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G7サミットでBMWは得したのか損したのか悩ましい件

昨年まで毎週木曜日に60連投していたクルマ関連のブログですが、今年に入ってから1本しか書いていないことに気付きました。
私がクルマに興味を失ったからではなく、自動車業界に私の心を躍らせるようなニュースがないから?(笑)

さて、かれこれ2週間ほど経ちましたが、5/19(金)~21(日)にかけて『G7広島サミット』が開催されました。
そのニュース映像を観て一人突っ込んでいたお話しを…。長くなりそうですが、気が済むまで書いてみます(苦笑)

広島市には6年ほど住んでいましたので懐かしい風景でしたが、各国の首脳が続々と平和記念公園や宇品島のプリンスホテルの方に移動されるのに、黒塗りのBMWが使われていました。

例外は日本の岸田首相と、アメリカのバイデン大統領の2名だけ。

岸田首相は、日本が誇る(LEXUSではなく)TOYOTA CENTURYセンチュリー
センチュリーは1967年に登場した『日本を代表するショーファーカー』で、1997年の2代目(5.0リッターV型12気筒エンジン)を経て、現在は2018年に21年ぶりのモデルチェンジが行われた3代目(5.0リッターV型8気筒エンジン+モーターのハイブリッド)。
ボディサイズは全長5335mm×全幅1930mm×全高1505mmと、国内最大級・最高級のセダンです。

日本政府所有の現行 TOYOTA CENTURY

かたやバイデン大統領は、前のトランプ氏の来日時に有名になった『the Beastビースト』。
GM社のキャデラックをベースとした特殊車両ですね。Beastは愛称で、正式には Cadillac Oneキャデラックワンと言います。
Oneは、Air Force OneやMarine One等、大統領専用機に用いられる名称です。

The Beast  (Cadillac One)

『野獣』という名称からてっきりトランプ氏のオーダーかと思っていましたが、意外と2005年のジョージWブッシュ大統領就任式で投入されたモデルのようです。
総重量8トン、ドアの厚み20cm、防弾窓は厚さ12.7cmで運転席が僅かに開く以外はハメ殺しです。爆弾から車体下を守る耐爆処理等、まさに地上最強の装甲車。
開発以来、ブッシュ・オバマを経て、トランプ大統領時代に17億円の追加投資にてさらに強化されたとか…

と、日米の車両紹介はこの辺にして、もっと注目すべきは他の7名(+後に来日したゼレンスキー氏も含めれば8名)に用意されたのが、お揃いのBMWだったという点です。

黒塗りのフルサイズセダンのBMWといえば、モデルはもちろん7シリーズ。
それが一部のマスコミでもちょっとした話題に挙がったようです。

19日午前、BMWの最上級セダン「7シリーズ」が、次々と平和記念公園に滑り込んだ。ドイツのショルツ首相をはじめ、シャルル・ミシェル欧州理事会常任議長(EU大統領)、欧州連合(EU)のウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長、英国のスナク首相、イタリアのメローニ首相、フランスのマクロン大統領の欧州勢に加え、カナダのトルドー首相の計7首脳。いずれも同じ車種で、それぞれ成田ナンバーをつけていた。
BMW日本法人によると、今回の車両は、いずれも同社が特別に貸し出した車両という。同社の千葉県内などにある拠点から、同じ車両を集めた。同社広報担当者は、貸し出しに至った経緯は明かさなかったが、「国家の首脳らにBMWに乗っていただけるのは非常な光栄なこと」と話した。
首脳が乗車する車両は通常、要人警護の観点から、窓ガラスなどが防弾仕様になる。輸入車関係者は「BMWは大使館営業が強く、窓ガラスの防弾仕様などカスタマイズ対応がいい」と明かす。
華々しい国際舞台で、国や地域のトップたちが乗るにふさわしい車――。車両を手配するコストなどBMWにとっての目先の採算は分からないが、ブランドを高める効果を考えれば、その戦略はうなずけた。

(読売新聞オンライン2023/5/20)

テレビ番組でも…

20日に来日した、ウクライナのゼレンスキー大統領もBMW。大統領専用車「ビースト」に乗っていたアメリカのバイデン大統領を除いて、海外の首脳8人がBMWの同じ車種に乗っていたのです。
一体、なぜそんなことになったのでしょうか?
謎を解くカギが、通常の車とは異なる、このフロントガラス。虹色の反射は「防弾仕様」のためだとみられます。
自動車評論家・国沢光宏氏:「必ずVIPの送迎には、防弾車を使わないといけない。日本というのは元々、防弾車が少ない。全員を運ぶ台数が集まらない。用意できるのは、BMWの防弾車しかなかったと」
専門家は、日本政府が2010年のAPECの際にBMWから20台ほど調達した防弾車が、今回も使われたと分析しています。
国沢氏:「防弾車を簡単に(他に)売ることができないので、そのまま保管していたんだと思う。それを今回使うということで、BMWが整備をして用意をしたということだと思う」

(グッドモーニング2023/5/23放送)

実はその前日、国沢氏は自身のブログでこうも語っています。

なぜBMWなのか?
おそらく、というレベルは超えないが、いくつかヒントあります。まず日本政府は2016年の伊勢志摩サミットの時、ドイツから運んだ『S600 Guard』というVR9相当の防弾仕様を持つ車両を何台か所有していると思う。そして今回使ったBMWって、2010年にAPEC(アジア太平洋経済協力)で使われた760iLに見える。けっこうな年期ものです。
2010年だからして13年も経過しており、査定ゼロ。所有はどこなのか不明ながら成田のBMWのデポに保管してあったようだ。そりゃそうです。売れませんから。そいつをBMWがしっかり整備して今回使用したカタチだと思う。気になるのは防弾ガラス。通常5年前後で防弾性能が悪化すると言われている。今回交換したんだろうか? その費用、けっこうなものになる。
そいつをBMWが負担したんなら「BMW偉い」になる。そうでなく外務省負担だとBMWは良い商売になったことだろう。といったあたりを含め、まぁ表にゃ出てこないでしょうね。メルセデスを使わなかったのは9台揃えられなかったからだと思う。サミットのように時間差で移動出来るなら台数少なくても回せるが、G7はそうもいかず。次回、ぜひセンチュリーSUVの防弾車を!

(国沢光宏ブログ2023/5/22)

この辺の情報を受けて私が感じたことは…
今回の2010年型760iLの編隊の映像がこれほど強烈に世界中に配信されたことについて、果たしてBMW本社としてどう思っているのか?

BMW社は昨今、そのアイデンティティとも言うべきフロントのキドニーグリルを順次大型化していて、醜悪とさえ酷評されるのも意に介せず、ニューモデルをどんどん発表しています(最大のマーケットである中国富裕層の好みに迎合しているという意見をよく見ますが…)。
ことフラッグシップに位置づけられる7シリーズに於いても特に顕著であり、そのキドニーグリルはモデルチェンジを重ねる毎に肥大化している…

好みはそれぞれです(苦笑)

なので、今回のG7サミットで最新デザインの7シリーズ映像が配信されたのなら、BMW社としても絶大な広告効果があったことでしょう。
しかるにヒロシマから世界に配信された映像は、なんと13年前、2世代前モデルの顔…
これはブランド戦略上、あまりに好ましくない。

でも現実にそうなってしまったのは、外務省の強いリクエスト(防弾仕様の最高級セダンを揃えてくれ!)に対してBMW JAPANが対応せざるを得なかったから?
となれば、BMWの日本法人とドイツ本部の間で折衝があったのか否か…?

BMW本社としてはこういう映像を配信したかったはず…?

あくまで野暮なお節介ですが、真相には興味津々であります。

※一部、760Liを提供したのは成田のレンタカー・リース会社との報道もありましたが、紹介した記事に従い、BMW JAPANが用意したとさせていただきました。仮にレンタカー会社の保有車両だとすれば、2010年以降の保管・維持費ってとんでもないコストになりそうですね…

(ご参考)『六本木のカローラ』と呼ばれた頃の3シリーズセダンと、現在のX3のサイズ比較…

追記、
オマエのような貧民が軽々しく7シリーズを語るな!と言われそうですが、実は自家用ではなくとも社有車(役員車)として7シリーズを2台購入した経験があります。
1990年、バブル真っ盛りの時期に会社で購入した7シリーズの2代目(E32)の750iL。
V型12気筒SOHC・4987CC・300PS
全長5125mm・全幅1860mm・全高1435mmでした。

そうそう、まさにこの色の750iLを購入しました!

今回話題の第5世代(F01) 760Li High Security
V型12気筒DOHC・5972CC・544PS
全長5220mm・全幅1900mm・全高1485mmとやや大型化。

そして現在の第7世代(G70)
直列6気筒・3.0L・DOHCターボディーゼル
或いはV型8気筒・4.4L・DOHCツインターボ
全長5391mm・全幅1950mm・全高1540mm
顔もボディも、デカイですね~(笑)

肥大化するグリルを揶揄した有名な漫画写真…

※全ての画像はネットから借用したものです。

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