AI EHARA | 運動を科学するヒト

School of Movement®️ で様々な運動関連職種の指導者に対して身体運動の…

AI EHARA | 運動を科学するヒト

School of Movement®️ で様々な運動関連職種の指導者に対して身体運動の科学を教えています。 理学療法士、公認心理師、修士(東京大学大学院総合文化研究科身体運動科学、学位<学術(バイオメカニクス)>))。https://text.themedia.jp/

マガジン

  • からだ思考

    からだについてかんがえる、あたまのなかを書いています

  • 生まれた子どもと家族を作る

    家族って自然にできるものなのか?と常々疑問に思っています。少なくともそこには、構成員の様々な事情や性格やそれを取り巻く社会の様子というものがあるわけで、そこが多種多様な以上、家族は「作る」ものなのではないかと。その過程の葛藤を文章にしたくて。

最近の記事

親が子どもにできること

今朝、Facebookで下の言葉を引用している方がいらした。 子育ては子どもが育つがままに、という言葉は、半分無責任な部分がある。子どもがどう育とうとも、それは子ども自身の課題であるのだ、と信じたい大人たちの犠牲になるのはいつも子どもだ。 人間は、社会生活で育つ生き物だから、他者との関わり無くしては育たない。家族は子どもにとっての一番身近な社会だ。そこから思春期にかけて、少しずつ外の社会への道を自ら切り開こうとしていく。身近な先達たちをできるだけ真似て、社会に順応しようと

    • 複合MADのある世界線 20230314

      一番歳の若い友人は大学生。彼女はわたしにとっては年齢半分以下の文化の窓口であり、工学を学ぶ彼女がデジタルを操る指先は、人生折り返した人間には光速にも感じられる。 先日彼女のところに子どもを預けた帰り、迎えに行くとその弟たちも一緒に皆が【複合MAD】なるものを楽しんでいた。 フクゴーマッド? 完全なる未知のワードに、子どもの頃母親が「フクジンヒシツ」と手書きのラベルを貼った薬を大仰に扱っていた様子がふと頭をよぎった。耳慣れない言葉を聞くと脳内にカタカナが浮かぶのは、イメージ型

      • 柑橘に弾丸を埋め込む 20230309

        スーパーに柑橘類がたくさん出回るようになった。八朔、伊予柑、清見オレンジ。軒先の棚を埋め尽くすだいだい色のバリエーションに【橙がなぜ色の代名詞になったのか】を考えながら、赤いネットに入った大きな3つの玉を籠に入れる。 買い物に、子どもは一緒に来ない。特に興味がないらしい。犬と一緒に留守番してくれるようになって、どうでもいいことを考えながら商品をだらだら選ぶ余裕ができた。だから、あ、そういえば柑橘を剥いて出してあげると喜ぶんだよな、ということを買い物の最中に思い出すことができ

        • 身体係数と、健常と、障害と、社会と。

          今週、大学のバイオメカニクスの講義で重心推定のための身体係数についての話をした。重心の推定には、例えば前額面で考えるときには、各セグメントの長さと、体重に対する重さの比と、既に過去の研究で明らかにされているセグメントの重心位置の推定結果が必要になってくる。 全身の重心を推定するためにセグメントの重心が推定されている既存の結果が必要になる、という矛盾はあるが、今のところ教室で基本的なバイオメカニクスの授業をやる上では致し方ない。 身体係数というのは、身体を測定することで得ら

        親が子どもにできること

        マガジン

        • からだ思考
          17本
        • 生まれた子どもと家族を作る
          24本

        記事

          ローテーターカフの安定性について改めて教科書から根拠を遡る

          いま、Facebookのグループを作って勉強会を開催しています。 「筋骨格系のキネシオロジー」と「運動生理学20講」という、運動学+バイオメカニクスと運動生理学の、大御所教科書を使用して。 身体の仕事をしている人たちは、この2冊は必読です。教科書以上、各論の専門書未満の知識を得ることができます。 (勉強会ではこの2冊を、元レスリング日本チャンピオンの中村さんと一緒に読み解いていく形をとっていて、そこに20数名の方が参加して議論が進みます。聞くだけもあり、発言もあり。月3回

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          ローテーターカフの安定性について改めて教科書から根拠を…

          運動の機能軸について考える

          先日「あしか会議」という、フォームソティックスというインソールを日本に導入した会社の集まり?(→これではよくわからないのでこちらをどうぞ)での会話の中で、足部の機能軸は第2指を通るよね、背側骨間筋の配置イメージするとわかるよねって話をしていて、ふと、人間は、進化の最中で「4本足から2本の手を獲得した」のか「4本の手から2本の足を獲得した」のか?という兼ねてからの疑問にぶつかった。 もうずいぶん前に読んだ『想像するちから(松沢哲郎著)』にもその話が書いてあって、その時も、そう

          運動の機能軸について考える

          重さと質量の違いって?

          重さと質量は違う。と言われると、どこかで聞いたことがあるような・・?となる人も多そうです。 質量の単位の国際標準は「kg」ですが(詳しくは国際単位系についてのwikipediaをどうぞー)、これは厳密には「重さ」ではないんです。

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          重さと質量の違いって?

          バイオメカニクスの基礎講座、1月開催です

          SOM IESで第10期まで行ってきた「バイオメカニクスの基礎」を、画像や課題の刷新を行って作り替えたver.2がスタートします。 このver.2.0がカバーする内容は以下の通りです。(既にバイオメカニクスの基礎をご受講いただいた皆さまには復習になる部分が多いと思います。) 第1回 静止の力学 第2回 スクワット・ジャンプの力学 第3回 歩行と走行・平面移動の力学 ver.1と同様、運動を力学的に考えるための基礎講座で、MOFやRTFとの関連性も深いものになります。

          バイオメカニクスの基礎講座、1月開催です

          バイオメカニクスは反力や関節トルクだけの学問ではない

          バイオメカニクスを教えます、と言うと、スポーツバイオメカニクスを思い浮かべる人が多いし、それはもちろんバイオメカニクスの分野のひとつなのだけれど、実は、生体力学、という言葉の英語版であるので、例えば血流の話や腹圧の話なんかも(つまり内臓に関わる何かも)「力」を扱っている以上「力学」の話で「身体の中の力」の話だから「バイオメカニクス」なんですよーというと驚かれたりします。 わたしは最近、お母さんや子どもの運動や姿勢についても少しお仕事で関わることが多いのですが、赤ちゃんの運動

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          バイオメカニクスは反力や関節トルクだけの学問ではない

          一歩目の出し方の違いと床反力

          先日、Campfire Sessions 第5弾に登壇させていただきました。 https://academy.azcare.jp/news/campfire-sessions05/ ここで話題に上がったのが、野球の走塁の際の「一歩目」です。横方向に進むときには身体を進行方向に向ける必要があるのですが、走塁なので同時に速度を得ることも必要です。 横方向に進むにはそちらの方向へ向かう床反力を受ける必要がありますが、走塁の際の最初の一歩で「進行方向に向くこと」と「速度を得ること

          一歩目の出し方の違いと床反力

          面や軸で運動を考える癖をつける

          矢状面、前額面、水平面、という言葉は一度は聞いたことがあると思います。下の図のように、体を中心として3次元を決定するための言葉です。 この図の中で「基本」(水平)面、などと表記されている「基本」というのは「重心を通る(水平)面」である、という意味です。人体を物体に見立てて、重心を通る面で二つに割る、つまり、基本矢状面で人体を二つに割ると「左右真っ二つ」ということになります。 そう考えると、〜面、とただ言ったときにはど真ん中を通っていなくてもそういう表現をする、ということに

          面や軸で運動を考える癖をつける

          グラフ、好きですか

          先日勤務先の大学の期末レポートを受け取って、採点をしました。毎年、持ち込み可の記述式の試験をしているのですが、内容から言ってじっくり時間をかけて考えてもらったほうがいいので、いつもの試験を時間制限なし(もちろん提出期限はあるけれども)でやってもらった形になります。 その中の一問は、毎回、授業で出したグラフを書き写して説明してもらう課題を出しています。 1設問を読んでどのグラフの話をしているのかわかる 2そのグラフを見て、必要な情報を書き写せる 3グラフのどこに注目したらいい

          方法を知ると数字が見える

          有効数字という言葉があります。ある物事を数字で表すときに、その数字をどの桁まで示したら適切か、それは時と場合によります。 twitterでこんな投稿を見ました。 https://twitter.com/kadamasaru/status/1295847671513538560?s=20 「この遺跡は今から2005年前に…」(←ツアーガイド)というネタを思い出した。「ずいぶん正確に分かるんですね」「私が5年前に入社したときに『2000年前』と…」 この投稿の「面白さ」は何

          方法を知ると数字が見える

          <翻訳>Mayo Clinic HPで紹介されている、4ヶ月から6ヶ月の赤ちゃんの特徴

          日本の医療機関で紹介されている乳児の発達の様子と比較して、とても詳細かつ一般人にもわかりやすくまとまっているMayo ClinicのHPの記事を紹介します。DeepLという翻訳のサイトを使用し、日本語としてより読みやすいように改変してあります。見出しはHPにあるものとは別に、noteで見やすいように個人で追加しました。(Mayo Clinicについての説明は文末を参照ください。) 0ヶ月から3ヶ月という期間はどのような期間か生後4ヶ月から6ヶ月頃になると、赤ちゃんは自分の周

          <翻訳>Mayo Clinic HPで紹介されている、4ヶ月から6ヶ月の赤ちゃんの特徴

          <翻訳>Mayo Clinic HPで紹介されている、0ヶ月から3ヶ月の赤ちゃんの特徴

          日本の医療機関で紹介されている乳児の発達の様子と比較して、とても詳細かつ一般人にもわかりやすくまとまっているMayo ClinicのHPの記事を紹介します。DeepLという翻訳のサイトを使用し、日本語としてより読みやすいように改変してあります。見出しはHPにあるものとは別に、noteで見やすいように個人で追加しました。(Mayo Clinicについての説明は文末を参照ください。) 0ヶ月から3ヶ月という期間はどのような期間か赤ちゃんの最初の3ヶ月間には、多くのことが起こりま

          <翻訳>Mayo Clinic HPで紹介されている、0ヶ月から3ヶ月の赤ちゃんの特徴

          「子ども」と「道具」と「運動発達」

          「この道具は使っていい道具ですかダメな道具ですか」という質問をよくもらう。例えば「食事のときにピンセット型の練習箸を使ってもいいですか」などの具体的なものから、「抱っこ紐ってどうですか」などの漠然とした疑問まで、「子ども」と「道具」をめぐる問いかけは尽きない。そういう質問を受けたときに考えていることが、意外と運動能力の本質と繋がっているような気がしたので文章にまとめてみたいと思う。 万人にとってパーフェクトな道具などないまず大前提として、100人の人間が一つの道具を使って、

          「子ども」と「道具」と「運動発達」