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2-8 弱いつながりの力

しかし、組織の中で何か悩んでいることがあったとしても、どう変えたらうまくいくのか、何から変えていくのがいいのかわからないこともあるだろう。筆者は何か問題を解決するときについて以下のように事実を述べている。

“リフキンの座右の銘の一つは、「私は弱いつながりの強さを信じる」だ。これは、スタンフォード大学の社会学者マーク・グラノヴェッターによる名高い研究「弱い紐帯の強さ」に敬意を表した言葉である。
「強いつながり」とは、親友や同僚といった、周囲の心から信頼する人たちのことをいう。一方「弱いつながり」とは、ちょっとした知り合いのことを指す。
強いつながりがもっとも役に立つという一般的な思い込みをテストするため、グラノヴェッターは、転職したばかりの専門職、管理職の人びとを調査した。その結果、ほぼ十七パーセントが強いつながりから仕事の情報を得ていて、友人や信頼できる同僚が多くの問題解決のきっかけを与えていた。
ところが驚いたことに、多くの人は弱いつながりのほうからずっと多く利益を得ていたのである。ほぼ二十七パーセントが、弱いつながりから情報を得ていた。強いつながりは「絆」を生み出すが、弱いつながりは「橋渡し」として役に立つ。新しい情報により効率的にアクセスさせてくれるからだ。強いつながりは同じネットワークのなかだけで交流するので、同じ機会を共有することが多くなる。それに対し、弱いつながりは、異なるネットワークのほうに、より開かれているので、新しいきっかけを発見しやすくなるのである。
だか、ちょっとした難点もある。それは、弱いつながりに助けを求めるのは難しいということだ。新しいきっかけをつかむ最短ルートではあるが、必ずしも気楽に連絡ができるわけではない。信頼感も薄いため、心理的なバリアがある。”p.093

これはかなり衝撃的な事実だった。強いつながりの絆のある仲間よりもちょっとした知り合いのほうが多くの問題解決のきっかけになるなんて思いもしなかった。しかし振り返ってみると、今年度サッカー部の主将を務め多くの問題にぶつかった際、効果的なアドバイスを私に与えてくれたのは部内の人間だけでなく部外の人間もだった。例えば、サッカー部で解決できていない問題をラグビー部やラクロス部がすでに解決していたり、マネジメントで困っていると、スポーツの世界より遥かに言語化が進んでいるビジネスの世界の本にヒントが書かれていたりした。サッカー部の仲間と比較すると全てにおいて弱いつながりであることに間違いはないが、外部の方に問題を分かりやすくするために整理する過程で解決すべき問題が明確になったり、向こうが分からないと感じる部分について質問してもらうことで実は凝り固まった思考になっていたことに気づいたりした。つまり、チームや自分について考えるときは弱いつながりは非常に効果的である。このように外からの学びと自分の競技やチームを相対化し、接続することで成果が出るだけでなく、改めて自分の競技わ好きになれたり、自分やチームに誇りを持てたりする。また逆に全く知らなかった外の世界にワクワクすることもある。
このような内→外→内→外の循環が生まれれば大学スポーツのマネジメントの思考の質は、多くの価値観に触れることになるので上がるはずである。価値を増やすためにネットワークを築き、そのネットワークにいる全員が幸せになっていければどこまでも成長できると信じている。

最後までありがとうございました!