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#3 10年間勤めた広告代理店を辞めて新たな道を踏み出した30代女性アートディレクター

フットワークの軽さと継続力

今年の春から弊社で働いてくれている子と久々に2人でランチに行った。
彼女は某広告代理店で10年間、主に紙モノのデザインを生み出してきたアートディレクターだ。出産後その会社を退職し、現在はフリーランスとして活動しながら弊社の社員としても働いてもらっている。

猫がとても好きらしく、かわいい猫を飼っているのだが、本人もどこか猫っぽい。(褒めてます!)
飄々としていて、スタスタ歩き、気付いたらオフィスにいて、気付いたらいなくなってるようなw そして思い立ったらすぐ行動するフットワークの軽さにいつも驚かされる。


また、グラフィックデザインスキルはもちろんのこと、彼女は「毎日コツコツ何かを続ける」ことが得意という素晴らしい強みがあり、そのデザインとコツコツをうまいこと活用した結果、Instagramのフォロワーが数カ月で2万人を超えたという驚異の実績を持っている。SNS上だけでなく、社内でも彼女のアカウントは評判だ。

ただでさえグラフィックデザイナーを憧れの眼差しで見てしまう僕ですが、毎日コツコツできる人への尊敬の念も重なって、彼女の存在はただただうらやま。

彼女が入社当初に「私が育った地方では、川上さんのようなエリートは漫画の世界でしか見たことなかったw」とお世辞を言ってくれてなかったら、今頃僕のうらやまは妬みに変わり、彼女の引き出しに大量のさきイカでも仕込んで嫌がらせをしてたかもしれない。

あれ、でも今になって冷静に考えると、あの時の発言ってお世辞ではなく軽くバカにされただけなんじゃ、、、


新しい環境での自分の役割

「うちの会社きて半年経ったけど、仕事どう?」
「今までは広告代理店でほとんどポスターだけ作ってきたので、この会社でやることは初めてのことが多いんですが、最近プロジェクトにどんどんハマってきてます」

お、さすがだねー。入社した時から彼女はポジティブでいいなーと思ってたけど、さらに進化してる。

「仕事量や時間はどう?」
「今、一番ワークライフバランスがいいんです。子育てしながら仕事しつつ、自分のスキルを磨く時間もちゃんと取れてるし!」

いいねいいねー、そろそろポジティブレベルがアンミカぐらいになりそうだ。


「でも、1つ聞きたいことがあります」

ネアカで飄々としていて、さりげなく周りを気に掛けながら発言するタイプの彼女が、珍しい質問をしてきた。

「〇〇プロジェクトでの私の役割って、、、なんですか?」

別に深刻な雰囲気で質問されたわけではない。もちろん反発的な態度でもない。が、少し顔がこわばったように見えた。そして、ふと気が付いたことがあった。

あ、そうか。
彼女は10年間もずっと同じ環境(会社)で生活してたのに、辞めた瞬間からわずか1年半ぐらいの間に圧倒的に人生が変わったんだ。


きっと初めてフリーランスで仕事を受けるというのは緊張の瞬間だったろう。その後、とある制作会社にも籍を置いてフリーランスとの両立が始まったらしいが、1年も経たずに辞めている。僕はその両立の最中に彼女に出会い、何回か仕事をお願いするうちに弊社にも籍を置いてもらうことになった。その間に彼女はSNSをスタートし、数カ月でフォロワー2万人を達成する一方、プライベートではお子さんがイヤイヤ期に突入して育児にも奮闘している。

目まぐるしく変わる環境の中で、ちょっとだけ不安になったのかもしれない。
でも、たぶん彼女の中で結論は出てるんだと思う。
ただ、本当にこっちに進んでいいのか、ちょっと他の意見も聞いてみたくなったんじゃないだろうか。


ポジティブなチャレンジに変換する -前方斜め上に飛ばす-

「君の役割は、プロジェクト全体を統括するアートディレクターです」

まだ入社半年ではあるが、社内で一番力を入れているプロジェクトのアートディレクターをお願いすることにした。

「僕から言うのも変かもしれないけど、今、最高な状態だと思うよ」
「え、最高?」

「うん、デザインの守備範囲でいうと、今までのポスターデザインの経験を活かして、サインやパッケージへと拡張していってると思うけど、それをすごく楽しんでるじゃん!
それに、今の時代ってお金の価値が下がっていってるから、お金稼ぐより‟賛同”を集めることに価値があると思うんだけど、インスタで一瞬で賛同を集めたのはすごい才能だと思う」

文字のデザインを毎日Instagramに欠かさずアップし、文字の塾にも通い、文字に関する古文書みたいのも読み漁ってる彼女。

「何より、文字という専門領域にしっかり時間をかけてることが何よりの財産だよ。その上、ワークライフバランスもいいんだから、間違いなく最高でしょ!」


彼女は、野望がないという。別になくたっていいと思う。彼女のように今を楽しみ続ける能力の方がよっぽど今後の社会を生きる上で重要じゃないだろうか。
彼女の社会人人生の第2章は始まったばかりだ。(あ、勝手に第2章とか言ってしまったw)

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