めばる

趣味は書道、硯石の研究、やきもの蒐集のほか、禅、ブッダ、芸道、哲学、科学、進化生物学、…

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趣味は書道、硯石の研究、やきもの蒐集のほか、禅、ブッダ、芸道、哲学、科学、進化生物学、宇宙論、歴史などに興味があります。たんなる噂話にならないよう、学びのある情報発信を心掛けています。 @thakuraku #硯 #赤間硯愛好会 #書道 #伝統工芸 #独学 #哲学

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  • 硯考

    硯と磨墨のしくみ

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はじめての哲学 自分探し?

 養老孟子 「自分」の壁 では人生には世界の基準、物差しがあるべきなのにそれが揺らいでしまっているとあります。  人間というのは一人一人がそれぞれの世界像をもっています。その世界像に方向づけられて生きているので、自分の世界像が危機に瀕したときそれを見直す必要にせまられます。このときに役立つのが哲学ではないかと思います。  私とは何かについて他人や自分に対して物語る場面で私たちは自分の世界像をつねに確認しながら生活しています。つまり私の物語を作っているわけです。この物語は自

    • 善友

      大愚和尚さんの一問一答の中に、善友ということばが出てきました。 善友とは人格的に優れ、智慧の備わった友達ということのようです。 そういう方とつき合えば自分が成長するための近道にもなります。 世の中いろんな人がいます。人との関り方も様々です。友達をたくさん作って広く浅くつき合う人もいますし、狭く深くつき合う人もいます。でも、人間関係というのは広げ過ぎると浅くなってしまうという傾向はありそうです。 仏教では人とつき合うなら人格者や善人とつき合いなさいという教えがあります。浅い

      • 硯考 硯のはたらき 下墨と発墨

        今回は硯のはたらきについて考えてみましょう。 墨はどのようにして磨れるのかと考えるとき、おろし金のようなものを思い浮かべるかもしれません。おろし金は物を削って下ろします。 では硯はどうでしょう。おろし金のように墨を削って下ろしているのでしょうか? 硯は単に墨を削っているだけではありません。墨は単に下ろせばよいかと言えばそうではありません。細かく下ろさなければなりません。そのため硯には大きく分けて二つの働きがあります。 一つ目は、おろし金のように、鋒鋩という突起が墨を削り

        • 硯考 なぜ濃墨をうすめるのですか?

          今回はすみすりのはなしです。 墨を磨るときに、濃い墨を磨ってからうすめるようにとよく言われます。 さてどうしてでしょう。 結論を先に言うと、こうするほうが墨が細かく均質になるからです。 まず最初に、絵の具を例にして説明します。 絵の具をチューブからそのまま水に落とすとなかなか溶けません。 これは小さな塊ができていてすぐに溶けないためです。 一方、一度少量の水で塊をほぐしてから水を加えるとすぐに細かく溶けます。 墨を磨るとき、磨った墨を順次、池に落としてしまうと、粗く磨

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          福永光司 「道教と日本文化」「道教と古代日本」

          福永光司の本ですが、積読の中から2冊発見しました。去年の夏に買ってたようです。古代の朝鮮と日本を調べていたので、上田正昭あたりが中心です。司馬遼太郎との対談は面白いです。司馬遼太郎は歴史小説は読みませんが、それ以外は結構好きです。 「道教と日本文化」 目次 「道教と古代日本」 目次 古代朝鮮と日本関係の本 当然、全部は読んでいません。

          福永光司 「道教と日本文化」「道教と古代日本」

          端渓硯 坑仔巌 その2

          目立て 前回、新規に購入した端渓坑仔巌硯が全然磨れないというお話をしました。 そこで、今回目立てを行いました。タイトル写真は墨堂の左側が新品状態で 今回、墨堂右側のみを目立てしました。写真で分かる通り、左側は光ってツルツルです。ろうかうるしが塗ってあるかもしれません。目立てを行うと右側のように艶消しになります。 左側を爪で引っ掻いても線痕は残りませんが、右側には白い線痕が残ります。 デジタル顕微鏡観察 左右の部分を100倍程度のデジタルスコープで観察してみました。 硯左

          端渓硯 坑仔巌 その2

          「継続は力なり」の考え方

          「継続は力なり」ということばがあります。由来は、諸説あるようです。その中でも有力なのは、大正時代の宗教家、住岡夜晃の『讃嘆の詩』という詩集とされています。 『讃嘆の詩』のなかには、 とあり、このことばが広まったと考えられています。 私たちは日常の生活の中で、継続することの大切さはわかっています。勉強にしても運動にしても継続することで自分自身が進歩・成長します。 では、継続するとしないではどのくらい差が出てくるのでしょうか。 具体的に考えてみたいと思います。 Aさんと

          「継続は力なり」の考え方

          端渓硯 坑仔巌 その1

          坑仔巌 先日、大手の書道具通販メーカーSにて購入した坑仔巌硯です。早速、硯の見本と照合確認した結果、坑仔巌のようです。ただ、墨堂はツルツルで鋒鋩が全然立っておらず、なんだこりゃ状態。 まあ試しにということで今日、磨ってみました。結果は予想通り、全く磨れません。当たり前。これ売ってクレームになっていないのでしょうか?心配です。ちなみに定価17,600円ですよ。(長さ14cm、5.5インチ) どれくらいすごいかというと、濃墨ができない。ごしごしやったので少しキズが入ってます。

          端渓硯 坑仔巌 その1

          柳 宗悦 美は人間を救いうるのか   若松英輔

          NHKラジオ第2放送の宗教の時間で 2024年4月から9月までが上で6回 下が6回の全12回?の放送でしょうか? 1回目の放送は4月12日ですが、らじるらじるの聴きのがしで聴くことができます。 目次 若松英輔さんは1968年新潟県生まれの批評家、随筆家。 小林秀雄関連が多いです。 さっき(4/27)本屋で見つけて、らじるで聴いてみました。柳 宗悦はいろんな趣味の関係で好きな方です。著作も多いです。 見えるものとみえないもの 目に見えないものを見出した柳 宗悦。この

          柳 宗悦 美は人間を救いうるのか   若松英輔

          硯考 すみすりの効用

          すみすり   すみすりとは墨を磨ることである。書を書くという道は「すみすり」から始まる。しかし現代において,この伝統的行為はとくに一般の人びとの間では墨液の使用によってその姿を消しつつある。  古来,中国で墨が生まれ,千年を超える長い歴史の中ですみすりは書の中心的な行為の一つであったといえる。静かな環境ですみすりを行うことは,書を書く前に精神を静め集中しやすくするためなどと説明されてきた。実際にそのような効果があるかについては、個人的な経験として確かに感じ取ることができる。で

          硯考 すみすりの効用

          混沌からの出発 五木寛之・福永光司

          やっと探し出しました。福永光司さんの本。 でも半分です。

          混沌からの出発 五木寛之・福永光司

          好きな漢詩

          鹿柴  王維 空山不見人 但聞人語響 返景入深林 復照青苔上 空山人を見ず 但人語の響くを聞くのみ 返景深林に入いり 復た照らす青苔の上 閑散とした山に人の姿はない。 ただ耳を澄ませば、人の話し声が、こだまして聞こえる。 夕日の照り返しが深い林に差し込み、 また、青い苔の上を照らし出す。 「鹿柴」は野生の鹿の侵入を防ぐ柵。 王維(699?―761) 中国、唐代の詩人で画家。盛唐期の大詩人の一人です。仏教信者でもありました。自然詩の第一人者とされ、静謐な山水美を多く描い

          好きな漢詩

          川中島 人馬声なく草も伏す 川中島に霧ふかし ・・・

          恥を忍んで出してみました。 数年前のものです。競書で頑張ってた頃、一寸書いてみました。 N先生、どうですかねぇこれー。 たぶん今頃、引いてると思う。😢 額に入れたのは少しでも見栄え良くするためです。 その辺からして邪道です。 もしも、悲惨な評価となったときはメールでお願いします。汗! 川中島 頼山陽 鞭声粛粛 夜河を過る 曉に見る千兵の 大牙を擁するを 遺恨なり十年 一剣を磨き 流星光底 長蛇を逸す 上杉の軍は、鞭の音もたてず静かに、闇に乗じて川を渡った。明け方、武田軍

          川中島 人馬声なく草も伏す 川中島に霧ふかし ・・・

          木彫り 葡萄 (めばるの作品)

          木彫り 葡萄 (めばるの作品)

          「はじめて楽しむ万葉集」 上野誠

          今回は上野誠の「はじめて楽しむ万葉集」からです。 冬過ぎて       冬が過ぎて 春し来れば      春がやってくると 年月は        年月は 新たなれども     新しくなるけれども 人は古(ふ)り行く   人は齢を重ねる 著者は、初頭の詩人劉希夷の「代白頭吟」 を引いて、これらの時間には二つの時間があるという。 一つは一年というまあるい時間。もう一つは一歳ずつ歳をとる直線的に進んで行く時間。つまり、私たちは円環的な時間と、直線的な時間を生きているという。

          「はじめて楽しむ万葉集」 上野誠

          「道を極めるー日本人の心の歴史」魚住孝至 著

          この本は放送大学の大学院の教科書です。TV放送は見ていませんが、この講義では文学、美術、芸道、武道などの作品や技芸において、その人の心や思想が端的に現れる専門領域で考えた、道を極めるとは何かを語ったものです。 書道を嗜む私にとっては最も重要な本となっていますが、当然、武道、芸道をされる方に関係する内容です。 道に関した膨大な情報量があり、正直なところここではまとめきれませんでした。ここで上がっている参考文献などを読んでいたため、読み終えるまで数ヶ月かかってしまいました。とり

          「道を極めるー日本人の心の歴史」魚住孝至 著