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シャンプーと防腐剤

シャンプーの防腐性能(腐りにくさ)のことを書きます。

これは完全に現実逃避であり、気を紛らわせるためだけに書きます。


さっそく問題。

シャンプーとトリートメント、腐りやすいのはどーーっちだ。














正解はシャンプーです。

若干意外な気しませんか?

なんかトリートメントの方が腐りやすそうな感じしませんか?

たぶんそれはトリートメントの方が減るのが遅かったり、日によってはトリート使わなかったりってので、長いことお風呂場に置いとかれがちってのが一つ。

そして、使っていった最後の方は、シャンプーであれば、なくなる直前までなんとかポンプで押したら出てくるし、出て来なくなってからも容器を逆さまにしたら出てくるのに対して、トリートメントはすぐポンプを押しても出てこなくなるし、そうなったら逆さまにした状態でポンポンポンポンって何度も叩く必要があるせいで、なんか素手で手を突っ込んだりしてる感が強いからだと思います。

でも、化学や生物や料理とか食品とかに詳しい方ならわかると思うのですが、当然水分含量が多い方が腐りやすいんです。

シャンプーの方がトリートメントよりも水分含量が多いから、腐りやすいというのは誰でも納得できると思います。だって、シャンプーの方が水っぽいですよね?




しかし、それだけではございません。

シャンプーに用いられている界面活性剤の主成分はマイナスの電気を帯びた界面活性剤、すなわちアニオン界面活性剤。

トリートメントに用いられている界面活性剤の主成分はプラスの電気を帯びた界面活性剤、すなわちカチオン界面活性剤。

実は、カチオン(+)にはそもそも高い殺菌作用があるんです。

理由は完全には解明されていませんが、細菌の細胞膜がマイナスに帯電している(これは事実)ために、反対の電気を持つカチオンが作用しやすいっていう理由や、タンパク質の変性作用が強いなどの理由が挙げられています。

そうなんです。そもそも使われている界面活性剤の防腐効力がトリートメントの方が段違いに高いんです。



しかし、まだそれだけじゃありません。

シャンプーもトリートメントもどちらも界面活性剤がエマルジョンを形成しています。

エマルジョンって何だ?

エマルジョンというのは、界面活性剤同士がええ感じに仲良く手を繋いで並んでいる状態です。

ええ感じってのはどういうことか説明します。

世の中にある全ての物質は油の仲間(油成分)か、水の仲間(水成分)かの2つに大別されます。

これはまず、そういうもんだと頭に叩き込んでください。

そして、

界面活性剤というのは一つの分子の中に、油とくっつきやすいパーツと、水とくっつきやすいパーツがあります。

その油パーツが内側、水パーツが外側になるようにして、油成分を内側におしくらまんじゅうして閉じ込めちまったのがシャンプーです。

反対に、水パーツが内側、油パーツが外側になるようにして、水成分を内側に閉じ込めて、油成分を外側に押し出しちゃったのがトリートメントです。

そして、化粧品に配合される防腐剤の多くはめっちゃ油寄りです。

油寄りとはどういうことかというと、全ての物質は100%油か水かに分かれているという物はあまりなくて、あくまでどっちかに偏っているだけであり、防腐剤はかなり油寄りの物質なんです。

防腐剤が油寄りだということは、油成分が内側に閉じ込められているシャンプーにおいては、防腐剤のほとんどは内側に閉じ込められているということになります。

そして、内側に閉じ込められて力を発揮できるやつなんていません。

閉じ込められた防腐剤はほとんど効力を発揮することができずに終わります。

だから、少しでも防腐剤が内側に閉じ込められないように、まずは80度以上の高温とかで水に防腐剤を溶かしてから、その後に界面活性剤を添加してゆくという作り方をすることが多いです。

一方で、トリートメントはというと、油成分が外側にあるので、防腐剤もほとんどが外側にあるということになります。

だから、これまたより一層防腐効力を発揮しやすいということになるんです。




そんなこんなで、基本的にはシャンプーよりもトリートメントの方が腐りにくいし、シャンプーはシャンプーで作るの大変だったりもするんです。

ただ、結局のところ、今書いたことは全部作る際の話であって、結局市場に出回る際は品質基準をクリアしているかどうかだけが重要です。

だから、そもそもの処方の特徴的にトリートメントは腐りにくいので、コストなどを考えて、加える防腐剤の量を減らしたりします。

そして、我々消費者の手元に届く段階では結局シャンプーもトリートメントもある程度同じぐらいの防腐性能(腐りにくさ)であったりもするでしょう。

もちろん、求められる品質基準は全てクリアしたうえでの話ですが、腐りにくいシャンプーもあれば、腐りやすいトリートメントもあるということです。まあ当然っちゃ当然ですね。



シャンプーやトリートメントの話を書いていたのに、ふと別のことを考え始めてしまいました。

心に防腐剤があればいいのになって。

人は思ってるよりも腐りやすい。

そして、多くの日本人は求められる品質基準をクリアせずに出荷されて社会で揉まれる。

そして、嫌になって会社を辞める。

もっと嫌になればフリーターになり、ニートになる。

別にニートでも全然いいのだけど、腐らずに会社で働けるなら働き続けたかったって人は結構多いと思います。

たぶん世の中ってマイナスの力を持った人や環境の方が多いんだと思います。つまり、シャンプーと同じように腐りやすいんだと思います。

シャンプーが腐りにくいようにどんな工夫をするんだったっけ?

そう。界面活性剤を加える前に80℃ぐらいの熱湯であっためながら、まず防腐剤を水に溶かすんです。

おんなしように、80℃ぐらいの全力で熱い経験を若いうちからしておくってのは、防腐剤を加えるようなもんで、腐らないために必要なことなんじゃないかなって思います。

とはいえ、防腐剤にもいろんな種類があって、それぞれの防腐剤毎に、効き目や、やっつけられる細菌の種類に違いがあります。

だから、どうやっても腐る時は腐ります。それは別に悲観することでもないし、トリートメントみたいにプラスに溢れた環境を見つけて、そこに飛び込むことができれば、それもいいと思います。

でも、ただ単純に腐りやすいだけの商品は機能性やコスト面でよっぽど優れていない限り、手に取ってもらえないし、最低ラインの品質基準をクリアしないと一般の市場で売ることはできません。

そう思うと、社会のマイナスに耐えられるように、いろんな経験を若いうちから積んでおいて、腐りにくい心や身体を手に入れるっていうのは大切なことだなって思います。


最後思わぬ結論に行き着きましたが、今の理系の仕事を辞めるまでに、この道で学んだことたちはなるべく多く書き記しておきたいと思います。


おやすみなさーーい。

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