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日本縦断歩き旅《富山➡能登半島➡京都編》15日目『東尋坊』三国町⇒福井市

明朝、
テントで寝ていると、車の音がして目が覚めた。
近くで車がとまる。
チャックを開けて外をのぞく。
思ったより車は遠く、どうやら釣り人のようだ。

テントの幕が音を拾うせいなのか、
テントの中にいると音が近くに感じる、不思議だ。

ここで、ピンチが訪れる。

トイレに行きたい。
我慢したいところだが、
テント、寝袋、枕、マットを畳んで、
出発準備をしているうちに漏れてしまいそう。

一面砂浜で隠れる所はない、
茂みも坂にあって膝ぐらいの高さしかない。
誰もいなければ気にしないが、
釣り人がいる。
振り返れば丸見え。

どうしよう。

考えているうちに、どんどん便意が増してきて。
だめだ、漏れる。

背の低い茂みに座り込み、用を足す。

釣り人を見ながら
「こっちみるな」
「こっちみるな」
「こっちみるな」
と念じる。

しかし、釣りポイントが悪いのか、
移動してしまいこちらを見てしまう。

恥ずかしいが、用を足しているので動けない。

あちらもバツが悪いのか、
おもむろに釣り道具をもって車に乗り込む。

なんだよ、移動するならもっと早くしてほしかった。

テントを片づけて出発。
テントのポールもさびてきていて、幕も縫い目のほつれが見えるようになってきていた。

海岸沿いを歩くと釣りの車両がよく往来していた。
一車線分しかないので、ところどころで車同士が脇によったりしているほどだった。
釣り禁止区域らしく、明け方と共に帰る頃合いだったようだ。

海岸トイレのある所まできて、
我慢していた残りの用を足す。
自販機があって、ブラックコーヒーが飲みたかったが、
缶コーヒーしかなかったので甘いコーヒーを飲む。

このあたりで、車がゆっくり近づいてきて、
話しかけられる。
「え?歩いて?どこから?」
「へぇ」

車が並走している間、
道のわきを歩かなければならなかったので、
手短に話を切り上げてしまう。

奥にかすんだ、砂浜が昨夜野宿した所で、
そこから手前までの海岸が今朝歩いてきた砂浜。

水族館。朝だから入れない。

車が少なそうなわき道へ行ったら、
台風の残骸がここにも。

開けた公園にでる。
ここで野宿したかった気もしたが、
昨日は間に合わなかっただろう。

銅像見かける。
何気なく置いてあるが、クオリティーが高い。

ただ右手がすこし大きく、後付けされたようにもみえる。
ポーズとしては美しいが、
もし海を見ている少年なら、
顔が前のめりになり、口もすこし開いているだろう。
手でひさしを作っているが、
眩しかったかのような顔でも、
海に関心があるかのようでもない。

そこが独特の不気味さを生み出しているのかもしれない。

クオリティーが高くて、思わず何枚も撮ってしまう。
しかし、この後何体も見かける事になるとは。

昔、重油流出で黒かった海岸がここまで蘇ったようだ。

すこし重油の名残がみえる。

トンネル。

トンネルの中にさらにトンネル。

トンネル内のトンネルはよく見かけるけど、
真っ暗で怖くて覗けないが、ここは明かりがあって覗いてしまった。

おそらく海から続く洞窟で、
そこをクロスする形でトンネルができたのだろう。

雄島が見える。

雄島橋。

すこし休憩。
途中、すこし雨がパラついたりした。
今夜は雨の予報。
海岸沿いの道は歩道がなさそうで険しくなりそう。

海岸沿いは諦めて、福井へ行こうか検討し始める。

せっかくなので荷物を置いて雄島橋を渡ってみることにした。

釣りをしている人を何組か見かける。

うっすらと東尋坊が見える。
(この時、東尋坊と気が付いていなかった)


折角なので神社まで登ってみようと思ったが、
途中で長い事に気が付いて、
諦めて引き返した。

東尋坊
(この時、東尋坊と気が付いていなかったので、
なんかタワーがあるなと思っていた)

東尋坊周辺に近づいてきた。
この時も、あの東尋坊であると頭で繋がっていなくて、
ただの観光名所だろうと思って、
腹が減っていたのでご飯が食べられるところをただただ探していた。

妙に目立つカラス。

さっき通った雄島。

ET。
不気味じゃないか?
彼の近くに重い荷物を置かせてもらう。

とにかくお腹が減っていて、
よくあたりを調べず、
一番最初に目にとまった飲食店に入る。

店内だれもいない。
店員さんもいるのか不安だった。

観光客が続々とバスから降りてきた。
この辺りから東尋坊だと認識してきた。

東尋坊セットを注文する。
食欲的にはおろしそば食べたいだけだが、
腹持ちとタンパク質を考えてソースかつ丼付きにした。

朝食べてなかったので、待ち遠しかったが、ようやく料理が届く。

おろしそばの大根おろしがない。
客は俺一人だし、一人の為におろすのが面倒だったのだろうか?

かなしい。

店員さんがいる所まで遠いし、
お腹が減ってすぐに食べたかったので、
店員さんに言わずに食べ始めてしまった。

口が大根おろしくると思っていた為、
そばのかつおが、くどく感じ。
ソースかつ丼は、たまごの入ったかつ丼が食べたくなった。

店をでて、入ったところの反対側にでると、
こちらがメイン通りだったのか、
お店がずらりと並ぶ。

美味しそうなお店を見かけるたびに、
おろし抜きのおろしそばが悔やまれる。
腹が空き過ぎて、判断力が落ちていた。

通りを歩くと、
自殺を止めたおじさんのお店として、
大々的に看板が立っていた。

ここでようやく、
自殺の名所としての東尋坊と頭で結びついた。
東尋坊自体は昔から認識していたが、
もっと広くて険しい所にあるイメージがあって、
結びついていなかった。

幽霊がでるスポットだとか崖とか、
自宅では立ち寄ろうとか思っていたが、
いざ来てみると、いまさら引き返してまで見る気になれなくて、
自殺者の追善供養を思って祈願し、先を急いだ。

ごはんの時に色々しらべ。
やはり、今夜は雨が降るかもしれない中、歩道がなさそうな沿岸沿いは諦めて福井市街へ向かう事にした。
できるだけ県庁所在地を行っておきたいのもあった。

踏切の奥の道が歩道が狭くて歩きにくかった。
福井に入ってから、道路状況が良くない。
とくに歩道が狭かったり、あったり、無かったり、ボコボコしたり。

三国駅。妙に綺麗で立ち寄る。

一両編成の電車が止まる。

歩きやすい道をさがして、川沿いを歩くことに。

橋を渡ったあたりから、雨が降り始める。

いままでよりも、雨粒が大きい。
本格的に降られるとマズい。
リサイクルショップで買った雨具に着替える。
だが、水をはじいているようで、この後にしみてきてしまう。
やはり高いのを買うべきだったか?

田んぼ道気持ちいい。
雨で濡れてスマホが誤作動するが、
音楽を聴きながら歌って歩いた。

雨の中、クレーンでつられた人が木の剪定をしていた。

見ていても怖くなる。
ご苦労様です。

だいぶ雨に濡れて、足の指に貼ってある絆創膏がずれてきて気持ちが悪い。

子供たちが下校している。
気持ちよく挨拶を貰って、嬉しい。

身体が冷えていた為、ラーメン屋に入る。

麺、スープ、具。
こってり系が苦手な俺には、
全てが好みの味で美味しかった。

水路が上下でクロスしている。

美術館に立ち寄る、丁度閉館時間ギリギリで断られる。
これからやる絵本の展示が見たかった。

異様に車体が低い電車。
後で路面電車と気が付く。

古風な駅。

ラノベの電車。
市民はこのラノベ知っているのだろうか?
そんな疑問を持つが、
いままで田舎の電車を乗ってきて、
乗客のほとんどが学生だった。
そのことを考えると学生向けのデザインでいいのだろう。

福井市の中心に近づき建物が大きくなってきた。
歩く人も綺麗な人がいて、野宿続きなので距離をとって歩いた。

城跡の公園に着いた。

公園に日本一周してる風なチャリダーを見かける。
丁度、出発するタイミングだったみたいで、声をかけそびれる。

この日は、漫画喫茶に泊まる事にして、めぼしも付けたが、
今はいると高くなりそうなので、公園で時間を潰す。

やることないのでシロサギをぼーっと見ていた。
身体が濡れているので、だんだん寒くなってくる。
しかし、まだ漫画喫茶に入るのは早い。

座っていると寒くなるので、疲れているがたまらず歩き始める。

福井駅前にきた。
遠くから恐竜の鳴き声が聞こえる。

さっきラーメン屋に行ったから腹が減っていないが、
サイゼリヤに入って温まる事にした。

久しぶりのサイゼリヤだが、
相変わらず安い!
もっと利用すれば良かった。

店内は学生が多くて混んでいた。
野宿で子汚いが、店員さんも愛想よく対応してくれて助かった。

ありがとうサイゼリヤ!

漫画喫茶。
足が痛くてたまらず、8時間パックは諦めて、早めに入店。

すぐにシャワーを使わせてもらった。タオル付でありがたい。
足の絆創膏がボロボロになっていた。

濡れた服も洗い、乾燥機で乾かすことができた。


パソコンで色々調べていると、もう一つ台風が近づいている事を知った。

日数、予算を考えると停滞するのは厳しい。
京都の舞鶴がゴールだが現状あと5日でギリギリだ。

留まるか、帰るか、先へ行くか。

迷う。



疲労もあり、洗濯の乾燥が終わるとすぐに寝た。

この日歩いた距離 35km

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