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運命のワンピースはケイトスペード


 芥川賞と直木賞。
 昨日、決まりましたね。芥川賞は予想通りでした。宇佐見りんさん「推し、燃ゆ」。気になっている作家なのですけど、しばらく読めそうにないです。前回の遠野遥さんといい、河出さんから輩出される作家は抉ってきそうなやつらばかりです。おめでとうございます。
 たしか一昨年くらいから、会見をみるようになりました。憧れの賞なので、それまでもニュースでふわっとみていましたが。理想を現実に近づけようと思って、みるようになりました。毎期みて思うのは、賞を取る方はどこにでもいそうな普通のみためをしている、という印象です。でもなかみ絶対へんだよなと思いつつ、受賞作は読めておりません。町屋良平さんは読んだな。でも受賞したやつじゃないな。ボクシング興味ないんだよな。だけど彼の小説なら読めそうな気がします。
 みるたびにおしゃれしたくなるんです。わたし会見のときはこんな服着るぞ、と。毎回記憶がリセットされるせいか、あれ、そんなにかしこまった格好でなくてもいいんだという驚きがあります。全然、普段着でしたよね、おふたりとも。金屏風に映える色はなにかなぁ、やっぱ黒なのかなぁ、と妄想するわたし。でも黒は苦手な色だから、めぐりめぐって好きな色を着たい、という。着地。和服とかいいな。


 二年前、パーソナルスタイリストにくっそ高いショップに連れていってもらいました。ドレスを選んでもらったんです。そのときはこういうのが似合うと思うなぁ、という感じで、試着させてもらっただけで。着てみたらやっぱり可愛いんですよね。高い服って高いなりの理由があることをここで理解しました。
 一週間、一ヶ月。頭から離れなかったんですね。そのドレスを着ている自分が。ああいうキラキラしたものが似合うひとになりたいと思いました。ようやく買おう、と決意したときにはバスに乗っていたのです。片道一時間。仕事帰りに県をまたいでいました。望む世界にいこうと。
 だから半年に一回はドレスをだしてパソコンの前にいます。ドレスよりは可愛いもんだけどやっぱり今までのわたしにしては背伸びしたお洋服でお色直しして、記者の質問を聞いたりして。わたし、こんなしっかりしゃべれるかなぁ、と作家の答える姿を見守ってみたりして。えらいなぁ。何目線だ。親か。親になったことないから知らんけど。とにかく、ちょっと背伸びして、もうちょっと伸ばせるかも、と思いながらまた伸びて、ひっぱっていくうちになんかこう、今。思い描いた世界に近づいている気がします。だって格段に生きやすくなった。背伸びしていたつもりがだんだん楽になって、こっちが本当だったんだと気づく。なんだ、普通じゃなくてよかったんじゃん。やっぱり。という、革命。本来のわたしに戻っていくのです。


 ドレスは授賞式で着ると決めています。わたしの運命のワンピース。そしていつかお礼がいいたい。わたしの人生を変えてくれたひとに。


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