お別れがあるからこそ
3月は忙しく、忙しいという事は沢山のお客さんが来てくれたからで、それは喜ばしい事で。
でも、3月は別れの季節でもあり、今年も沢山の常連さんが遠くへ行ってしまいました。
10人ぐらいかな。
引っ越し、オフィスの移転、結婚や退職などなど。
うちの場所が悪いのか。
うちに来る人がそういう人なのか。
通ってくれてる人ほど、数年でどこかに行ってしまう気がします。
僕が認知していて、よく話す人でこの数が離れていってるので、うっすらと記憶してるぐらいの人を含めると、もっといる事でしょう。
悲しい。
経営的にも気持ち的にも悲しい。
お店を始めるまでは意識した事がなかったんですが、人は意外と環境を変えるんですね。
思い立ったが吉日なのか、何か転機があったのか。
今の環境を捨て、新しい事に取り組む人が多い事に驚きました。
終身雇用、茹でガエル、内弁慶。
揶揄するような言葉で日本人の働き方をメディアは喧伝しますが、そんな人ばかりではないようです。
今の時代は変わらないほうが難しいのかな。
メインのお客さんが若いからってのもありそうだ。
歳を重ねる毎に考える事も増え、やりたい事や、やりたくない事が明確になるんでしょう。
すると、今の環境では難しいとなり、それらを捨て去る。
うちとの思い出も一緒に。
いや、重いな。
しかも被害妄想だ。
周りは変わっていくし、日本も大きく変わったこの数年。
うちも50円の値上げをしたけれど、変わったのはそれぐらいで。
営業時間も営業形態も変わらず。
いつ行っても開いていて、いつ行っても僕がいて。
この変わらなさは、もう特殊技能だ。
特技の欄に書いても恥ずかしくない気がします。
この変わらなさが生む価値は、離れた人がいつでも帰ってこれる事で。
去ったとはいえ、今生の別れではないのです。
今生の別れになってしまうとしたら、それは店を閉めた時で。
そうなると二度と出会う事は無いでしょう。
お店を8年ちょっとやっていて。
8年分の去った人がいて。
その中には渋々どこかに行ってしまった人もいるはずで。
その人が、1年に1度、いや、数年に1度でもいい。
東京に用事が出来た時に、寄れるように。
変わらないからこそ、提供できる価値がある。
変わっていく人が多いからこそ、同じ場所で同じ人が続ける意味があるのではないかと思うのです。
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