そして犬がかわいい

仕事をするつもりで早起きしたのに、GYAO!で『パターソン』が無料公開中だったのでついつい朝から見てしまった。『パターソン』はたぶんもう5回以上見ているんだけど、あらためて見てもやっぱり良くて、好きだなぁ、と思いながら見た。ジム・ジャームッシュは『ストレンジャー・ザン・パラダイス』を見たときに、ただテレビをだらだら見ているところやドレスがどうのこうのとか映画館のシーンとか、別に何があるわけでもないのに何度でも見たいと思わせるすごい映画だなと思ったことを覚えているけど、『パターソン』はそんな次元はとっくに超えていて、何度でも「愛しい」と思わせてくる。そしてこの映画でアダム・ドライバー沼にはまった人も多いんじゃないか。自分もその一人です。ほんとうにいい役者さんですよね。

自分はどちらかといえば様々な新作をがんがん見るようなアグレッシブなタイプではなくて、好きな映画を何度も何度も繰り返し見ることによろこびを感じる側の人間だと思う。好きな作品はできるだけハードで所有していたいなと思っているのもそれが理由だ。見たいタイミングで好きなシーンを何度も見たい。それでもここ数年はサブスクリプションサービスのおかげで、以前に比べるとかなり色々な作品を気軽に見るようになった。おかげで好きな作品も増えた。便利な時代ですね。ありがたい。
今年に入って新たに見たものの中では『ラッキー』が良かった。ハリー・ディーン・スタントンの遺作で、ヴィム・ベンダース的な画が好きな人は絶対に好きだと思う。

映画館の大きなスクリーンで見るのも好きだけど、基本的に出不精であることと他人が至近距離にいると落ち着かない性質とが災いして、人気作品であるほど足を運ぶのが億劫になってしまう。音楽もライブの良さはわかっていても、目を閉じて一人イヤフォンで聴くことが同じくらい好きだ。そういうことを表立って言うことが、以前はかなり憚られた。やっぱり劇場で見なくちゃ!ライブで聴かなきゃ!という主義主張の「正しさ」「健全さ」みたいなものに対して、自分のこういう気持ちはどこか後ろめたかった。
でも最近はそうでもない。後ろめたがることはないと思えるようになったし、そういう自分を受け容れられるようになってきた。

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