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マネジメント・アプローチを実践!今すぐできるセグメント情報の作り方

こんにちは!「マネーフォワード クラウド連結会計(以降“クラウド連結会計”)」のプロダクトマネージャーをしている、HORI です。

こだわり仕様シリーズ第12回

クラウド連結会計のこだわりシリーズ第12回目では、マネジメント・アプローチに基づいたセグメント情報の作り方について解説していきます。なお、ここから先の話はすべて「事業セグメント」にフォーカスします。厳密には地域セグメントの話もあるのですが、この記事では論点から除外します。

セグメント会計の必要性

企業が複数の事業を営んでいる場合、例えば、小売業と製造業を営んでいて、それぞれの事業が独立的に収益を獲得しているような状況において、「財務諸表」が一つだけになってしまうと、投資家等の利害関係者にとってはその企業の実体を判断することが難しくなってしまいます。
そのため、企業が複数の事業を営んでいる場合は、有価証券報告書等の財務報告にいて、各事業ごとの経営成績がわかるように開示を行うことが求められています。

セグメント関連の会計基準

セグメント情報の開示ルール

日本の会計系基準として、セグメント情報については
セグメント情報等の開示に関する会計基準
セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針
に基づく開示が求められています。
こちらの会計基準の特徴としては「マネジメント・アプローチ」が採用されている点という話を聞いたことがある方は多いかと思いますが、そもそも「マネジメント・アプローチ」って何?という方が多いと思いますので、マネジメント・アプローチが採用される前の歴史的背景等も踏まえて補足しておきます。

マネジメント・アプローチにも背景があります

マネジメント・アプローチの歴史

日本におけるセグメント会計の導入は、1990年の連結財務諸表の注記情報として開示が制度化されたことに始まりますが、導入当初のセグメント分類は「インダストリー・アプローチ」と呼ばれる方法で、公的な統計情報等の分類に定義されるような産業分類に基づいた分類でのセグメント情報を作成していました(インダストリー・アプローチ⇔マネジメント・アプローチの論争は当時、グローバルの会計基準でも議論になっていました)。

ただ、インダストリー・アプローチでのセグメント開示がなかなか進まなかったことと、グローバルでの会計基準がマネジメント・アプローチに収斂してきたこと、情報の作成コストとしては普段から利用しているマネジメント情報のほうが現実的かつ有用である、との判断から、経営者が経営判断するために利用している分類に基づいてセグメント情報を作成・開示する「マネジメント・アプローチ」に落ち着いているという背景があります。

セグメント情報の作成ステップ

マネジメント・アプローチとしてのセグメント情報の作成ステップは概ね以下の3ステップと規定されています。

ステップ1:事業セグメントを識別する
企業の意思決定者が定期的な業績評価に利用する単位で、分離された財務諸表が入手可能な単位を識別します。

ステップ2:事業セグメントを集約する
複数の事業セグメントをすべて開示するのではなく、類似する事業セグメントを集約できます。

ステップ3:報告セグメントを決定する
全部の事業セグメントを開示する必要はなく、一定の量的重要性のあるセグメントが開示対象となります。

細かい規定はもっと色々ありますが、まずはこのあたりを基本として認識していただいた上で、クラウド連結会計でどのような工夫をしているかを説明していきます。

クラウド連結会計でのこだわり

セグメント情報のインプットデータ

セグメント会計で要請されているのは「企業の意思決定者が定期的な業績評価に利用する単位」のデータになります。要は「今の経営判断に使っている情報」です。ですから「取引や仕訳に新たにセグメントのタグ等を付与する」という考え方は根本からマネジメントアプローチに反しています。
新たに取引や仕訳ごとにセグメントのタグ等を付与するということは「今までに使っていないかった軸でデータを分類するようにする」=「経営判断に用いてないデータでセグメント情報を作る」 ということになりますので、明らかに会計基準が求めているセグメント情報の作り方とは異なってしまうのです。
そして、セグメント情報の作り方としては、上記に説明した通り、「グルーピング」や「開示対象の判定」をしなければいけませんので、最終的に開示するセグメントは何になるのか?は実は流動的であり、取引や仕訳の時点では決まってないことが多々あります。場合によっては過去にさかのぼってセグメントを変更することも考えられます。

そのため、マネジメントアプローチでセグメント情報を作るための基本は「業績評価に利用している単位」を明らかにして、「その単位の財務情報を取得する」ことになります。

そして、一般的に、企業の経営者が業績評価に定期的に利用している情報は大多数のケースで「組織単位」の業績情報と思われます。稀に「製品大分類」や「ブランド」、「拠点」ごとの情報を使う可能性もあるとは思います。
ですが、重要なのは「各単位での業績が把握できる」という点であり、大体以下のようなマトリックス形式の判断資料を使っていることが多いと思います。

縦軸に科目・利益、横軸に業績評価軸が並ぶマトリックス表

セグメント残高のインポート設定

クラウド連結会計は、こうした「現時点でマネジメントが経営判断に用いているデータ」をセグメント情報の基礎データとしてインプットできるインポート設定を備えています。
部門別の損益情報に限らず、製品分類、ブランド、拠点などが軸になっていたとしても 縦に勘定科目、横に経営判断の評価軸が並ぶデータであれば、どんなデータでも取り込めるようにしてあります。
Excelで管理しているシートが複数になっていたとしても、集計行が間に入っていても、ラベルの位置が多少段ずれしていても、問題なく取り込めるような工夫をしてマネジメントが業績判断に用いているデータを二次加工なく取り込めるようにしました。
(詳細が気になる方は、デモ等でお見せしますので、記事下のお問合せページからデモ予約をお願いいたします)

なので、「マネジメント・アプローチを実践」⇒「現在、経営判断に使っているデータをもとにセグメント情報が作成できる」⇒「今すぐできる」ということになります。

セグメントの集約

次に、類似するセグメントの集約ですが、セグメント情報の基礎データを「実際に経営判断に使っている分類軸」を利用していくことになると「名称の変化」や「分類の変更」に柔軟に対応していく必要があります(組織は生き物です)。
また、1社で複数のセグメントを持っている場合は、事業単位をセグメント単位に集約できる機能が必要ですが、1社が1事業の場合、会社そのものをセグメントに紐づければOKだったりもします。
クラウド連結会計ではこれらのニーズを踏まえて、「セグメント構成」という画面を準備しています。

セグメント構成画面。業績管理の軸とセグメントを紐づけます

セグメント損益(グループ各社)

グループ各社でセグメント集約時の各セグメントの業績を直感的に把握したい、というニーズに対応して、セグメント損益の画面は「段階損益」をセグメント単位に表示する仕様となっています。段階損益を把握した後に科目単位での確認をしたい場合、開閉したい分類を選んで簡単に開閉動作ができるようになっています。
また、各社の財務諸表として取り込まれている損益計算書との差額が発生してしまっていないか?が、経理担当者が確認したい内容なので、損益計算書金額と、セグメント損益の集計額との差額が瞬時に把握できるように工夫しています(差額にチェックを入れると、差額が発生している科目だけに絞ることもできます)。

差額ボタンにチェックをチェックを入れると差額が出ている行だけを抽出できます

セグメント精算表

グループ会社を横断してセグメントの損益を俯瞰する画面では、
①まずは各セグメントの段階損益を把握
②科目単位のブレイクダウン、セグメントを構成する会社をブレイクダウン
➂科目は連結パッケージと連結仕訳にブレイクダウンも可能
④連結精算表との差額があれば絞り込んで原因を把握することが可能
という直感的な操作でセグメントの業績を構成する要素を網羅的に把握することができるように工夫されています。

直感的に操作できるセグメント精算表画面

このセグメント精算表を元にマネジメント判断をしつつ、セグメントアプローチに基づく開示資料をシームレスに作成していくというプロセスを最小の作業工数で実現することにより、本来必要な「分析」に時間を使うことができるようになります。

最後に

いかがでしたでしょうか?
この記事ではセグメント情報の作成機能について解説しましたが、「マネーフォワード クラウド連結会計」にはまだまだ魅力的な機能がたくさんあります。
お客様の課題に合わせた豊富な導入支援プラン等もございますので、気になった方は下記のリンクよりお問合せをお願いいたします。


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