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『トッカン 特別国税徴収官』(高殿円 著)

【内容】
東京国税庁の新米徴収官の鈴宮が、様々な税金未納者から税金を徴収するために奮闘する。

※多少ネタバレします。

【感想】
この作者が書いている百貨店の外商員を描いている『上流階級』のシリーズが面白かったので、この本も読んでみたのですが面白かったです
キャラクターがラノベぽく、読みやすいと言えば読みやすく、主人公女性の年齢も25歳の若手が、凄腕のベテラン徴収官と組みという、お仕事ものの物語としては、オーソドックスな設定でした。
『上流階級』に比べるとまだ若書きの感じがあるような気もしないでもないですが…
ただ、よく調べられているし、キャラも立っているので、ドラマの企画としてはおあつらえ向きだなあと思って調べてみたら、既に10年以上前に井上真央主演でドラマ化されていました。
というか元々ライトノベル出身の作家さんとのことで、この小説で課題だったことを、その後に書いた『上流階級』シリーズで、乗り越えようとしたということのようで…
『トッカン』と『上流階級』では設定が真逆になっているのも面白いなあと思い、書き出してみると…
和菓子屋と洋菓子、
結婚ラッシュの20代中盤女性とアラフォー女子、
嫌われ者の公務員と富裕層向け販売員…

得意分野を掘るというよりも、今まで描いていなかったものを描く…
要は魅力的なドラマを、人間そのものを描きたいんだということなのかなあと思いました。

この作者の会話シーンの上手さと、設定の巧みさ、そして調査能力の高さと、それを物語にする能力…
楽しくて一気に読了して、既に続編を読み始めています。
これから、もっと題材やテーマを深化させていくのではないかと思い、そうした作品も読んでみたいなあと思いました。

https://www.hayakawa-online.co.jp/smartphone/detail.html?id=000000002999

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