てんきあめ

2001年生まれ、大学生。 自分のお気に入りを探すのが好き。個性が出るものが好き。 音…

てんきあめ

2001年生まれ、大学生。 自分のお気に入りを探すのが好き。個性が出るものが好き。 音楽も動画も服も本も言葉も写真も。 紅茶飲みながら、YouTubeに転がるプレイリスト聞きながら、雑誌読むのが至高。

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  • あとで読み返したいnoteたち

    わたくし、てんきあめが時間が経ったあとにもう1度、何度でも読み返したいnote記事をまとめています。

  • 私の500文字

    note記事だとどうしても力みすぎてしまうときがある。 Twitterよりも、もう少しだけ書きたい。 そんな中間地点くらいのエッセイたちです。 大学のリアぺ400文字よりはちょっと多く書けるだろ、ということで500文字にしました。 #私の500文字

  • 聴き方のススメ

    音楽に関する記事をまとめたマガジンです。 ディスクレビューやライブレポ、音楽シーンに関するあれこれまで。

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藤井風の完璧さに圧倒された一夜

10月29日。 藤井風の初武道館ライブ。 "NAN NAN SHOW 2020" HELP EVER HURT NEVER。 ぼくにとっても初めてとなる武道館でのライブであり、初めての藤井風のライブ。 気づいたらもう当日、みたいな感じだった。 コロナウイルス感染拡大防止により、グッズ販売はなかったが、グッズを身に着けている人も多くて人気の高さを感じた。 ライブの本数は決して多くないから、きっと彼らはオンラインストアで購入したのだろう。ファンの熱心さがうかがえた。 ぼ

    • 沼っている人を祝福できるか?

      なにかにのめり込んでいることを「沼っている」ということがある。沼にハマる、とかそんなところから派生して使われている言葉だと思う。 ときに恋愛的に相手に沼る人もいると思う。 好きな人に尽くすことの快楽と、その幸福感は言葉で表せない。 しかし、恋は盲目、という言葉もある通り、判断力が鈍ることがあるのもまた事実だと思う。 好きで好きでたまらない人の言うこと、信じるもの、その価値観への疑いは薄く、薄くなっていく。 ときにそれは多くの人からは疑われるものであったとしても。 それほ

      • 贈り物

        プレゼント決めるのって難題すぎやしないか? 贈る理由や間柄、贈り手の金銭感覚、相手のパーソナリティなどで正解は変わってくる。恋人でもない奴にネックレスとか貰ったら重すぎだし、逆に恋人に罰ゲームみたいなパーティグッズを贈られたらネタでも私なら冷めてしまう。 友達でも残り物は重いかも…と考えてしまって、一例を除いてお菓子を渡すことにしたこの3月。正直不本意だ。私の思うベスト・プレゼントの条件外れているから。 ベスト・プレゼントの条件は「自分じゃ買わないけど、もらって嬉しい」

        • 日本人と、オーストラリアで出会うこと

          とある週末の日。 ハウスメイトと一緒に街まで出かけて、マーケットなどをちょっと散策しようかと昼前くらいに家を出た。 街中へと歩みを進めると、「エクスキューズミー!」と声をかけられる。はい?ととっさに振り返ったけど、な、なんですか? 「日本人ですよね?」という声を耳に、顔を見ると赤髪の女の子だった。 あ、この子、さっき電車で向かいに座ってた。 話を聞くと、さっきの電車での会話を聞いていて、日本人だと思ったのだそう。彼女は昨日到着したばかりで、右も左もわからないので、案内し

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          午後4時、埼京線各駅停車

          1本の埼京線が荒川を渡っている。 あの人たちが口を揃えて嫌っていた満員電車の影はなくて、穏やかでぬるい空気がぼくを微睡ませる。高架上を走り続ける埼京線は背が少しずつ違うアパートの間を通り抜ける。脈を打つように現れたり隠れたりする夕陽の日差しは、ずっと眺めていたい。昼間は眩しくて見つめられないけれど、今だけは見つめていたい。 それぞれのシートの隅に座って、壁にもたれかかる。ぼくたちは目的も行き先も違うけれど、この時間と空間を奇跡的に共有していている。たった数分間だけは同じ方

          午後4時、埼京線各駅停車

          雨雲の光

          午後4時くらいになって、雷が鳴って、今日は雷雨の予報だったことを思い出した。怠惰で昼過ぎにした洗濯物を部屋に入れて、どれくらい降るかななんて空を見上げた。街のほうは薄い雲で、反対側の雲は重い色をしていた。 どうせ後回しにするのにシャワー浴びようかダラダラ悩みながら、適当に時間を流していた。 龍の唸りのように低くて遠くからくる音が聞こえて、幾つも待たずに雨が降り出した。蛇口をひねった空はこの地域一帯を洗った。開けた窓から軒先を眺めると、樹木の緑がいつもより薄く見えた。わたしと

          オーバータイム

          私が彼に与えた時間は20分で、それはもう過ぎていた。7分ほども。夕日も完全に沈み、光るのは買い替えたばかりの蛍光灯だけ。 それに、内容も私が想定していたものとはかけ離れたものだった。 それでも、理科室にいた全員がその熱量の渦に巻き込まれて、何の時間であったかを忘れて、引き込まれていた。 この部屋は沈黙している。 私は最初こそ驚いたが、彼が続けるようすを見ていたかった。だから、止められなかった。確かに彼は真面目で誠実で、できる子だと思った。それでもその話しぶりは感心するばか

          オーバータイム

          夕暮れ実習生

          夕焼けの心地よい光が、クラスを射す。 ベテラン教師は、一枚のアートのように黒板の板書を終えてチョークを置く。生徒が板書を終えるのを静かに待つ。その間、私とほかの大人は不安定なバインダーで書き込みをする。この部屋には、シャープペンが机をたたく音しか響かない。 ハッキリと聞こえるちょうど良いボリュームの声が向けられる。 「この分野は難しく時間がかかるので、詳しい解説は次回に持ち越しますね。板書をしっかりとっておいてください。余裕がある人は、板書と教科書をみて予習しておけるといい

          夕暮れ実習生

          Re-Birth 生まれ変わってもう一度酔う《04LS, [Alexandros]》

          ロックバンド・04 Limited Sazabys(以下フォーリミ)がめでたく結成15周年を迎えたということで、アニバーサリーアルバムとしてセルフカバーのアルバム『Re-Birth』がリリースされた。 邦ロックのフィールドのリリースを熱心に追い続ける足を止めてしまった私でさえ、これは聴かなくては、と駆られた。リリース前にYouTubeにアップロードされた「History of 04 Limited Sazabys Season 1」は1時間もあるのに、一気に見てしまった。それ

          Re-Birth 生まれ変わってもう一度酔う《04LS, [Alexandros]》

          あの夜の本音

          あの一夜に私が涙とともにこぼした縋りは、きっとここ数年間で積もった寂しさのひと欠片だと思う。 人間関係に対する自信を持たせた3年間だったと、言い切ることができる。でも、その影に隠れて、恋人ができないことに対するコンプレックスも募っていったはずだ。大学生活の中で、全く風も吹かないその事実に対して、もしかしたら人間関係がうまくいっているように見えるのは、幻想なんじゃないかと。恋人という、恋愛というあとひとつのピースだけが足りなかった。それさえあれば、友達も先輩も後輩も、職場も地元

          あの夜の本音

          好きになれた秋を

          昨秋、ようやく告白に応えられた気がする。 今まで秋とは、パッとしない季節だった。嫌いだとか、苦手意識があったわけじゃない。ほかの季節と比べて向き合い方がわからなかった気がする。 今まで向き合う必要すらなかったのかもしれない。文化祭、部活の新人戦、修学旅行に、模試とイベントだらけの学生の秋だったと振り返って思う。秋という季節を意識する間もなく、クリスマスと年末が目の前にあった。 学祭にもハロウィンにも参加しない学生には、慣れた普通の数か月しか残らない。 ○○の秋、と秋を

          好きになれた秋を

          異国の本屋より

          渡豪して5か月が経とうとしていている。 オーストラリアにも本屋はある。 結構な頻度で通っている。日本語よりも読むスピードも遅いし、日本語も読みつつなので時間がかかるので、買わないかもしれないけれどなんとなく。 装丁から日本のそれと、全然違う。パキッとカラフルなイラストが多くて、写真もインパクトがあるものが多い気がする。 アルファベットはカリグラフィーに凝る要素が多くて、本のタイトルだけ収集したいくらい。自己啓発・ビジネス書の類はタイトルが大きくて、ほぼタイトル勝負。この辺は

          異国の本屋より

          暇と孤独こそ最高の感受性だ

          いろいろとうまくいかずに、朝陽が昇り夕日が沈むのをただ耐える日々になっている。お金も心もとないから、外へも出れず、結果人と会うのが躊躇われる。炎はなにかに吸収されるように、小さく小さくなっている。 頼れる人が何人もいることは、私にとって最大の幸福で、今もすごく頼りにしている。何度も声を交わして話したし、それだけでなく彼らが存在するその事実だけでなんとか踏みとどまれて、今がある。なんとか最低限度の生活を送る火種は残っている。 ありがたいことに、無理に頑張れよ、なんて誰も言わな

          暇と孤独こそ最高の感受性だ

          もう下校できない

          朝起きて、通学する。 夕方疲れて、下校する。 そんな日々はもう二度と来ない。今日、下校する彼女らと反対側方向へ歩いた。友達とお酒を飲みに行くために。 今日の予定は晩から始まる友達との飲みだけだったので、昨夜は夜更かししていた。ちょっとのお酒と紅茶を飲みながら、ネットサーフィンしたり音楽を見つけたり本を読んだりして、本当に気ままな幸せな時間で夜を果たした。静かで、私だけの部屋で、デスクの前で、椅子の上に体育座りで、自分の興味だけに引っ張られて夜を進める。この時間に私は救われ

          もう下校できない

          ショートショート『ぶり鍋』

          冬の色は水蒸気だと思う。 鍋から昇る白い湯気越しに、瑞希が内側を覗く。覗かなくてもわかる。ぐつぐつと煮える音と出汁の香りだけで、もう十分食べごろだという確信できる。その表情は幼さが滲む。隙に見せるその子どもらしさに惚れたんだと思い出す。部屋は暖色の間接照明によって、暖かく感じさせる。外の景色は、窓に張り付く水滴で見えない。でも、見る必要もない。世の中のカップルが素敵なディナーを過ごして、朝まで一緒に過ごしていることなんて、今夜だけは見なくてもわかるから。私の分まで盛ってくれた

          ショートショート『ぶり鍋』

          毎食コーディネート

          この朝も黄身が破れている。 それでも悔やんでいる暇はなくて、あわてて蓋をかぶせて、ちょうどのタイミングを見計らう。 頼りない直感を使って、フライパンから降ろそうとするも、こびりついて上手く着地できない。ペリペリとつついてから滑らせて、ようやく着陸させる。 安物のライスクッカーから1カップ分の白米を茶碗に注ぎ、目玉焼きの皿にならべる。私の家族は醤油派。醤油を少しかけて。 完璧。湯気を浴び、唾液を飲んでから、口角を上げて、スマホで撮る。 自分が食べる分には十分すぎる。 この

          毎食コーディネート