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「わたし、結婚したんだ」と、初めて実感した瞬間。

結婚してから、しばらくがたったころ。

わたしは、両家顔合わせの準備に追われていました。

本来なら、婚約をする前に行うんですよね。顔合わせの場で、両家の父親に婚姻届の証人欄を書いてもらう、っていう儀式も定番なようで。知ってる、ちゃんと知ってるよ。

でもわたしは、結婚後に、顔合わせの準備をしておりました。

出会った頃にはすでに、ロンドンへの赴任が決まっていた夫さん。出会って数ヶ月後には、ロンドンへ旅立ち、離れ離れになってしまうということが決まっておりました。

だからわたしたちには、できないことがたくさんあった。「本来はこうするべき」とか「みんなはこうしているよ」とか、知ってはいても、物理的にできないことがたくさんあったんです。

両家顔合わせも、その一つ。
まあ、リモート顔合わせをする人も増えてきましたしね。時代はフレキシブルになっているということで。結婚をしてから、執り行わせてもらうことになりました。

日取りを決めて。
場所を予約して。

「やり切った! あとは当日を迎えるだけだ!」

と、顔合わせの約3週間ほど前くらいまでは、余裕をぶっこいていたんです。でも、顔合わせって他にもやることあるのね!!!

当日の段取り。
席次。
ドレスコードの指定、などなど。

円滑に会を進めるには、色んなことを考えなければいけなかった。色々調べていて、初めて知りました。急ピッチでそれらの準備を進めていた、その段階で知った、「しおり」の存在。

ご存知ですか?
自分たちや家族のプロフィール、当日の流れなどを書いた、両家顔合わせ用の冊子です。思い出にも、話のきっかけにもなるからと、作る人たちが増えているようですね。

学生の頃の遠足にもさ、あったよね「しおり」! そういえば大学生の頃、友だちと計画した旅行に、しおりを作ったな。これいいなあ。

急遽、作ることに決めたのでした。

わたしたちのプロフィール、そして、家族のプロフィール。さらに名前とは別に、わたしたちから家族を紹介する一言を入れたんですけどもね。

家族に対する一言を考えてる時、なんだか初めてくらいな感じで、「わたし、結婚したんだな」って、感じたんですよね。

結婚して数ヶ月がたっても、正直、実感って湧いていなかったんです。結婚という事実は近くにあるものの、どうも姿が見えない。見えない人から、声をかけられているような。なんだか、ずっとそんな感覚だったんです。

改めて、家族の顔を思い浮かべる。
どんな人だったかな?
思いを巡らせながら、一つ一つ、大事に言葉を選んでいる自分がいた。

そしてその時に初めて、今までとは違うフェーズに足を踏み入れたんだということを、強く感じたんですよね。ああ、この人たちと、苗字が違うんだって。

変わらないものと、変えなければいけないもの。両立させていくことこそ、生きるってことなのだろうか。

もちろんこれからも、家族であることは変わらない。でもわたしは、一つ、変える選択をしたんだ。

変わらないものをそっと心の中にしまって、自らの意思で、変える選択をした。ああ、生きてるわ。ああ、わたし、結婚したんだわ。

家族への一言がなかなか思いつかず、1時間くらい考えてしまった。でもこんなに時間がかかったことも、悪くない。

新たなフェーズでは、さらに家族のことを大切にしていけたらいいな。

ほな、また。



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