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10月1日~10月7日 あなたは天使か悪魔か+違法マイク

みなさまはこんな話聞いたことがありますか?天使か悪魔の分かれ道のお話。まぁないですよね。これは天界でも非常にまれなケース。ていうか違法です。今日はそんな危ない話をお一つ。

今日、天使と悪魔の子が誕生した。

ざわつく天界。そんな禁じられた関係を認める訳にはいかなかった。同じ種族同士なら、いくら家族間に因縁があろうが、身分の差があろうが、信じるものが違っても認めることはできた。しかし、敵対する種族同士は違う。倫理上、法律でも禁止されていた。

しかし、上層部の神様達もこのような事態を想定していなかった訳ではない。あらかじめ法律では決められた規則が用意されていた。

それが”運命のマイク”だ。

これは、産まれてきた子どもの第一声が「天使か悪魔か」どちらよりの声を発したかで判断し、種族を決定する儀式のことをいう。

だが、さらにややこしいことがここで起こる。産まれてきた子の声がどちらとも判断できなかったのだ。だから、神様達は一度この問題を棚上げすることにした。

しかし、このような事態は想定されておらず、設備が整っていなかった。だから、神様サイドでこの子を預かろうにも施設などあるはずもなく、そこから神様達のこの子どもの押し付け合いが始まった。どの神も自分とは無関係の、しかも身分が下の天使か悪魔かも判らない幼子を預かるのを渋りだす。

そんな様子を見かねた天使サイドと悪魔サイドの双方により、子どもの取り合いが始まってしまう。

この当時は、天界の仕事もそんなに忙しくなく、天使と悪魔側の収入も安定したものではなかった。だから、多くの若者たちが子どもを産むのをためらっていたため、両種族双方が少子化問題に悩んでいた。それゆえ、どのような経緯はあれ、どちらも子どもは一人でも確保しておきたかったのだ。

両種族の大人の醜い争いに巻き込まれ、天使と悪魔が混じった声で泣き叫び続ける子ども。そんな様子を見ていられなくなった一柱の神様は、一瞬の隙をついて、子どもを奪い、天界エレベーターで地上へと彼と一緒に逃げ下りた。

そして、子どもは地上で成長し人となる。

このことは天界にとって、良いことも悪いことも含めて、予想外の事態を引き起こす。

良いことは、天使と悪魔、両業界に好景気をもたらしたことである。人の誕生により、地上階での天界による仕事が激増した。そのおかげで、天使と悪魔双方に振られる仕事も多くなり、一般家庭の所得も増え生活が安定し始めた。そうして、子どもを持つ若者も急増し、第一次エンジェルブーム、デビルブームが引き起こされた。

悪いことは神様達が作った生き物のバランスを崩したことである。多くの神様達の叡智を結集し、何万年の議論と熟考の末、辿り着いた地上の生き物の黄金バランス。それを人は一瞬で破壊してしまった。天使と悪魔の心を持つ人は、自分達以外の生き物を愛でる一方、食物として捕らえ、文明の発展という理由でまるで地上の王様のようにふるまい、無慈悲にも彼らの住処を奪っていった。今、生き物のバランスを賢神達の手によって再度計算中であるが、正解が出る日はまだまだ先のようだ。

なかなか答えが出ず、彼らも時には地団太を踏み、激しい議論が飛び交ったりする。やがて、それらが大きな天災となり地上に襲いかかってくることはまた次の機会に話すとしよう。

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