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『生の短さについて』(セネカ)で実感。幸せを見つけ出せるのはいつだって、「いま」だけだ。

 著者セネカは紀元前4年もしくは5年に生まれたと考えられており、イエス・キリストと同じ年に生まれた可能性が高い。そう考えると、すごく昔の人だったことが感じられる。裕福な家に生まれたが、病気をしたり、順調に出世と著述がうまくいきだすと今度は父や一人息子が亡くなったり、姦通嫌疑で8年間流刑されたりと、ジェットコースターのような人生だったようだ。50代で後に皇帝となるネローの教育係となるが、69歳頃、ネロー暗殺陰謀連座の嫌疑によりネローから自決を命じられる。  セネカはストア学派

    • 『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本』で基本の考え方が学べる

      今回読んだのは『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本~人気講師が教える宣伝せずに売れる仕組み作り』 宗像 淳(むなかた すなお)著、亀山 將(かめやま まさし)著 東京:インプレス,2015年10月21日発行 初版  目まぐるしく進化するマーケティングの世界で10年近く前の本はどうなの?とも思ったものの、基本の考え方をしっかり押さえることができた。最初にコンテンツマーケティングの全体像を押さえるには最適な、まさに「教本」。 コンテンツマーケティングとは ・コンテ

      • 人格者と言われるクリステンセン教授の人生にふれる『イノベーション・オブ・ライフ』

        「破壊的イノベーション」「ジョブ理論」のクリステンセン教授が幸せな人生を歩む方法を教えてくれる現代の名著 世界最高峰のビジネススクールであるハーバード・ビジネススクールを卒業した輝かしいビジネスマンが、その有能さゆえに犯罪者になったり、家庭で大きな挫折をしてしまうことがある。「公私ともに成功するよう生まれついていると思われた彼ら」なのに、離婚や子どもとの疎遠、刑務所に入るための戦略を実行してしまうはなぜか。「わたしたちはだれしも、これまであまたの人に道を踏み誤らせた力や決定

        • 『科学的な適職』(鈴木祐)がズバッと指摘。適職とは「あなたの幸福度が最大化される仕事」のこと(!!)しかし、読後の結論は…

           他人から見れば出世して成功しているように見えるかもしれないが、当人はここ2~3年、気分の晴れぬ日が増えている・・・。そんな「中年かくれ迷子」が、同世代の”新進気鋭のサイエンスライター”の適職本を読んでみた。 適職とは「幸福度が最大化される仕事」にまず目からうろこ!  たしかにそうだ。結局のところ、毎日の出勤が憂鬱でなくむしろ楽しくて、毎日の仕事を通して生活の満足感が上がり、喜びを感じる場面が増え、悲しみや怒りなどのネガティブ感情を減らしてくれる・・・そんな仕事が幸せな仕

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        『生の短さについて』(セネカ)で実感。幸せを見つけ出せるのはいつだって、「いま」だけだ。

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        • 人格者と言われるクリステンセン教授の人生にふれる『イノベーション・オブ・ライフ』

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          メモしたい箇所が多すぎる『世界最先端のマーケティング』(奥谷孝司著, 岩井琢磨著)のまとまらない読書メモ

          この本のキーワードは「チャネルシフト」 オムニチャネル化・・・オンラインに軸足を置く企業がオフラインを組合せたオムニチャネルを実現し、顧客に購買体験を提供 「顧客とのつながり」を競争優位性として手に入れる。さらにそれによってマーケティング要素自体を変革するという行動 チャネルシフト戦略・・・1の上に2を実現する戦い方 つまり、チャネルシフターとは、選択の場としての「オフライン」「オンライン」と購入の場としての「オフライン「オンライン」からなる4象限を複数開拓しようとす

          メモしたい箇所が多すぎる『世界最先端のマーケティング』(奥谷孝司著, 岩井琢磨著)のまとまらない読書メモ

          元の生き方には、戻らない。『がんが消えていく生き方:外科医ががん発症から13年たって初めてかける克服法』(船戸崇史著)を読んで決めた。

          がんの原因は悪ではなく無理  がんになると、あれが悪かったのだろうか、それとも・・・と答えの出ない問をぐるぐると繰り返すことが多いだろう。何も知らぬ他人から、したり顔で「あなたが十分●●しなかったせい」などと言われて悔しい思いもするだろう。だが、著者は断言する。無理な生活が原因だったと。そして、そうなるのは「お人好し」だからでしょ、と。これは慰めでも励ましでもなく、警告だ。元通りの生活、元通りのマインドに戻ったら、再発するよ、と。がんを含む病気は、本来の生き方から外れている

          元の生き方には、戻らない。『がんが消えていく生き方:外科医ががん発症から13年たって初めてかける克服法』(船戸崇史著)を読んで決めた。

          『エンド・オブ・ライフ』(佐々涼子)死と命は円環を描いて

          渡辺西賀茂診療所の訪問医療  『エンジェルフライト』が話題になったノンフィクション作家、佐々涼子氏による、在宅医療の取材を通して終末期のあり方を考えさせられる本である。  私は福祉を志しながらも、当時の介護の現状を目の当たりにし、とても与することはできないと感じてビジネスの世界に入った。人として扱われない、そういう人生の終末期を見たためだった。  一方、渡辺西賀茂診療所の働きは人と人の関係性の上にある。亡くなりゆく人は、死の直前でも自分の家で家族と過ごし、家族と海へ行ったり

          『エンド・オブ・ライフ』(佐々涼子)死と命は円環を描いて

          光の中にいるように見える野口聡一さんの『どう生きるか つらかったときの話をしよう』で知った”影”

          光と影  野口さんにとっての光は、「宇宙飛行士である自分」だった。子供たちのあこがれ、いや大人も憧れ目指す人の多い宇宙飛行士だ。自身も子供のころから宇宙飛行士にあこがれていた野口さんにとって、その光は強烈に強いものであったのは当然である。だからこそ、「突然注目されなくなった自分」という影もまた色濃いものになる。宇宙に行ったら人生観が変わるのでしょうね?という悪意はないが固定概念がちがちの質問もまた、野口さんを苦しめた。もちろん、音も命も感じられない漆黒の宇宙で、船外活動で目

          光の中にいるように見える野口聡一さんの『どう生きるか つらかったときの話をしよう』で知った”影”

          『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が面白い!

           大学院の教授のおすすめで読み始めたアンディ・ウィアー著『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(小野田和子訳)が面白い。「面白い」だなんて、面白くもない表現だが、本当に面白い。読むのが止まらないのは当然だが、人類の危機という事態に対し深刻過ぎない軽妙さ(翻訳も素晴らしいのだろう)、それでいて思い切りハラハラドキドキすること請け合い。人類の英知を集めた挑戦、ちょっと難しい科学の話(読み飛ばすことも可能)、マジか!と思わず言いたくなる出来事の連続。(あぁ言いたい。言いたいがこれは今後

          『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が面白い!

          『世界で最初に飢えるのは日本』を読んで不思議で仕方なかったヒヨコの謎!

           衝撃的なタイトルの本書、様々な農政のダメさがつづられている。実際、衝撃の内容が多く、この国で健やかに食べ、生きるのはなかなかに大変かもしれない、などと暗い気持ちになる。  さて、そんな困った食料事情のこの国で、鶏卵はほぼ国産だそうである。ただし、最近よく耳にする通り、飼料はほぼ輸入。さらに一番不思議なのは、ヒナもほとんど輸入、と書いてあったこと。鶏卵がほぼ国産な国で、ヒナはほぼ輸入??何がどうなっているんでしょう? ヒヨコたちよ、いったいどこからどうやって、日本に来てい

          『世界で最初に飢えるのは日本』を読んで不思議で仕方なかったヒヨコの謎!

          『饒舌について』(プルタルコス著)から二千年、ヒトの本性は変わっていない!?

           著者のプルタルコス(英語的にはプルタークらしい)は紀元後40年代後半、ギリシアのカイロネアという小さな町に生まれた。ウィキによれば46年頃の生まれという。つまり、今からほぼ2千年前頃の人でありその頃の著作。しかし全く古さを感じない。  以前セネカ『生の短さについて』でも感じたことだが、1世紀前後の頃には人間の本性みたいなものは書かれ尽くしていて、そこから人は本質的には何も変わっていないようだ。嫉妬心や対抗心など醜い感情を克服したわけでもなく。技術は進歩しても内面は進歩しない

          『饒舌について』(プルタルコス著)から二千年、ヒトの本性は変わっていない!?

          『2035年の世界地図』を読んで、脳みそが攪拌された!

           資本主義とか、民主主義とか、最近気になってはいるものの、ちゃんと学んだり読んだりしていない”丸腰”で突入し、「世界の知と日本の知」が繰り出す考えやら反対意見やらに、頭が攪拌された状態である…。  ひとつだけはっきりわかったことは、エマニュエル・トッドやジャック・アタリといった有名な思想家たちでも、何か一つの答えにたどりついているとか、そんなことは全然ないってこと。もちろん共通の基盤はもっていると思うが、パンデミックと民主主義について、とか、デジタルやSNSをどうとらえている

          『2035年の世界地図』を読んで、脳みそが攪拌された!

          ジャン=ジャック・ルソー、あなたも大家というわけではなかったのか!

           ”子どものころに授業で習うような人=その道の大家”といった図式が無意識のうちに出来上がっていたけれど、全然そんなことはなかった!とわかった。絵だって、ピカソのように生前から有名でイケイケの人もいるが、ゴッホや田中一村のように、生前は日が当たらなかった超すごい人もいる。思想界も意外とそういうところがあるのね、という学びだった。  後半は思想面や著作についてもしっかり触れられており、良書であるように思われた。時間ができたらじっくり再読したい本の一つ。

          ジャン=ジャック・ルソー、あなたも大家というわけではなかったのか!

          『嫉妬の世界史』(山内昌之)、恐るべき嫉妬の世界

           著者は東京大学名誉教授で、世界関係史とイスラーム地域研究がご専門の方。東西の歴史から、嫉妬にまつわるエピソードを数々紹介してくれる。特に「本当に恐ろしいのは男たちのそねみである」とのことで、まあ本当に出るわ出るわ。自分を盛り立て国のためになる部下であっても、嫉妬心の方が先に立ってしまい、部下を亡き者にして国滅ぶ、なんてこともあるのだ。怖い怖い。理性や判断力だけは失いたくないものである。  また同時に、嫉妬されないためにどう対策するかも重要であると知らされる。本人は国や皇帝

          『嫉妬の世界史』(山内昌之)、恐るべき嫉妬の世界

          『逆境を生き抜くための教養』(出口治明)で逆境を”明らめた”朝

           あの出口氏が2021年に脳出血で倒れ、半身まひが残っていたとは。しかも、立命館アジア太平洋大学学長にしっかりと復帰なさっているとは。のっけから驚いた。意識が戻って半身まひや言語障害があると知った時、リハビリをしても自分ひとりで歩けるようにはならないと告げられた時、どれほどショックだったろう。と思いきや、氏は全く悲観しなかったという。その背景には氏の「知は力」「状況の変化に対して良い判断を下し、正しい行動をとるためには、まずは数字(データ、エビデンス)とファクトをしっかりと把

          『逆境を生き抜くための教養』(出口治明)で逆境を”明らめた”朝

          『日本のM&Aの歴史と未来』で圧倒された、M&A黎明期の一人の男の姿

           一般社団法人 金融財政事情研究会 編著ということで、お堅い資料的な読み物を想像されるかもしれないが、第1章で俯瞰的に大企業・中小企業の状況を見た後は、第2章で「日本のM&A先駆者の苦闘」として野村企業情報(2002年、野村證券株式会社に吸収合併)の初代社長、後藤光男氏を取り上げ、ノンフィクションなのにまるで経済小説のような読み応え。そして第3章は座談会で、近年の日本企業の状況を、企業を見るプロ、と言って差し支えないと思われる面々がどう見ているかを知ることができる、意外にもお

          『日本のM&Aの歴史と未来』で圧倒された、M&A黎明期の一人の男の姿