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マニアックな野球観戦~配球編~

『インコース』を知れば面白い

野球を楽しむのは「現地が1番」「バックネット裏が良い」などと言っている人が多いが、私はそんなことはないと思うし、テレビで観る野球だって面白い見方はあると思う。今回は、テレビでもっと野球を面白く観るための、『マニアックな野球観戦~配球編~』を書いていく。

「配球」と聞いて難しいものだと考える人はとても多いのではないか。私自身も配球はとても難しいと思うし、簡単には語れないものだ。正直私は、配球に詳しくない。しかし、浅い知識でも「ここでこう来るか!」的なマニアックな観点や気持ちを、皆さんにも知ってもらいたいと思って書こうと思った。そこで、今回は『インコース』の使い方に着眼点を置いていこうと思う。「インコース」に注目して観戦するのは、マニアック過ぎるくらいだ。

そもそも、テレビの野球中継というのは、投手の後ろ側でやや右寄りの位置から撮影している。画面に映るのは、投手、捕手、打者の3人のみだ。つまり、投手と捕手対打者の駆け引きが存分に楽しめる眺めなのだ。また、最近では、3×3の9マスの配球表も画面に映し出され、球種も教えてくれる。ここまでテレビ側がしてくれると、配球がとてもわかりやすい。どの球種が、どこに投げられたのかが一目で分かる。
次に、「インコース」について。インコースというものは場合によって、打者からの見え方が大きく変わる。時に超鋭いナイフのように見え、時にすごく美味しそうなあんぱんのように見える。くだらない例えはさておき、打者目線だと場合によっては全く別の見え方になる。
では、どのような時に「超鋭いナイフ」のように見えるのか。それは、バッターの意識がアウトコース、もしくは変化球に大きく偏っている時だ。

例えば写真のように、1球目が外低めの変化球。2球目が外の直球ボール。3球目が真ん中の変化球。4球目が外の直球ボール。この4球を見せられた時の打者(岡本)は、おそらく意識がアウトコース、変化球に大きく偏っているだろう。このような場面でのインコースの直球は、簡単には打てない。より速く、体に近く感じるのである。したがって、岡本は腰を引いてインコースを見送り、見逃し三振に倒れてしまった。超鋭いナイフのように見えたことだろう。

逆に、どのような時に「すごく美味しそうなあんぱん」に見えるのだろうか。それは、インコースが真ん中寄りに甘く入った時である。当たり前だと考える人が多いかもしれない。また、インコースとアウトコースを五分五分で投げ分ければ打たれないのでは?と考える人もいるかもしれない。ここがとても面白い。実は、打者がインコースの厳しいボールを打つのが難しいように投手もインコースに投げるのは難しいのだ。バッターの体に近い分、もちろん投げにくいこともあれば、少しのコントロールミスで、デッドボールなどを与えピンチを招くリスクもある。あるいは、真ん中寄りに入ればヒットだけでなくホームランにも繋がるゾーンになる。インコースにビシッと投げれる投手というのは、プロでも相当レベルの高い選手なのだ。つまり、いい投手ほどインコースを多く使うことができる。だからこそどの局面で、どのタイミングで、どの打者でインコースを使うかというのは、配球において肝になる部分なのだ。

それでは、どのように楽しめばいいのか。是非キャッチャーの動きを見てもらいたい。アウトコースに構えるのか、インコースに構えるのか。これを見ているだけでも、キャッチャーの狙いをバチバチに感じられるかもしれない。例えば、初球にインコースにビシッと決まったら、その後の配球はアウトコース中心になるかもしれない。それは「打者にインコースの意識を植え付けさせて、外中心で打ち取る」という意図だと読み取れる。逆に、前の打席でインコースで打ち取った打者を、次の打席で迎える時に一切インコースを使わないかもしれない。それは「前の打席のイメージが残ってるから、外のボールでカウントを稼ごう」という意図だと読み取れる。また、楽しむことを考えれば、配球の意図の読み取り方など人それぞれだ。解説者がどう言ってるからではない。ファン同士で「このインコースのボールにはこんな意図がある」「私はこうも考えられる」というように、意見の共有だってできるのだ。それだけ奥が深く、一球で勝負を左右するのがインコースなのだ。

ここまで、インコースについて書かせていただいたが、私としては是非インコースの使い方に着目して観戦してほしいと思っている。「ここでインコース使ってきたか!」とか、「前の打席のアレが効いてるな!」とか、「決めに行ったのが甘く入って打たれたな!」と、皆さんにも言ってもらいたい。周りからも「この人野球知ってるな?」と思われるように、ワンランク上の野球観戦ができるのではないだろうか。長くなってはしまったが私としては、今後の野球観戦で少しでも意識して見て、マニアックな視点を持って頂けると嬉しい。


やきうマン

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