電車の中の出会い HSPも捨てたもんじゃない
こんにちは。
今回は、まだHSPを知らなかったHSP気質の私が経験した16年ほど前のお話をしたいと思います。
この経験談で少しでもHSPの方の気持ちが安らいでくれたら幸いです。
私は子供の頃から自然と相手の目の動きやしぐさや声色などを観察してしまうところがあった。
この人は今あの人の言葉で機嫌を悪くしたな、この人はもう帰りたがっているな、この人は笑ってるけど呆れてるな、この人は心にもない事を言ってるな、など敏感に相手の感情に反応してしまう。
何で皆んな気が付かないの?
私だけ?
心身ともにへとへとになり、私はおかしいのではないかと思っていた。
私が40歳代の頃、ある日の出来事。
私は電車に乗って、ドアに寄りかかっていた。
目の前には、赤ちゃんを抱っこした若い女性がうつむき加減でドアに寄りかかって立っていた。
何となく、暗いものを感じた。
空気が澱んでいるような。
話しかけようかどうしようか。
今話しかけないといけないようなそんな衝動に駆られた。
話しかけなきゃ。
赤ちゃんは抱っこ紐ですっぽりと隠れていたので、可愛いですねとは言えない。
どうしようか。
『よく寝てますね』と声をかけてみた。
若いお母さんは、顔をあげ笑顔を見せた。
笑顔だったけど、少し苦しさを感じた。
きっと何かあるんだなぁと思った。
その時、私の息子は中学生だったので、私の子育ての話をしてみた。
『子育ては大変よね。私も子供が赤ちゃんの頃トンネルの出口が見えなくてしんどかったよ』
『年配の方に今が一番いい時だから子育てを楽しみなさいと言われたけど、そんなの無理よね』
この言葉は子育て中によく聞かされたけど、私はあまりおすすめできない言葉だと思っている。
喉元過ぎれば熱さ忘れるで、大変だった自分の子育ての事は忘れて、子育てで四苦八苦している私に楽しみなさいと言ってくる。
今が一杯いっぱいなんだよぉ。
慰めのつもりなんだろうが、余計にプレッシャーになった言葉であった。
すると、若いお母さんは泣き出した。
人目を憚らずに泣き出した。
私は、どうしようかと思ったが、そのまま泣いているお母さんを見ていた。
周りの人が気にするので、若いお母さんを1人にしないような雰囲気を作るようにした。
『大丈夫?』
『泣いてていいよ』
そんな言葉をかけたかもしれない。
若いお母さんは、辛い理由については話さなかった。
ただ、ひたすら泣いていた。
子育てはしんどいよねという言葉に深く頷き泣いていた。
東京あたりから横浜駅までの出来事である。
私が横浜駅で降りる頃には、だいぶ笑顔になっていた。
『ありがとうございます。もう大丈夫です』と答えてくれた。
私は、電車を降りホームに立ったが心配だったので、『一緒に降りてもう少し話そう』と言ってみた。
しかし、若いお母さんは
『もう大丈夫です』と言い、電車の中から私に笑顔で手を振っていた。
ドアが閉まるまで、電車が出発してお互いが見えなくなるまで笑顔で手を振っていた。
私は、ずっと鈍感になりたいと思っていた。
敏感すぎてしんどいから。
でも、この出来事があって自分の感受性の強さも捨てたもんじゃないかと思えた。
決して、人を助けたとか、私には能力があるとか、自分はなんて優しいの!などと自慢話をしてるわけではない。
だって、若いお母さんは本当に助かったのかはわからない。
私と別れた後、気落ちしたかもしれない。
もしかしたら、おばさんの相手をしてくれて、助けられたのは私の方だったかもしれない。
HSPでしんどい思いをしている方に。
それでも、感受性の強い私でよかったと初めて思えた瞬間でした。
HSPはこんな風に役立つ事があるよ。
HSPでしんどい思いをしてる方が、『HSPも悪くはないか』と少しでも気持ちが楽になってほしくて私の些細な体験談を話ました。
それこそ、喉元過ぎれば何とやら…で、人の感情や自分の体の痛みなどにも敏感に反応する自分が嫌になって鈍感になりたいと今でも時々思う。
まだまだ、HSPを受け止められていない私です。
そんな時は、この出来事を思い出すようにしている。
あの若いお母さんはどうしているかな。
あの時の赤ちゃんはもう高校生。
会ってみたいな。
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