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【知られざる実話】 吃音で苦しんだ英国史上最も内気な国王の物語 『英国王のスピーチ』 ~Teeの映画館No.34~

よく先生に怒られます。しかも大抵学校でトップの怖さを誇る先生にばかり怒られます。

慣れる?って言い方が相応しいか分かりませんが、その先生がどういうテンポで、どういう風に怒ってくるかがだんだん分かってくるので、

怒られる度に、「先生は次こうやって言ってくるだろうから自分がここで、こう反論すれば論破して俺の完全勝利だ!」って自分が勝ったっていうめちゃくちゃキモい妄想をしてます。(笑)

Teeです。よろしくお願いします。

時間があるので、久しぶりに映画の紹介をします。



今日紹介するのは2010年公開の歴史ドラマ映画『英国王のスピーチ』です。これは、幼い頃から吃音症に悩まされたイギリス国王・ジョージ6世が妻エリザベス妃と言語療法士ライオネルと共に吃音を克服したという、感動の実話を映画化した作品です。

また、この作品では、ジョージ6世とライオネルの友情、王に就任する葛藤、王のスピーチが必要とされる時代背景が感動的に描かれています。

ぜひ、最後まで読んでくださると嬉しいです。


【監督】トム・フーパー【時間】119分


《あらすじ》

時は世界大戦前のイギリス。

ジョージ6世は幼少期に乳母から虐待を受け、吃音症で悩んでいました。

英国王である父ジョージ5世の代わりに大衆の面前で演説をしなければいけなくなったジョージ6世は、上手く話すことが出来ず、大衆を愕然とさせます。

成人し結婚した彼は未だそれが治らず、その治療に紛争したのは彼の妻、エリザベスでした。

治療に専念しようと努力するジョージ6世でしたが、口の中にビー玉を入れて話すなどの意味不明な治療は彼とっては苦痛でしかなく、すぐ治療を断念してしまいます。

ラジオの普及に伴い「国王の声」というのは大衆にとってとても大きな意味があるもので、吃音症を治したいと思うものの、王の死後に王位を継ぐのは長男であるエドワード8世であると思っていた彼は、どこか治療に逃げ腰でした。

《注意》ここから先はネタバレになります。








頭を抱えたエリザベスは吃音症の治療の専門家であるライオネルという男を見つけます。ライオネルは医師免許を持っていませんでしたが、第一次世界大戦後に数多の戦士の治療をしてきた実績がありました。

彼の元を訪れたジョージ6世は自分を対等な人間として扱う彼の診察に戸惑いを覚えながらも治療を受けます。ビー玉を使った治療や、クラシック音楽を聴きながら朗読させる治療など、以前と変わらない治療に嫌気が差し、彼は結局治療を止めてしまいます。

そして、治療をしないまま再び演説の日を迎えたジョージ6世はやはり上手く話せず、自分の不甲斐なさに落胆してしまいます。

そんな時、ライオネルの治療を受けた時に音楽を聴きながら朗読をした自分の声を録音したレコードを発見します。そこには一切詰まることなく、流暢に話をする自分がいました。

一筋の希望を垣間見た彼は改めてライオネルの元を訪ねて、彼の変わった治療方法に向き合い、徐々にライオネルに心を開き始めます。

そうして、ジョージ6世はライオネルとの友情を育んでいきながら順調に治療を進めていくのです。


《見どころとポイント》

⚫︎ジョージとライオネル

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大きな見所の一つは、ジョージ6世が吃音治療を通して、王位継承者としても人間としても成長していく過程です。

そして、その吃音治療のために思い切って二人三脚をする相手が、一癖も二癖もある厄介な人物だというところがとても面白いポイントです。

治療を行うライオネルは、変人の中の変人とも言えるようなキャラクター性で、一見すると胡散臭さすらも感じられます。

そんなちぐはぐな二人の間で友情が生まれては崩壊し、その度に再構築される様子がスリリングであり、もどかしくもあり。そうして友情が徐々に強くなっていく様子が、作品に大きなうねりを与えているわけです。

『何度も困難にぶつかり、その度に挫折しそうになる心を奮い立たせて立ち向かう勇気。』それが、英国王のスピーチが強く発信するメッセージのひとつです。


⚫︎感動のスピーチ

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やっぱり一番の見どころはラストの王のスピーチです。治療の集大成とも言える、国民に戦争の開始を告げるスピーチ。なんか違う意味でドキドキします…。

静かで(こっちが不安になるくらい)ゆっくりとした王のスピーチは決して上手なものとは言えませんでしたが、国民を惹き付けるスピーチでした。

このジョージ6世の演説は今我々が直面している現状にも非常に勇気づけてくれる内容だと思います。

<スピーチ全文>

史上おそらく最も運命的な、この重大な時に、国内外のすべての国民一人ひとりに、この声明を送り、諸君の心に届くことを望み、私自身の言葉で、語らせてもらうことにしました。

我々の人生の中で二度目の、戦争です。何度も何度も、我々は、両者間にある溝を埋める平和的な道を探していましたが、彼らはいまや敵となってしまいました。
すべては無駄となり、我々はもはや、戦うのみです。

我々の同盟国とともに、我々は参戦し、敵国が掲げる主義に対して、戦いを挑みます。なぜならば、敵国の主義が勝利するようなことがあれば、世界の文明国の秩序が崩壊することになるからです。

敵国が掲げる主義とは、権力を身勝手に追及し、他国の自治と独立に対して、武力の行使と、武力による脅迫を正当化するものであり、国家間の協定と、その固い誓約を軽視することを、国家に容認するものです。

そのような主義は、結局は「力こそすべて」という、単なる幼稚な理論なのです。しかし、もしその主義が、世界中で確立されてしまえば、我が国とすべての英国連邦国の自由が脅かされるでしょう。さらには、世界の人々は恐怖に囚われ、国家間の確固たる平和と、正義と自由の保障という希望は、潰えることになるでしょう。

これこそが我々が直面している最大の問題点です。我々の愛しいものたちのために、世界の秩序と平和のために、我々がこの戦いを回避すべきであるとは、考え難いのです。

この崇高な目的のために、今、私は国内外のすべての国民を召集します。

我が国民は、我々が開戦に至った理由を、自分たち自身のものとして理解してくれるでしょう。
この試練の時に、冷静に、堅固に、結束して構えて欲しいのです。任務は厳しいでしょう。
暗い日々が待ち受け、戦争はもはや戦場だけで行われるものではなくなるでしょう。

しかし我々は、我々が正しいと信じることだけを行い、厳粛に神に仕えましょう。我々が固い意志を持ち、神に忠実であるならば、神がどのような犠牲を望んでも覚悟して臨むならば、神のご意志のもと、我々は勝利するでしょう。
神の加護が我々とともにあらんことを。


《まとめ》

さて、ここまで『英国王のスピーチ』について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

この作品は、基本的に万人にオススメできる映画だと思います。
小道具や雰囲気に至るまで丁寧に作り込まれた世界観は、観ている人の心をスッと惹きつけてくれて、歴史ものにも関わらず、難しい予備知識などがなくても楽しめます。

またイギリス王家のかなりプライベートな様子が垣間見られるのでイギリス王室や歴史などに興味がある方は、ストーリー以外にも楽しめるギミックが多くあると思います。

僕の周りには、当然国王候補なんていませんが、吃音を抱えている人は数名思い当たります。吃音症に悩む本人にとって、言葉をうまく発することが困難であるというのは、日常生活を営む上での大きなストレスを生み出すものであることは想像に難くありません。

ましてやジョージ王子のように、”生まれた時にはもう仕事が決まっている”となれば、その避けられない運命へのプレッシャーも想像を絶するものであることと思います。

吃音症を克服するための治療法もユニークなものが多く、仮に吃音症でなかったとしてもクリアできるのかどうかわからないものばかりで、興味深いというよりは自分でも挑戦してやろうという気持ちにもなります。

イギリスの歴史だけでなく、吃音症についても深く考えさせられる作品です。


ぜひ、観てみて下さい!



【予告はこちら】

 

いつも読んでくださっている方も、初めましての方も、親切に最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ぜひ、スキしてくださると嬉しいです!!!

明日もお楽しみに!


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