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文明の生態史観 梅棹忠夫

内田樹「日本辺境論」を読んだときに、私の主張の要約として梅棹忠夫の「文明の生態史観」の引用がありました。私の主張はこうなんですよが丸っと引用なんで驚きましたが・・・。ということで今回、この有名な「文明の生態史観」を読んでみることにしました。

この本は文明の生態史観を含む11の論考が収録されています。中心となるのは「文明の生態史観」と「東南アジアの旅からー文明の生態史観・つづき」の2編です。生態史観というとなんだか小難しいものに聞こえますが、分かりやすい論文です。旧世界はどういう構造になっているか、そしてそれはどういう過程でそうなったのかについて述べています。

ユーラシアの乾燥地帯は歴史的にみて悪魔の巣だと言っています。確かにここから生まれてくる騎馬民族の破壊力はすごい。アフガニスタンの問題など現代でもこれに近いものがあるわけです。

生活水準の高い文明の条件として高度資本主義を経てブルジョワ階級が発達していなければならないとしています。現在の中国を見ると、自由経済でのブルジョワ階級が発達すれば、革命による民主化というのが道筋のようです。

いずれにしても50年以上前に書かれた本ですが、着眼点が鋭く、普遍的な世界観は現在でも通用するものが多々あります。西洋と東洋で考えるのではなく、その間にある国々に注目することが重要であると感じました。

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