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母の誤謬シリーズ『巣』

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人間の条件 母の誤謬シリーズ「巣」について  劇作家・演出家・俳優 樽見啓さんへの公開書簡(書き手:重信臣聡)

人間の条件 母の誤謬シリーズ「巣」について 劇作家・演出家・俳優 樽見啓さんへの公開書簡(書き手:重信臣聡)

拝啓 樽見 啓様
初めまして、劇作家の重信臣聡と申します。
主宰のZR氏から劇を観て何か文章を書いて欲しいと頼まれました。 感想でも劇評でも形式は問わないということでしたので、今回は樽見さんに宛てた手紙という形で文章を書こうと思います。

人間の条件 母の誤謬シリーズ「巣」拝見しました。
小劇場ではほぼお目にかかることがないくらい非常に完成度の高い演劇作品だったと思います。三年後、東京芸術劇場でこ

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人間の条件 母の誤謬シリーズvol.1『巣』評(書き手:植村朔也)

人間の条件 母の誤謬シリーズvol.1『巣』評(書き手:植村朔也)

 「母の誤謬」というシリーズ名の冠されたこの舞台にしかし母はやってこない。
 大学にもいかず浪人や留年を重ねて、未来が見えないながらになにか行動を起こすでもなく、さらにはバイトもせず親のすねをかじり続ける、まあ、どうしようもないといっていい男たち三人が汚く狭いアパートの一室に一緒に暮らしている。しかもその親たちは犯罪や宗教に手を染めていて頼りにならない。だから彼らの遠隔寄生生活はその破綻が約束され

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人間の条件 母の誤謬シリーズ『巣』について(書き手:榎本純)

人間の条件 母の誤謬シリーズ『巣』について(書き手:榎本純)

はじめまして、劇作家もしている榎本純です。
風雲かぼちゃの馬車の重信くんと同じように、主宰のZR君から文章をお願いされました。形式は自由というので、作品を観て、感じた気持ちを、素直に書いていこうと思う。

まず、とても面白かった。
最近ではあまり観るようで観ない、喜劇になれなかった僕たちのストーリー、だった気がする。
つまり、ストーリーがあるようで、あまりないのだ。
希望もない。頑張れない。そのま

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