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天蕪すり流し 初雪見立 【料理】【ワイン】【ペアリング】3点についてこだわりを解説します



【料理】


12月 懐石のテーマ

 「初雪ノ候」

 12月の季語
 冬の雪の情景をイメージしています

⚫︎吸物

天蕪すり流し 初雪見立

 天蕪すり流しは
 初雪を見立てています

 鰹出しと蕪の相性は
 抜群に良いです

 ただ
 鰹出しに蕪をいれて煮たてて
 アクをとばす際に

 煮立てすぎると鰹の香り旨味が
 飛んでしまいますので
 絶妙なバランスで煮る事が
 とても難しく、大事なポイントとなります

 この椀種の構成が素晴らしく
 吸物に
 鱗のパリパリ感と身のホクホク感
 最も食感が大切になる
 甘鯛沖津焼きを入れる発想が
 吸物の固定概念を覆す
 組み合わせだと驚愕しました

 石亭は各部屋離れていますので
 部屋の前で直前に
 天蕪すり流しを温めて蓋をする事で
 温かさと食感をベストな状態で
 細心の注意を払い
 お客様に召し上がって頂いています

 土台となる海老芋も
 揚げたり、蒸したりと
 試行錯誤を繰り返し

 最終的に
 蒸して裏漉し、流して固める事で
 今のベストな状態に
 辿り着いたそうです

 天蕪すり流しと自然と交わり
 口の中で調和する固さで
 海老芋を仕上げています

 崩す度にまた吸物の味わいが
 変化していく楽しみもあります

 天に
 梅人参、鶯菜、菜花、松葉柚子を
 添えています

【ワイン】

ティリティリ・ピノ・グリ 
ノイドルフ  2022

(産地)ニュージーランド
    ネルソン
 
(品種)ピノ・グリ

 30年間ネルソンのトップを
 走り続けるパイオニア

 栽培するぶどうは可能な限り
 自然な状態で見守り、醸造の段階でも
 余計なものを加えません
 早期よりサステイナブル農法を取り入れ
 自然環境に配慮したワインづくりを
 行っています

 「ネルソン」は南島北部に位置し
 年間日照時間が非常に長い

 豊富な日照量を活かし
 アロマティックな白ワインが
 生産されています

 低収量栽培した果実を収穫し優しく圧搾
 48時間静置して澱引き後に自然発酵
 20%はフレンチオーク旧樽使用
 MLF(マロラクティック発酵)無清澄
 80%ステンレスタンク、20%旧樽で熟成

【ペアリング】


 すり流しと海老芋のテクスチャー
 甘鯛の味わいからイメージして

 今回のワイン選びには
 2点を重視しました

 ・ピノ・グリ
 ・マロラクティック発酵

 マロラクティック発酵を経たワインは
 丸みがありふくよかな口当たりになる
 傾向があります

 そして、ピノ・グリは
 厚みのある複雑な味わいに
 しっかりとしたコク
 オイリーな口あたりで
 まろやかな酸味が特徴です

 この二つが合わさればより
 この吸物に同調した味わいになると
 予想しました

 条件を満たす
 アルザスや、イタリアのフリウリ
 アメリカのオレゴンなど
 様々な造り手と国を試しました

 この料理には
 ニュージーランド ネルソンの
 ノイドルフがベストでした

 ワインの華やかな香りは
 洋梨と柑橘系で嫌味なく
 天蕪の香りに寄り添ってくれます

 吸物の味の変化にも
 しっかりと対応しつつ
 料理とワインのボリュームが
 同じで余韻を引き延ばしてくれます

 甘鯛や出しの旨味に関しても
 ワインの旨味で
 包み込んでくれるくらい余力があり
 やわらかで落ち着いて
 まとめてくれました


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