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嫌儲について

それは僕が中学生のときだった。

当時、僕は内村プロデュースという
お笑い番組に夢中だった。

放送日だった月曜日には
ビデオの録画を忘れずセッティング。

録画したテープは
何度も見返したものだった。

僕がビデオを見て笑っていると
決まって父がやってきた。

そして、

「テレビによってお前は時間を
無駄にさせられている」

と、苦言を呈して去っていくのだった。

だからといって、その言葉で
僕が内村プロデュースを
見るのをやめることはなく、

父の言葉をスパイスとして、
ますます芸人さんの作る番組の
面白さに夢中になっていった。


そして今


僕は父の言うことを気にすることなく、
自由に時間を無駄にできている。

テレビからYouTubeへと、
見るものは変わったけれど。

嫌儲という言葉を知った。

無料のコンテンツを楽しんでいた人が
お金の匂いを嗅ぎつけると、
苦言を呈して去っていく。

なんとなく、
父と似ているな、と思った。

テレビが面白いコンテンツを作るのは
お金を出しているスポンサーのため。

そして、それに時間を費やしている
僕はテレビの拝金主義の犠牲者。

明確に聞いたわけではないが、
父はそういう風に考えていた
のではないだろうか。

嫌儲なんてリアルで言っている人を
見たことがない。

でも、日本社会に深く根を張っている
考えなんだと思う。

ひょっとしたら、日本が今、国際的な競争に
勝てないのは、日本人が嫌儲だからかもしれない。

父は僕のことを心配する気持ちもあったと思う。

でも、それ以上にお金を儲けている
テレビのことを嫌っていたと思う。

なぜなら、父はお金儲けがとても下手だったから。

お金儲けが下手で、お金を儲けている人を
ずるいって思ってたんだと思う。

僕が一つ言えるのは、

嫌儲していると、お金が逃げていきますよ
という話。

今の日本や父からお金が逃げてしまったように。

そして、僕が同じくらい強く言いたいのは、

お金に嫌われる方法が分かっても、
好かれる方法が分からない、という話。

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