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学校の先生になってみて

42条施設の開設に向けて突き進んでいる桜井です。
現在、ようやく新施設の図面が完成しそうなところまできており、ゼネコンを選定するところまで進んでいます。

僕自身の現在の活動は、

  • 再来年の42条施設のオープンに向けて導入する予定の機器の選定

  • これまで理学療法士として一切関わってこなかった水中運動の勉強(他施設に研修に行かせてもらっています)

  • 母体である病院との連携を図るための心臓リハビリテーション指導士という資格取得のための勉強(学会に入会しただけで学会指定のテキストすらまだ買ってません笑)

  • noteなどを通じて、フィットネスクラブの経営のことやブランディングの形成についての勉強

  • 同じく、主にnoteを通じて理学療法士や健康運動士、トレーナーなどが普段どのような事を考えているかなどを教えてもらい刺激を得る

などを行っています。

なので、現在は自分のベースである理学療法士としての臨床での活動は今のところ一切行っていません…。
少々寂しい気もしますが、そんな気持ちを解消させてくれているのが週1回の理学療法士の養成校での非常勤講師のお仕事です。

非常勤講師を務めて今年で4年目になりますが、今回はそちらに関してまとめてみようと思います。


学校の先生になったきっかけ

そもそも、自分が理学療法士になったきっかけですが、小学3年生から野球を始め、高校でも野球を行っていたことから、引退後も野球に関わることを行っていきたいと考えており、卒業後は大学の体育学部に入学し、野球を続け、将来は学校の先生になって野球の指導者になれればという気持ちでいました。

ところが、大学受験を見事に失敗し、現役での大学進学は不可能になり浪人生活を送ることになりました…。

浪人生活を送るということは1年間野球を行わない期間ができてしまう、
ということは選手として致命的であり、浪人生活を経ての体育学部入学は無理だと当時感じました。

と同時に、受験勉強の間で読んでいた1冊の本があり、
元読売ジャイアンツの桑田真澄投手が、東京ドームでの阪神戦でバント処理をする際にダイビングキャッチを試みた際に右ひじを痛め、アメリカで右肘内側側副靭帯再建術を受け、術後リハビリを経て復活した時に「理学療法士」というリハビリの専門家が関わっていたのを本を通じて知りました。
(中古品で20年以上前の本とはいえ、1円にビックリ!)


自分が学生だった頃は理学療法士という職種が今以上に認知されていなかったり、地元が田舎ということもあってかリハビリテーションという言葉もそこまで浸透されていなかったんじゃないかと思います。

自分自身も野球を続けている中で投球障害や腰椎分離症、第5中足骨疲労骨折、膝内側側副靭帯損傷、オスグッド・シュラッター病など、スポーツ整形外科で一度は目にする疾患を一通り経験しているくらい数多くの外傷・障害を経験してきました。
ですが、無理したほうが上手くなる!とか、病院に行ったら負けだ、痛い部位の見た目が変わってなければ大したケガでない!と思っていたこともあり(笑)、リハビリらしいリハビリは一切行ったことがありませんでした。

そんな自分ですが、理系ということもあってか、

なんでこういうケガをしてしまうんだろう?
どういう投球フォームだと良いパフォーマンスを得られるんだろう?

というところに興味を持っていたこともあり、あっさりと選手や指導者としての道は諦めて、
理学療法士になって野球選手に関わろう!
と決意し、1年間の浪人生活を経て都内の大学に無事入学することができました。

それから、整形外科クリニックに入職後、入院~外来リハビリテーションを中心に、デイケアや訪問リハビリ、ショートステイといった介護部門でのリハビリも経験し、野球選手や保護者・指導者を対象とした障害予防教室を行ってきました。

そのクリニックの同期で、専門学校の教員を務めていた子から、専門学校の学科長に就任したタイミングで
「これまでの経験や知識を学生の教育に活かしてほしい」
とありがたいオファーをいただき、非常勤講師という貴重な経験をさせていただくことになりました。

彼が言うには、

・学校の教員が「今後の実習や就職してからの臨床の場面で必要だから
 ここが大事だ!」と伝えても、実際に臨床に出ている立場の人間が
 言わないと説得がなかったり、学生も関心を持ってくれない

・臨床を15年以上経験している人間の言葉のほうがよっぽど説得力が
 あったり学生も興味を持ってくれたり、実際の臨床場面でのポイントを
 的確に教えてくれるはず

という理由で自分に声をかけてくれました。

以前は野球の指導者になったりすることも考えていたし、理学療法士の実習生の受け入れを積極的に行っており、実習指導者(当時の呼び名でスーパーバイザー)も見学実習などの短期間の実習を含めるとかなりの人数を担当し、学生さんに対する指導に関しても興味はあったので、家族に相談して了承を得てやらせていただくことになりました。

学校の先生になってみての苦労

自分が非常勤講師を始めたのが2020年度からです。
国内では2020年1月15日に最初の感染者が確認され、5月12日までに, 46都道府県において合計15,854人の感染者、668人の死亡者が確認されました。
そのような状況下で、学校側もどのように授業を展開していくか非常に悩んでいるようでした。

記憶があいまいなところもありますが、授業形態に関して通常通りのスタイルで対面で実施するのか、それともオンラインで授業を行っていくのか判断に困っていたと思います。

僕の念願の先生デビューは、
あらかじめパワーポイントでスライドを作成し、講義の原稿をスライドショーで資料を進めながら録音した動画を作成し、そちらをYouTubeで配信する
というスタイルでした。

その後、zoomでのオンライン授業がスタートしましたが、目の前に学生さんがいないという点において、必要以上に緊張せずに済んだとは思いますが、果たして自分の言いたいことが伝わっているのか非常に困惑しながら授業を行っていたのを覚えています。

そもそも、オンラインという未知の領域に踏み込んだばかりでzoomも使ったことがなく、授業スライドが共有できているかどうかも不安だったり、その時に所持していたPCが古く、画面や音声が荒くなっていないかも不安要素でした。

そんな中で講義を進めつつ、なるべく専門用語にとらわれずにかみ砕いた表現で伝えたりすることを意識して授業を進めました。
PCの画面を見ながら画面越しに頷いてくれている子の様子を見たりしながら進めていたのが懐かしく思えます。

初年度は
「疾患別理学療法」という、整形外科疾患についての知識の習得や、理学療法士としてどう関わっていくか、例えばどのような評価項目を選択し、どのような治療プログラムを立案していくかという内容と、
「スポーツリハビリテーション論」という、スポーツ疾患に対してのリハビリテーションの進め方
についての授業を担当しました。

オンライン授業だったため当然実技練習は行えず、とにかく講義のみで1コマ90分行わなければいけないため、事前の資料作成が非常に大変でした…
1コマあたりスライド100枚以上の準備を行い、1つの科目につき授業の回数15回だったため、この期間だけで3000枚以上のスライドを作成していました(笑)。

今思えば100枚以上のスライドの授業を受けたところであまり頭には入っていないだろうなと思いますが、熱い気持ちは伝わったかなというのと、理学療法士として患者さんを担当するときに資料を見返してもらって少しでも臨床のサポートになってくれればと願っています(笑)

昼休み中に少しでもスライドの作成を進め、仕事が終わってからも子供を寝かしつけ、多少の家事をこなしてからスライドを作成していました。

上の子供もまだ小さく、夜泣きしたのを寝かしつけながら作成し、毎日寝るのが3時過ぎていたのを覚えています。
ダイニングテーブルでスライド作成中に寝落ちしてしまい、椅子から落っこちたこともたまにありました(笑)

2年目からは感染予防に留意しつつ対面での授業を行いました。
対面での授業が始まれば初年度に実施できなかった実技の練習も授業に取り入れることができました。

他の科目でも教わっている内容に加え、あえて臨床ではこのようにアレンジしている、こういったところを特に臨床においては意識しているということを伝えるようにしていました。

当然実技を行っているほうが学生さんにも興味を抱いてもらえるし、こちらも楽しくなってきて、話が思いっきり飛躍していました。(今も)

ほとんどの理学療法士と同様に、僕が学生の頃に実習に出て気づいたことは、1年生で学んでいた運動学や解剖学といった理学療法士からしたら基本的な知識の重要性です。

リハビリの場面が全く想像できないタイミングで学んでいるときはこういった内容が実際にリハビリにどう活かされるのか全く分かりませんでした。

しかし、
 例えば膝の内側に痛みがある患者さんがいたとして、
 痛みが生じている組織が何なのか、組織にどのようなストレスが生じて
 痛みが生じているか、
 組織にストレスが加わる原因は何か?

など、学校の机の上ではなかなか考えることができないことを実習を通して考えることによって、ようやく1年生で学んでいた基本的な知識の重要性を知りました。
そして、そういった知識を少しでも高めておいて実習に臨んでもらったほうがより実習を有意義なものにできるはずです。

そういったところを学生さんに重荷にならない程度に少しでも伝えて、勉強に対するモチベーションを高めてあげることが、自分に託されている役割なのかなと考えています。

3年目からは「予防とリハビリテーション」という、介護予防やロコモティブシンドローム、生活習慣病、そして退行性変性疾患に関する知識の習得と、自分たち理学療法士にとって何ができるかを伝えるようにしています。

また、後期の授業では「運動療法学実習」として、冬から評価・臨床実習に臨むにあたって、より臨床よりの内容を伝えるようにしてきました。


学校の先生になってみてよかったこと

自分がお世話になっている学校の方針として、最新技術を活用した学びの提供を心掛けており、ICT教育やVR実習にも力を入れています。

例えばVRを使った臨床見学実習や動作分析、メタバースを活用した授業として、その日に授業で学んだ内容(解剖学、運動学、生理学など)に関するクイズをメタバース空間で行っているそうです!

また昨年度から、学校側がMicrosoft Teamsでの授業運営を取り入れたことで、Formsでのテスト作成など、新たな取り組みも必然的に行えるようになりました。

普段クリニックでの仕事だけだとなかなかTeamsを使用することもないと思いますし、ましてやFormsでのテスト作成なんてもってのほかです。

このように、外に出ることでしか経験できないことを数多く経験させてもらえていることは本当に自分の成長に繋がっており、感謝しきれないです。

また、先ほど述べたスライド作成に関しても、授業資料として自分の知識や経験をアウトプットすることで自分の足りないところが露呈され、授業の準備のために勉強することもたくさんあります。
それを学生に対してアウトプットすることによって自分のものになっているのが実感できます。

学校の授業は本来学生さんのためにあるわけですが、実は教えている先生(自分)のためにもあるのかな
と思えているほどです。
こういった理学療法士としてアップデートしているのが現場を離れていても寂しい気持ちを感じさせなくしてくれているのだと思います。

今年度の授業もまだ始まったばかり。
学生さんにとって明るい未来につながるように、少しでも力になれるように関わらせていただきたいです。






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