォード卒の博士だらけでしたので、流石に調べてみるかと思って調べたらぶったまげました。

世界大学ランキング最上位常連

世界大学ランキングといえば基本的にはQS世界大学ランキングを示すかと思います。そこでスタンフォード大学はずっと10位以内、なんならだいたい2位とか3位です。ちなみに東大は30位台や20位台です。

日本で東大生にもビビっている私ですが、上司と話す時はもっとビビり散らかすことが確定しました。

金持ち大学

スタンフォード大学の正式名称はリーランド・スタンフォード・ジュニア大学です。

大富豪のスタンフォード家(カリフォルニア州知事でもあった)の一人息子、リーランド・スタンフォード・ジュニアは病気で15歳で亡くなってしまいました。その彼の名を残すために両親が出資し設立させた私立大学です。ちなみに美術館には彼のデスマスクも所蔵されています。愛が強い。

ノーベル賞の賞金がノーベルの遺産の利子から出ているように、原資がデカければ利子もデカいわけで、スタンフォード大学も原資に発生する多額の利子が使えます。

さらに立地がシリコンバレーなわけで、学生も優秀。学生が立ち上げたり近くで立ち上がったスタートアップに出資することでとんでもない額のリターンを得ています。

さらにさらに卒業生が成功すると大学に多額の寄付を行いはじめます。アメリカは寄付文化ですから。まあこれは日本でもありますが。

というかんじでとんでもない正のサイクルが回っている金持ち大学なわけですね。

美術館へGO

最初に述べたとおりスタンフォード大学には美術館があります。2つあるらしいですが、今回行ったのはカンターアートセンターというところです。

今回は以前の記事で紹介した妻の親戚家族に誘われて、一緒に行きました。というのも私の妻が大学で美術専攻だったということで、娘さんに解説して欲しいという要望でした。

敷地が広い

片側2車線の道路を走ってる途中「今通過したのが門ね」と言われました。

この写真は学内です

大学の中に片側2車線の道路が走っとる……

そしてめっっっっちゃ敷地が広い。まあここはGoogleマップとかで見ていただければと思います。

美術館入場無料

美術館に到着してそのまま入場です。予約は必要ですが、まさかの入場無料……おかしい。ちなみにロダンとかピカソとか、他にもいろいろ有名な作品がおいてあります。おかしい。

感動したもの

特に感動したものを紹介しておきます。

「地獄の門」と「考える人」

言わずとしれたロダンの作品「考える人」、もともとは単体の作品ではなく、「地獄の門」の上でなんか考えているダンテの姿だという話はあるある雑学ですがそいつらがありました。なんなら地獄の門に関しては建物の外に置いてあるので予約なしで見ることができます。

ちなみにこれらはブロンズ作品なので、型があれば複製可能なわけで、世界各地に同じ作品が存在します。日本だと上野公園にある美術館に同じものがあります。

……上野公園のやつも外に置いてあるからいつでも見れたわ。

馬の写真

これは何に感動したのか伝わりづらいと思いますので詳しく解説します。簡潔に言うと馬の絵画の歴史を変え、最初期のアニメーションとも言える重要な資料です。

撮影結果をまとめた図

昔々の19世紀、馬好きの中で大論争になったトピックがあります。それは

「馬が走っているとき、全ての脚が地面から離れるタイミングがあるか」

というものです。みなさんは分かりますか?ちなみに正解を言っておくと「ある」が正解です。

今なら競馬の動画をYoutubeで見て、コマ送りして判断すれば良いです。ですが当時は写真技術ですら黎明期、「そもそも写真ってなんですか?」くらいの状態です。肉眼では誰も判断できませんでしたし、仮に目の良い人が判断できたとしても証拠を残しみんなを納得させる手段がありません。

結果的にその当時は、「ない」ということが信じられており、走る馬の絵画では必ず1本以上の脚が地面に着いて描かれているそうです。

その中で「ある」派の1人の金持ちが、それを証明するために24台のカメラを並べて、走る馬のコマ送り画像を撮影させました。その結果、「全ての脚が地面から離れるタイミング」の撮影に成功。

この成果により、「馬が走る時の正しい静止画」が記録され、これ以降の絵画では4本脚全てが地面に着いていない姿も描かれるようになりました。ある意味絵画の歴史を変えた写真です。

また、ここで撮影された証拠のコマ撮り写真は、連続して流せば最初期のアニメーション作品でもあるので、そういう意味でも大切な意味を持ちます。

と、いうことを雑学として事前に知っていたわけですが、そのコマ撮り写真と写真機、投影機が展示されていました。

……おいちょっと待て、ということはもしかしてこの雑学の中の「ある」派の1人の金持ちって……と思って調べ直してみたら

この大学の設立者のスタンフォードさんのことでした。

つまり、今まで知ってた雑学の聖地巡礼してる気持ちになって感動したんですね。

まとめ:すごかった

そんなこんなで帰ってきました。全体通してデカい美術館あるある「これ教科書で見たやつだ!」がかなり発生しました。人生通した伏線回収してる感じですね。

さいごに

帰りがけに親戚が小学生の娘さんに「スタンフォード行っとく?」と言ってました。要求が世界トップレベル過ぎる。

でもよくよく小学生の彼女の立場になって考えると、スタンフォードの卒業生もお父さんの同僚なわけで、近所に沢山いる普通の人なわけで、そしてきっと同級生の子の親であって、すごい身近な人達なんですよね。世界レベルの人たちが平気で身近にいる環境って教育上最強だなぁと改めて思いました。

……ということを思いながら、なんで私みたいな意識低いやつがこんなとこいるんだろ……と研修に送り出してくれた会社と運の良さに感謝を深めるのでした。

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