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システム調達業務に初めて携わるあなたへ


システム調達業務に初めて携わるあなたへ

システム調達業務に初めて携わるあなたへ、これだけでも守ってほしい・気づいてほしい点を私見で述べます。
誰かの参考になりますように。

予定価格は教えてはいけない

言わずもがなですが改めて。
自治体の契約は競争入札が原則です。(地方自治法第234条)
競争入札とは、自治体側があらかじめ仕様書(何を発注したいか)と予定価格(この内容だったらいくらだよね)を決めつつ、いくつかの事業者に見積書の提出を依頼し、最も安い事業者と契約する手法です。
そのため、予定価格を漏えいすることにより、当然その価格を聞いた事業者は有利になります。これでは競争環境の確保はできません。
競争入札では、予定価格は教えてはいけません。
予定価格を教えたことで処分された例もあります。
参考記事:
県職員が一方的に予定価格を教示、企業の入札辞退で不正発覚 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

随意契約が当たり前ではない

上で競争入札が原則であることをお伝えしました。
発注したい内容がいくつかの条件を満たす場合、特定の一事業者と契約をすることができます。これを随意契約といい、自治体の契約手法の中では例外に当たります。総務省:随意契約について.pdf (soumu.go.jp)
しかし、数年地方公務員に従事した方であれば、随意契約があふれていることにお気づきかと思います。
特にシステム調達においては、随意契約が原則ではないかと思うくらいには随意契約の案件があります。

後継業務が想定される情報システム調達案件において,安値応札により受注したベンダーが,後継業務を随意契約で発注することを働きかけ,その結果,官公庁が適切な発注方法を採らず,当該ベンダーに対して随意契約等により後継業務を発注することとなった場合には,ベンダーロックインと同様の効果が発生することとなり, 競争政策上望ましくない。

公正取引委員会報告書から抜粋

公正取引委員会の報告書にもあるように、システム調達は1つの契約ではなく、構築・運用・保守などいくつかの段階に分かれることがあります。
そのため、競争入札の結果構築を行ったA事業者が、運用・保守を行うこともありますし、今実際に利用しているシステムをWindowsのOSサポートの関係で更新する場合は、引き続き今利用しているシステム事業者と随意契約を行うこともあります。
先に述べておくと、随意契約自体が悪ではありません。
必要があるからシステムを入れているわけであって、運用ができなかったら困る(住民の方の不利益になる)わけです。
そのため、随意契約により安定した運用を図ることそれ自体は悪いことではありません。
しかしながら、安定した運用を図るための手法が、随意契約しか手法がないことが問題です。
(それを乗り越えるための標準化…だったはずですが、それについては別記事にしようと思います。)

事業者からもらった仕様書等の資料は要注意

まれに頼んでもないのに事業者の方から仕様書案などをもらうことがあります。
当然善意で事業者の方はくれたんだ…とあなたは考えると思います。
しかしちょっと考えてください。
なぜ頼んでもないのに事業者の方は仕様書案をくれたのでしょうか。
多くの場合、その事業者しか満たせない仕様がその中に書いてあります。
その仕様書をそのままその自治体が使ってもらえれば自社しか入れない、しかも形式上、「自治体が作成した仕様書」ですから、その事業者が作成したものではありません。
これは果たして自治体の契約として良いものでしょうか。
はっきり言えば、非常に危険です。
その仕様が明らかに全ての住民の益になれば別ですが、まずそんな仕様はあり得ません。
事業者からもらった仕様書等の資料には、その事業者の意図が見え隠れしています。そのまま利用することはせず、きちんと精査しましょう。



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