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この夜は僕のもの

いぬうた市の、きゅん君ですが、
今日はあんまりいい日ではありませんてました。
ぐーちゃんとケンカして、ママに怒られて、
それでオヤツももらえかったり、とかなどがあって、
それでずっと不機嫌で、気分転換にせめて、
夕方の散歩に行きたかったのですが、
急に雨が降ってきて行けなかったりと、
全てが裏目、裏目に出てしまったような、そんな1日でした。
まあ、そんな日もあるさ。
と、分かっているのですが、上手く割り切ることもできず、
悶々とした気分を抱えたまま、夜を迎え、
お休みの時間となりました。
「よーし、ここからは気分を変えて、誰にも邪魔されずに、自由に自分を解放するぞ!」
と、いざ意気込んで、夢の中に入って行く、
きゅん君です。
その言葉通り、きゅん君は、夢の中で、
思いがままに、楽しみました。
気がつくと、きゅん君はお祭り会場にいました。
会場は人とわんこでいっぱいです。
「でも僕は大丈夫。何故なら僕は自由で、何でも出来るから」
と、言った、きゅん君は、その人とわんこ混みの中を、
すいすいとくぐり抜けて、ゴールしました。
ゴールはゴールポストで、自分をシュートした、
きゅん君は、きゅんだけに、9点を獲得したのです。
「まあ、いきなり凄いですわね。早くも9点だなんて!10点取ったら優勝ですわよ」
と、ぐーちゃんによく似た、わんこにそう言われた、
きゅん君は更に張り切って、その後もゴールを連発して、
10点どころか100点を取って、優勝を遥かに超えた、
超優勝となったのです。
祭り会場の人々とわんこは口々に、きゅん君を褒め称えて、
きゅん君は祭り会場のヒーローとなり、
わっしょい、わっしょい、と神輿みたいに担がれて、
女子のわんこからはもてもてで、
賞品のオヤツも食べ放題で、
最高の夢時間を満喫した、きゅん君です。
朝起きて、ぐーちゃんに早速、その話をしました。
「いくら現実にイヤなことがあっても所詮は1日の半分だけだもんね。だから僕はもう半分の夢でいいことがあれば、それでいいのさ。自在に操れる夢の方が僕には本当の世界なんだ」
きゅん君は、話の最後にそう言いました。
すると、ぐーちゃんはちょっと悲しい顔をして、
「ぐーはそうは思わないわ。起きていて、仮にイヤなことがあっても、頭の中は、ぐーの自由だから、そう思わなければいいのよ。だから起きていても、寝ている時も、どちらも、変わりなく、ぐーは自由だわ」
ぐーちゃんは、そう言いました。
それを聞いた、きゅん君は、
ぐーちゃんをうらやましく思いました。
ぐーは、そんな風に感じることが出来るんだ?
僕もいつか、そう思える日が来るのだろうか?
でも、そんな風に思える自分は、
何だか自分じゃないような気がして、
とりあえず今は、このままでいいや。
と、そう考える、きゅん君なのでした。

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