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楽観性を測ってみよう!(オプティミストはなぜ成功するか)


「オプティミストはなぜ成功するか」を読んでいます。日本語タイトルはキャッチーですが、原題は”Learned Optimism: How to Change Your Mind and Your Life”です。

無力感やうつ病などの原因となりうる悲観主義から抜け出し、適度に楽観的になるためにはどうすればいいのかなどが書かれています。

本書には、楽観性を測定するためのテストがあったので、やってみました。48の質問に答えて楽観性を測定することができます。この記事では、測定方法やその元になっている考え方、私の採点結果について書こうと思います。

簡単に採点できるスプレッドシートを作ったので、テストを受けてみたい方は良ければ使ってみてください。

また、ほぼ同じテストをWeb上から受けることもできます。こちら問題数は32問で、自分のスコアが何%に位置しているのかを確認できます。

使い方

1.読み取り専用になっているので、まずはコピーを作成します。左上のメニューのファイル > コピーを作成をクリックします。

2.質問に回答します。自分の考え方に近い方の回答を選び、回答欄にAまたはBで記入します。

3.回答が終われば、採点結果がシート上部に表示されます。

判定には5つのレベルがあり、楽観性の高い順に「非常に楽観的」「やや楽観的」「普通」「やや悲観的」「非常に悲観的」です。

採点結果の項目(永続度とは何か、など)については、次に説明します。

評価の元になっている考え方について

このテストは、説明スタイルという考え方が元になっています。説明スタイルとは、起こった出来事を自分にどう説明するかに関する習慣のことです。セリグマンは、説明スタイルには永続性、普遍性、個人性の3つの属性があると考えました。

説明スタイルは、学習性無力感の研究が元になっています。学習性無力感とは、状況がコントロールできないと学習した場合に、諦めて何もしなくなることです。研究の過程で「悪い出来事に遭遇しても、諦めない人が一定の割合でいる」ということが分かりました。この現象を説明するために、説明スタイルが使われました。


説明スタイルの3つの属性のうち、永続性とは、出来事がどれくらい続くかということです。あきらめない人️は悪い出来事が一時的なものだと考える一方で、無力になる人は悪い出来事がずっと続くものだと考えます。

例: 「私はもう立ち直れない(永続的、悲観的)」↔「私は疲れている(一時的、楽観的)」

普遍性とは、出来事を特定の分野に限るかどうかということです。あきらめない人は悪い出来事を特定の分野に限るのに対して、無力になる人は普遍的で全ての分野に当てはまると考えます。

例: 「私は何をやってもうまくいかない(普遍的、悲観的)」↔「私は仕事でうまくいかない(特定、悲観的)」

個人性は、出来事の原因が自分にあると考えるか、状況や他の人にあると考えるかどうかです。あきらめない人は状況や他の人に原因があると考える一方で、無力になる人は自分自身に原因があると考えます。

例: 「私にはポーカーの才能がない(内向的、悲観的)」↔「私はポーカーでついていない(外向的、楽観的)」


良い出来事に対しては、全く逆の結果になります。例えば永続性の場合は、楽観的な人がずっと続くと考える一方で、悲観的な人は一時的なものだと考えます。

例: 「今日はついている(一時的、悲観的)」↔「私はいつもついている(永続的、楽観的)」
「私は数学がよくできる(特定、悲観的)」↔「私は優秀だ(普遍、楽観的)」
「偶然幸運に恵まれた(外向的、悲観的)」↔「私が頑張ったからだ(内向的、楽観的)」

「説明スタイルを元に楽観性を測定できる」という考え方は、ある程度納得感のあるものなのではないかと思います。特に、悪い出来事についての永続的、普遍的、内向的な見方が、無力感におちいる悲観的な考え方がであるというのは納得できます。

私の採点結果

私の採点結果は次の通りでした。

  • PmB(Permanent Bad / 悪い出来事の永続度)→普通

  • PmG(Permanent Good / 良い出来事の永続度)→やや悲観的

  • PvB(Pervasiveness Bad / 悪い出来事の普遍度)→やや楽観的

  • PvG(Pervasiveness Good / 良い出来事の普遍度)→非常に悲観的

  • PsB(Personalization Bad / 悪い出来事の個人度)→やや楽観的

  • PsG(Personalization Good / 良い出来事の個人度)→非常に悲観的

  • 総合点→非常に悲観的

PmB、PvB、PsBなどの悪い出来事に関する評価は、「普通」または「やや楽観的」でした。一方で、良い出来事に関する評価は「やや悲観的」または「非常に悲観的」でした。

採点結果を分析する

私の場合は、悪い出来事に関しては楽観的に解釈する一方で、良い出来事には悲観的に解釈する傾向があることが分かりました。興味深いと思ったところは、これらの結果が自己認識とほぼ一致していたことです。

悪い出来事についての解釈について、2023年末に「ニュー・アース」を読んでからよく考えていたことでした。心に何が起きているのか、どう捉えるのかがいいのかをよく考えるようになりました。

そのおかげで、良し悪しをあまり考えなくなったり、以前と比べてネガティブな気持ちや苦しみを感じる時間が減ったのを感じています。

良い出来事に関して悲観的なのは、現実的であることが良いことだと考え、そう捉えるように努めてきたことによると思います。本書には、悲観的な思考の人の方が現実を正確に認識していることが書かれています。

現実的(自称)な視点から見ると、例えば「6 ひそかにあなたにあこがれている人から花をもらう 」に対して「私は誰にでも好かれる。」と考えるのは、やや拡大解釈に思ってしまいます。

また、国民性の影響もありそうです。日本人の国民性といえば謙虚や謙遜があり、一般的には美徳とされていますが「良い出来事を自分のおかげだと考えない」ということでもあります。楽観性の視点から考えると、褒められた時に謙遜するより「ありがとう!」と答えた方が、心に優しいと言えるかもしれません。

「良い出来事の解釈」に、個人的な課題があることはなんとなく感じています。良い出来事が起きたときに、あまり感情を出して喜ぶことがないからです。

広い世界には、良い出来事が起きたときに、喜びを歌や踊りで表現する人たちもいるようです。その人たちと比較すると悲観的なことは事実なので、この課題を解決すれば生きることをより楽しめるようになれそうです。

補足等

単純に楽観性が高い方がよい、と言えるわけではないことに注意が必要です。例えば、出来事の責任が自分自身にある場合に、他の人のせいにするのは適切な反応だとはいえません。

このことに関して本書には「そもそも人はなぜ自分の失敗の責任を取るべきなのか、ということだ。その答えは、自分の悪い点は改めるべきだからだ。」と書かれています。

重要なのは、悲観的な説明スタイルが行動することを難しくすることです。


このことに関して私が思い当たったのは、ここしばらくの間、朝に起きようとしてもあまり起きられなかったことでした。その原因をどう説明しているのかを観察してみると、「私は最近怠けている」のように説明していることに気づきました

これは個人性が高い悲観的な解釈で、行動に移すことが難しくなる考え方です。自分のせいにして「明日から早起きしよう」と決意を新たにしても、ほとんど効果がありません。

この場合は、原因を外に求めることが効果的な解決策でした。例えば「最近はゲームにハマっているから、夜寝る時間が遅くなっているのだ」と考えれば(これは正確な認識でした)、ゲームを遠ざけるという建設的な行動が取れます。


また、AとBの2択から選ぶというテストの性質上、結果が必ずしも正確ではないことにも注意が必要です。自分の楽観性を知るためには、現実の状況に対してどのような説明をしているのかを知る必要があります。

本書では、日記やインタビューなどの文章を、3つの属性️(永続性、個人性、普遍性)で分析するCAVEという方法も使われています。

おわりに

楽観的であるとはどういうことかについてはあまり考えたことがなかったので、楽観性についての解像度が高まりました。個人的な課題が、良い出来事の捉え方にあることに気づけたのも面白かったです。

「オプティミストはなぜ成功するか」は、アンケート以外の部分ももちろん面白かったので、近いうちに再読して書評か感想を書きたいです。

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