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散文と短歌|シーグラス

 ごめんなさい。
 きみが大事に取っておいた空の酒瓶を、うっかり落として割ってしまったんです。
 わたしはそれを、あの日きみと歩いた、夕陽が綺麗な海の、きらきらした砂浜にばら撒きました。欠片は海が飲み込んで、もう元の瓶には戻せない。
 勝手なことをしたのはわかっています。そのまま捨てるにはあまりにも勿体なくて、シーグラスにでもなってしまえばいいと思ったんです。
 遅くて、百年後くらいでしょうか。もっとかかるでしょうか。わたしの身体は、ばらばらになっているかもしれませんね。その時にはきみのその手で、同じ砂浜にばらまいてくださいね。どうか、ひとつも残さないで。持って帰らないで。

 約束ですよ?絶対、絶対ですからね。
 ではまた、百年後、ここで。



シーグラス、落ちた涙は戻らない わたしは海に飛び込むべきだ



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