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エンジニアの視点から人材開発へ

その頃、ボクは長い間勤めたヤフー株式会社を離れ、新たな道を探していた。新卒で入社した会社で消防システムのSEとしてキャリアをスタートさせた後、ヤフーで約17年間、インターネットの世界に身を投じ、エンジニアとしてもマネージャーとしても多くのことを経験してきた。そこで、人と組織に深く向き合うことの大切さを、日々の業務を通じて強く感じていたんだと思う。

ボクがエンジニアの道を選んだのは、ただ単にインターネットが好きだから、というわけではなかった。それ以上に、テクノロジーを通じて人々の生活を豊かにすること、そしてそれを実現する組織の力を信じていたからだ。しかし、ヤフーを退職した後に経験した複数のベンチャー企業で、ある疑問を抱くようになった。それは、自分たちがいかに素晴らしいテクノロジーを使いこなせたとしても、人と組織の力が十分に発揮されなければ、そのテクノロジー本来の力を活かしたプロダクト作りはできないのではないか、と。

この疑問はずっと頭の片隅にあったのだが、ボクはこの疑問を元に新たな目標を見つけた。それは、人材開発と組織開発を専門的に学ぶことだ。テクノロジーだけでなく、人と組織の力を最大限に引き出す方法を学び、それを実践することが、ボクが次に目指すべき道なんだろうと考えるようになった。

そして、その学びを深めるために最適な場所が、立教大学大学院(LDC)であることを知った。特に中原淳先生の下で学ぶことは、ボクにとって大きな魅力であり、目標になった。中原先生の研究は、ボクが抱える問題意識に深く響き、解決の糸口を見つけることができるのではないか、という確信のようなものを感じた。

そんな訳で、LDCの存在を知ってからは大学院への進学という選択肢が頭をよぎるようになったのだが、最終的にどうして進学することを決断したのか?
それは、ボクがこれまでの経験を活かし、さらに深く、人と組織について学び、理解を深めたいと本気で思ったからだ。そして、あえて大げさに言うなら、更にその学びを通じて、自分たちの生活を豊かにする血の通ったプロダクト作りの手法を見つけ出したいと考えたからだ。

この想いが明確になった日、ボクはこれからの新しい自分のキャリアの道に少しワクワクした。長い間、Webの最前線で戦ってきたけれど、これからは人と組織の力を最大限に引き出すことにチャレンジしよう。それはボクにとって新たなキャリアの始まりになり、新しいロールモデルを体現することになると思うから。

昨年9月の大学院説明会や在学生のブログから、この道が決して平坦ではないことは十分理解している。でも、今、ボクは心からその道を歩みたいと考えている。人と組織に深く向き合い、組織で働く人たちの力を最大限に引き出すこと。それがボクが大学院へ行こうと決心した理由だから。


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