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本の内容と経験を結びつける

最近、本との向き合い方を改めて考えています。前回は「本を読むだけで効果はあるのか?」というテーマで、本から影響を受けることや、影響を言語化して長続きさせることについて書きました。

今回は、本の内容と経験を結びつけることについて書こうと思います。

知識と経験を結びつける

学習に関して最も重要なことの一つは「知識と経験の両方があって、初めて真の理解に達する」(知識は経験に裏付けられて確かなものになる)ことだと考えています。私はこのことを、プログラミングについて学んだり、ソフトウェア開発の仕事をする上でたびたび実感しました。

プログラムを書くことは文章を書くことと似ています。一つの理由は、伝える対象がコンピュータなのか人なのかという違いはあるものの、どちらもテキストを通して伝えたいことを伝えるという側面を持っているからです。

プログラミングの本には、プログラミング言語について具体的なことが書かれた本もあれば、どのようなコードを書けば良いのかや、プログラムを書くときの心構えのような抽象的なことが書かれた本もあります。

抽象的な内容を読んでいるときは、それに関する具体的な経験を積んでいればすんなりと理解できることが多いです。また、本を読んだときは何を言っているのかピンとこなくても、ある実践の場面で「あれはそういう意味だったのか」というように理解できることもあります。知識が先の場合も経験が先の場合もありますが、その両方が揃うとより深い理解にたどり着くことができます。

本に書かれている内容は、抽象的な考え方と、その理由や具体例です。抽象的な考えは自身の経験と結びつけることで、抽象的なままで終わらず、より正確で、実感を伴った理解になります。実感を伴った理解は、記憶に残りやすいという利点もあります。

岩田社長の本の読み方

書籍「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」の中で、岩田さんの本の読み方について書かれている部分があります。以下は、岩田さんと一緒にゲームを作っていたゲームプロデューサーの宮本茂さんの言葉です。

岩田さんの読み方というのは、本の中にヒントを求めるのではなくて、ふだん考えていることの裏付けを得たり、自分の考えを本を通して人に伝えたりするために役立てているような感じでした。(P159)

薦められた本のなかでぼくが印象深く憶えているのは、行動経済学にまつわる本ですね。(中略)で、会うと、「任天堂がやってるのはこういうことなんです」とか、「宮本さんの考え方はこれに近いです」とか言って、すごく分かりやすく説明してくれる。(P159)

岩田さんの読書のスタイルは、普段考えていることの根拠を本の中から探し、それを人に伝えるようなものだったそうです。これは考えていること、つまり、その考えが浮かんだ経験と、本に書かれている内容を結びつけて確実なものにするような読み方だったと考えられます。

偶発的なつながり

知識と経験のつながりを作ることが重要だといったものの、全てのつながりが意図的に起こるわけではなく、偶然起こるつながりもあります。最初に書いたプログラミングの例も、今取り組んでいることに関する本を選んだときもありますが、偶然手に取った本に書かれていたこともありました。

実践できるかどうかや役に立つかどうかを考えて、読書の幅を狭めてしまうのはもったいないです。そのため、こだわりすぎず色々な本を読んでみるのがいいのだと思います。

読書からは外れますが、経験を広げるのも読書を豊かにする方法の一つです。そのためには、色々なことをやってみたり(家からあまり出ていないので耳が痛いですが)、今やっていることを深めるために一生懸命取り組むことが重要でしょう。

まとめ

  • 本の内容と自身の経験を結びつけると、自分のものにできる

  • 意図的に知識と経験を結びつけるのであれば、経験やそこから考えたことを裏付けるような本を読んだり、本から学んだことを実践する

  • いつどこで知識と経験がつながるかは分からないので、色々な本を読んできっかけを作っておく

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