組織はどうやって継続するのか

組織は変わらないと思っている。日本では新卒一括採用が主流だ。その新人達は上司というその会社の文化を継承した人によって教育される。新しい血である新人もやがて「かつて」の上司になってしまう。その上司が「かつて」の自分だった新人を教育する。このサイクルを継続している限り、組織は変化する事が出来ない状況を自ら作り出している。

ホモサピエンスは、一気に自らの変化を獲得した。ネアンデルタール人は永きに渡って、寒冷地でも過ごせるDNAを手に入れた。そこにホモサピエンスが登場し、ネアンデルタールと交雑する事で、タイムマシーンよろしくネアンデルタール人のDNAを短期間で自らの中に取り込んだ。

M&Aも二つの使い方がある。単純に同じものを再生産するもののスピードアップだったり、交雑のような使い方もある。単純に売上を増やす為のM&Aならば、これはDNAの変化を伴わない身体拡張みたいなものだろう。一方、自らの価値観に敢えて変化を取り込み、新しいDNAを獲得するようなM&Aならば、これは寒冷地でも灼熱地でも生き残れる組織になるだろう。ネアンデルタール人の様に長い年月をかけて、単一適合性の高い体になるのか、ホモサピエンスの様に交雑によって多様環境適合性の高いDNAを短時間に獲得するのか、その目的によってM&Aの意味は異なる。

変化の激しい時代と言われて久しい。その為に変化の強い組織とか、組織改革が必要だと、よく言われる。その変化適合性を高める為には、その為のDNA獲得が必要なのは前述した。しかし、組織がやっている事と言えば、自らの中で「組織改革」というDNA変化を獲得しようとしているとうい矛盾行為だ。同じ人種を永遠に生産する新卒一括採用と上司による教育という仕組みを継続している以上、理論的にその組織の中から新しいDNAが生まれる事はないという事は科学的にも論理的にも正しいと思うが、組織はそれに気づくことなく同じ事を繰り返す。こんな場合にも新しいDNAを獲得出来る場合もある。突然変異だ。よく組織に変わりものがいて、そいつの才能が奇跡的に活かされ、組織改革につながる例はある。しかしこれはプロジェクトXの世界であり、極めて例外的だ。超低確率の突然変異のDNAが現れるより、論理的に正しく交雑して、新たなDNAを獲得する方が確実で時間も早いのは明らかだ。

ダイバーシティは重要だ。上記の様にホモサピエンスの歴史や自らの中に変革というDNAを作り出すという仕掛けを理解したら、ダイバーシティという言葉が深い意味を持って理解できるようになった。

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