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不自由が生み出す自由なイノベーション

不自由が生み出すもの

自由とは、自由であるべく、不自由になることである。
(ジャン=ポール・シャルル・エマール・サルトル)

(2004年5月1日に公開したものです。一部大幅に加筆。現在との相違はかなりありますが、主張は変わりません。 tetsuya@apache.orgなるメールアドレスを持っていました。アパッチ財団参照 @ http://apache.org

Apache.Org のサーバ(Minotaurという名前 = Beefy! ^^;)には SpamAssassin が入っていませんでした。・・・いや、この表現は厳密には間違い。各ユーザは SpamAssassin を使う事が出来るのだけど、デフォルトでサーバ管理者が各ユーザに対して使用を「強制」していない。スパムフィルタなどは、「おのおのの責任の範囲で」(これを自己責任というらしい)入れなさい、という事なのだろうと思うのですが。

(注: Apache SpamAssassin - http://spamassassin.apache.org/ 電子メールのスパムメールを除去する為のスクリプトツール)

実は、Apache のインフラに対して色々と疑問点(特にメールサーバ系)があって、インフラチームに色々と「クレーム」をつけた事があります。例えば、WebServices のメーリングリストの一部にウィルスメールが入ったりSPAMだらけのリストがあったり … (特に WS-IF あたりが酷かったかも … axisやgeneral@wsも結構 SPAM があったけど/2003年7,8,9月あたりは … 過去ログ見れば一目瞭然) … この原因が「懈怠による」ものだとしても、どこに根源的な「懈怠」(例えば、リストユーザがインフラチームに「要求」しないのが悪いのか、インフラチームが Paternalistic にスパムフィルタを導入しなかったのが悪いのか)のサブジェクトがあるのかがわからなかったわけです。というわけなので、最初、「インフラチームの懈怠」という仮説を立て、色んな提案を立ててみたのでした(その当時、ややというか相当ヒステリックになっていたような…<苦笑>)。SpamAssassinの導入を提案したのもその時期。(注:現在は、 http://spamassassin.apache.org/ になり、トップレベルプロジェクトとなっています。皆さん恩恵を受けているはずです。世界的に相当有名ですから)

半年(注:10年前です ^^;)以上経った今になって、その当時の事を思い出すに至り、こんな結論に達しています。「わざと不自由を作っているのだ」と。・・・そして、これを更に拡張すれば、「それこそが自由だ」と。

日本に於ける「教育」にしてもなんにしてもそうですが、「ノイズ」は兎も角100%に近い形で除去(フィルタ)し、インテグリティを確保しようとする傾向があります。泥んこ遊びなどもってのほか、といった風潮ですね。自由は、「管理下におかれた」箱庭にしかない、とこういうわけです。しかし、勿論、過度な「きれいずき」は人間の体が元々(体内で小さな進化を起こすメカニズムなわけですが)持っている「免疫力」を下げてしまっており、「適度にきれいずき」な人に比して極度にばい菌/ウィルスが体内で活動しやすくなってしまっています。

同様に、もしサーバサイドでスパムフィルタを導入していたならば、オープンソース理念の「根源」である<気づき>を得るチャンスが少なくなりますし、別のフィルタを作成するモチベーションの種すなわちイノベーションの<種>を知覚する確率は極端に少なくなると言えるでしょう。そして、「進化」は永遠にやってきません。

実はオープンソースコミュニティがこんな崇高な「フィロソフィ」に支えられていたんだな、と、いまさらながらに感動していたりします。まあ、勿論、「個々人が ~/userid 内で SpamAssassin を使える」といった事(ファクト)などを「周知」させるテクニック(やや、マーケティングな発想の人間が有する技法)はもう少し使ってみてもいいんじゃあないかな、という気もしますけど … まあ、技術者は往々にしてマーケッタを嫌う(笑)

この主張を拡張するのであれば、日本で「イノベーション」が生まれるためにはもっともっと「不自由」空間を作るべき、と言う事になるのでしょうかね … まあ、それが妥当である気がします。根源的に「不自由空間」として競争/進化させるべきところに対し、政府が介入して邪魔しているのでしょう。元来不自由であるところをそのままにし(競争を促し)、箱庭的につくる自由空間は排除(そんなPaternalismは許すマジ)を基本とすべきなんでしょう、もし日本のイノベーションを真剣に考えるのであれば。

(初稿:2004年5月)

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(追稿)

日本のイノベータにしても米国にしてもそうですが、綺麗な場所に安住して、その上でビジネス考えてようとしていますよね、最近は特にそう。東南アジアに来てから相当色々なビジネスアイディア生まれましたが、やはり、不自由な場所の方が自由な発想が出来るのだと思いました。現状で満足できる空間で、新しいものを生み出そうとする力学は働きません。アフリカのへき地に派遣された役員とどうコミュニケーションとるか、と言う一つの「不自由」からだけでも、「電子役員会議」ツール一つや二つを自前で作る(そろえる)モチベーション生まれますしね。タイのバンコクの屋台にだって、ビジネスのヒントはある。東京に暮らしていながら出てくる「イノベーティブアイディア<じみたもの>」などと言うのは、所詮、「妄想」以下でしかないのだ、と言うのが結論です。m(__)m

会社を興す人には、4タイプあるのだと思います。

1.勇志の(有志の)起業家

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